スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

農林水産大臣賞典東京大賞典&有能と能動

2016-12-29 19:29:32 | 地方競馬
 第62回東京大賞典
 ゆっくりとコパノリッキーがハナへ。発走後の正面はアウォーディー,アポロケンタッキー,サウンドトゥルーの4頭が雁行で通過。1コーナーに入ってからコパノリッキーが1馬身ほどのリードを奪い,アウォーディーが単独の2番手。また1馬身差でアポロケンタッキー。さらに半馬身差で内から追い上げたノンコノユメとサウンドトゥルーが併走という隊列に。前半の1000mが64秒8という極度のスローペースになりました。
 3コーナーを手前でコパノリッキーにアウォーディーが並び掛けていき,この2頭が並んでコーナーへ。この後ろは手綱をしごきながらアポロケンタッキーが続き,さらにその外からサウンドトゥルー。直線に入るとコパノリッキーがあっけなく一杯に。手応えよく見えたアウォーディーも意外なほど伸びず,むしろ先に手が動いていたアポロケンタッキーがこれを交わして優勝。アウォーディーは1馬身半差の2着。勝ち馬の外を追ったサウンドトゥルーがクビ差で3着。
 優勝したアポロケンタッキーは前々走のみやこステークス以来の重賞2勝目で大レース初勝利。このレースはコパノリッキー,アウォーディー,サウンドトゥルーの3頭が能力上位で,勝ち馬は3頭の中から出るだろうと見立てていたので,個人的には意外な結果。距離は長い方がよいタイプと思えましたから,条件は好転していて,それでもノンコノユメと並んでの入着候補ではないかとみていたのは見当違いであったようです。少なくとも接戦だった2着馬と3着馬は確たる力量がある馬で,それらにはっきりとした差をつけて勝ったのですから,高く評価するべきで,この馬も使いながら成長を遂げ,それらに伍するだけの力量を有するに至っていたということでしょう。そうであるなら来年以降の活躍も必至と思います。
 騎乗した内田博幸騎手は一昨年のヴィクトリアマイル以来の大レース制覇。第50回,51回,55回と勝っていて7年ぶりの東京大賞典4勝目。管理している山内研二調教師は2004年のダービーグランプリ以来となる大レース制覇。東京大賞典は初勝利。

 スピノザにそういう意図がなかったとしても,第五部定理三九備考の冒頭の文言が,人間の身体corpusがほかの物体corpusより有能であることを,暗に示していると解することが可能であると僕は認めます。そしてスピノザの哲学にあってはこのことは,人間の精神mens humanaという思惟の様態cogitandi modiが,ほかの思惟の様態よりも有能であるということを暗示しているというのと同じです。したがってこの部分をそのように解するなら,実際にはスピノザは人間がほかの様態よりも有能であるということを是認しているということになるでしょう。
                                     
 有能であるということを,能動的であるということ,あるいは多くの事柄,ほかの様態には不可能である事柄を能動的になし得るという意味に解することは,解釈として不当であるとはいえません。しかるに第五部定理四〇は,ものは能動的であればあるほど完全であるということを意味します。なのでこの場合には,もし人間がほかの様態よりも有能であるということを是認するということを,人間がほかの様態より完全であると是認するというように解釈することは,不当であるどころか妥当であるといわなければならないでしょう。
 しかし僕は,その備考でスピノザがいっていることは,そういうことではないだろうと理解しています。つまり人間がほかの様態より完全であるということを,スピノザはここでも暗示はしてはいないと解するのです。ただ,そのように主張する場合には,この備考の文章をどのように解釈すればよいのかということを説明する必要があるでしょう。
 まず,この文章の前提となるのは,岩波文庫版117ページの,第二部自然学②要請三であると僕はみます。あるいはこれに要請六を加えても構いません。要するに,人間の身体は外部の物体からきわめて多様の仕方で刺激されるということ,それに加えて外部の物体をきわめて多くの仕方で動かし,またきわめて多くの仕方で影響し得るcorpora externa plurimis modis movere, plurimisque modis sisponereということが,人間の身体が有能であることの前提となると考えるのです。そしてこの場合には,人間の身体をほかの物体と比較して有能であるとスピノザはいっていると解しても構わないと思います。むしろそう解するべきでしょう。
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