スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

有馬記念&起成原因の難易度

2016-12-25 19:20:48 | 中央競馬
 第61回有馬記念
 ムスカテールはダッシュが鈍く置かれました。先手を奪ったのはマルターズアポジー。1周目の正面にかけて5馬身ほどのリード。単独の2番手にキタサンブラック。また3馬身ほど開いてゴールドアクターが単独の3番手。アドマイヤデウスが外目の4番手でこの後ろにサムソンズプライドとマリアライトが併走。そしてヤマカツエース,サトノダイヤモンド,ミッキークイーンの3頭が集団という隊列で1周目の正面を通過。ミドルペースですが逃げ馬が飛ばしていましたから実質的にはスローペースでした。
 サトノダイヤモンドは早めに動き,向正面に差し掛かるあたりで3番手まで上昇。共に動いたサトノノブレスがゴールドアクターの外で4番手を併走する隊列に変化。向正面でサトノノブレスはキタサンブラックにプレッシャーを与えるようにさらに前に行き,おそらくその影響もあって3コーナーにかけてマルターズアポジーのリードは縮まって,1馬身くらいに。直線の入口ではキタサンブラックとほぼ並び,すぐにキタサンブラックが先頭に。インを回ったゴールドアクターが1頭分だけ外に持ち出してキタサンブラックを追い,サトノダイヤモンドはその外の3番手に。坂の辺りで内の2頭がサトノダイヤモンドとの差を広げると,キタサンブラックがゴールドアクターを振り切りました。しかし坂を上り切るとまたサトノダイヤモンドが伸び,フィニッシュ寸前でキタサンブラックを捕えて優勝。キタサンブラックがクビ差で2着。ゴールドアクターは半馬身差で3着。
 優勝したサトノダイヤモンド菊花賞に続く大レース連勝。今年の3歳牡馬クラシックは3戦とも前年より記録的に優秀で,古馬相手でも即通用するだろうと想定できました。2着馬も昨年の同時期より明らかに強くなっていましたが,斤量の差で相殺できる筈なので,好走は間違いないと思われたところ。早い段階で上昇し,2着馬を徹底マークした騎乗も光りました。レース内容からすると急坂は少し苦にするのかもしれません。素質が開花した頃は中距離タイプと思っていましたが,長距離に適性が高い体型に成長してきたようにみえます。父は第51回を制したディープインパクトで父仔制覇。
                                     
 騎乗したクリストフ・ルメール騎手は阪神ジュベナイルフィリーズに続く大レース制覇。ハーツクライに騎乗した第50回以来11年ぶりの有馬記念2勝目。管理している池江泰寿調教師は菊花賞以来の大レース制覇。第54回,56回,58回を制しているので3年ぶりの有馬記念4勝目。

 神Deusを創造し維持することと様態modi,modusを創造し維持することの難易度を比較することは,スピノザの哲学においては,自己原因causa suiであるものを創造し維持することと,外部に起成原因causa efficiensを要するものを創造し維持することの難易度を比較することです。そして外部に起成原因を要するものの起成原因とは,自己原因であるものにほかなりません。したがって,自己原因であるものが自己を創造し維持することと,自己以外の何かを自己の内部または外部に創造し維持することの難易度を比較することだとしてもよいことになります。僕はこの観点から,それらの間に難易度の差はないという見解を有します。
 スピノザは第一部定理二五備考で,神は自己原因であるといわれるのと同じ意味においてすべてのものの原因であるeo sensu, quo Deus dicitur causa sui, etiam omnium rerum causa dicendus estといっています。だとすれば,神が自己原因といわれる場合と,すべてのものの原因といわれる場合に,難易度の差はあってはならないと僕は考えます。なぜなら,もしそこに難易度の差があるなら,いい換えれば一方が困難で他方は容易であるという関係があれば,両者が同じ意味であるということにはならないであろうからです。スピノザがここでいっているのは,神は「唯一」であり,そのゆえに自然法則lex naturalisも「唯一」なのであって,神が自己を創造しまた維持する自然法則とすべてのものを創造しまた維持する自然法則は同一であるということです。同一の自然法則は,頻度の差を生じさせることはあっても,難易度の差を生じさせることはあり得ません。このことは,困難であるということまた容易であるということが,絶対的にいわれるのではなく,与えられた原因に関していわれるのだというスピノザによる注意から明解です。この場合には与えられる原因というのが同一にして「唯一」の自然法則なのですから,困難な原因と容易な原因という別々の原因が与えられることはないからです。
 なお,あるものを維持することは,本来的には時間と関連していわれます。というのは維持されない場合が概念concipereできないと維持は何の意味も有せないからです。ただここでは永遠に維持するという,本来的には語義矛盾ないい方も許容するとしておいてください。
コメント
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