スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

エンプレス杯&意志作用

2010-02-24 18:42:19 | 地方競馬
 ダートの牝馬限定戦では最高峰に位置する第56回エンプレス杯
               
 好発はブラボーデイジーでしたが,外から押してきたシスターエレキングを先に行かせ,2番手に控えました。1周目の正面に入ったところでラヴェリータ,ツクシヒメ,ウェディングフジコと続きました。ペース自体は速かったです。
 2周目の向正面に入るとラヴェリータがブラボーデイジーに並び掛け,シスターエレキングは早くも後退。レースはここからこの2頭のマッチレースとなり,最後まで僅差の競り合いが続きましたが,とうとう抜かれることなく,ブラボーデイジーの優勝。ラヴェリータが2着で,3着には中団から追い込んだコスモプリズム。
 優勝したブラボーデイジーは昨年4月に福島牝馬ステークスを勝った後,離されはしたもののヴィクトリアマイルでも2着になっていて,力量はここでも上位。問題はダートがどうかという点でしたが,父がクロフネということもあり,問題なくこなしました。今後もこの路線に使ってくるのであれば,中心馬の1頭となるでしょう。
 鞍上は武豊騎手で,2004年のレマーズガール以来のエンプレス杯2勝目。管理している音無秀孝調教師は初のエンプレス杯制覇となっています。

 意志voluntasとは個々の意志作用volitio,というか,個々の意志作用の総体のことを意志というわけですが,さらに注意しなければならないのは,こうした意志作用について,スピノザはさらに特別な考え方をしているということです。これに関しては第二部定理四八の備考Scholiumの中でスピノザが説明しています。そしてそれによれば,スピノザが考える意志とは,事物を追求したり忌避したりするような欲望cupiditasではなくて,真理veritasを肯定し,虚偽falsitasを否定するnegareような精神mensの力potentiaなのです。
 岩波文庫版の『エチカ』で意志と訳されているラテン語はvoluntasです。実際に『エチカ』の中でこの術語が用いられるとき,それは明らかに真理の肯定affirmatioや虚偽falsitasの否定negatio,ないしはそうした力というよりも,むしろある事物への希求や忌避と理解すべきではないかと思われる部分もあります。このことは岩波文庫版の訳者である畠中尚志も指摘しています。このあたり,やはり唯名論者であるスピノザの用語の使用法のルーズさが表れているといえるでしょう。しかし僕はこの考察においては,意志というのを,スピノザが第二部定理四八備考で示している意味に理解します。というか,これは単に今回の考察に限ったことではなく,このブログ全体を通しても同様です。そもそもそのように理解した方が,確かに意志作用というものが,とくに人間の精神mens humanaのうちでどういう思惟の様態cogitandi modiであるのかということが,明瞭に理解できると僕は考えているからです。
 ただし,僕がこのように意志という思惟の様態を理解し,またそれを意志作用ないしは単に意志というとき,ひとつだけ留意しておいてほしいことがあります。僕は意志を真理を肯定し虚偽を否定する力であると解するとき,それを真理の肯定ないし虚偽の否定と解するのと同じくらい,あるいはそれ以上に,これが力である,能力であるという点を重視します。すなわち意志は思惟の様態ですが,僕はとくにそれを,力という観点から理解するのです。
コメント
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