スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ロシアのキリスト教&電話

2011-07-20 18:23:41 | 歌・小説
 漱石のドストエフスキー評二律背反になっていること,とりわけその中に否定的側面があることの理由のひとつとして,夏目漱石社会主義の評価というものが関係しているのではないかと僕は考えています。しかし,ここにはもうひとつ,おそらくそれよりも大きな別の理由があるようにも思うのです。それは,ドストエフスキーの小説には,キリスト教色が色濃く滲んでいるという点です。ただ,これをいうためには,まずドストエフスキーの小説というのが,どの程度までキリスト教という宗教と関係しているのかということについての理解を欠かすことができません。そしてそのためには,ロシアの,もちろんこれはドストエフスキーが生きていた時代のロシアのという意味ですが,その時代のロシアのキリスト教の状況についても,一定程度まで把握しておく必要があると思います。そこでまず,それについて必要最小限のことを列記しておくことにします。
 ロシアのキリスト教といえば,ロシア正教というのを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。キリスト教というのはいわゆる三位一体,つまり父と子と聖霊という三者への信仰であるというのが正統な理解ですが,ロシアのキリスト教は歴史的にイエスの母であるマリアに対する信仰心が強く,基本的にロシア正教というのはそうした流れを汲んでいると考えてよいようです。
 ただし,ロシア正教というのがロシアの正統なキリスト教であると仮定するならば,その正統に対する異端というのもあります。とくにドストエフスキーの時代には,そうした異端派を信仰する人もそれなりの数に上っていました。そしてドストエフスキーの小説との関連でいえば,実は異端派の方が強いという側面があります。
 一口に異端派といいましても,それはひとつではなく,いくつかの宗派があります。これについてはここでは詳述しませんが,ドストエフスキーの小説とキリスト教との関係を考える上では,それら異端派の教義との関係が重要になってきます。
 ロシア文学では有名な亀山郁夫に『ドストエフスキー謎とちから』という著作があります。そこではドストエフスキーの時代のロシアのキリスト教の状況が詳しく説明されていますので,興味のある方はお読みください。
                         

 その週末の土曜日,6月25日のことになりますが,が妹を連れてK伯母を見舞いに行くことになりました。
 K伯母が入院した横浜栄共済病院のすぐ近くに,中学校がありました。母はかつてそこに勤務していたことがありました。母は定年を前に退職しましたが,最後に勤めていたのがその中学校だったのです。したがって母は,K伯母が入院した病院の場所に関してはよく心得ていたのです。なぜこんなことをいうかといいますと,実は母はやや方向感覚には鈍いところがあったからです。5月17日の妹のこども医療センターの通院の際,僕は途中まで一緒に行ったといいましたが,それも,バスを乗り換えるときに間違えるのではないかという心配もあったからでした。これはとくに僕だけがそう思ったというわけではなく,母自身も心配していました。つまり母は自分自身でも方向感覚が鈍いということを自覚しているわけです。中学校に勤務していた当時は母は自動車通勤で,運転をやめた現在とは状況は異なるわけですが,中学校も病院も根岸線の本郷台駅から歩いてすぐのところにありますから,この日は妹とふたりであってもとくにそうした心配は不要であったのです。
 この日も僕は午前中は本牧に所要があり,家に戻ったのは正午少し前。母と妹は途中で昼食を摂るとのことで,ちょうど出掛けようとするところで,入れ違いのような形になりました。僕は午後は用事はありませんでしたので,この日はこの後はずっと家にいました。したがって,母と妹が家に戻るまでの間は,ひとりで留守番というような形となったわけです。
 そしてその間に,1本の電話がありました。これはアパートに住んでいる叔父からのもの。その電話に出たときの叔父の話し方の雰囲気からしてただ事ではないような印象を受けたので身構えました。ただ,叔父は僕にではなくて母の方に話がしたかったようで,電話の用件については何も教えてくれませんでした。そこで僕は,母はK伯母の見舞いに行っていることを伝えました。叔父は合点がいった様子でしたので,K伯母が入院しているということは母から伝えられていたのだと思います。母は携帯電話を持っていますから,そこに電話するように言いました。結局,このときの用件は後から母に聞かされることになったのです。
コメント
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