Sightsong

自縄自縛日記

マシュー・シップ『Piano Song』

2017-04-06 22:45:16 | アヴァンギャルド・ジャズ

マシュー・シップ『Piano Song』(Thirsty Ear、2016年)を聴く。

Matthew Shipp (p)
Michael Bisio (b)
Newman Taylor Baker (ds) 

完成度は異常なほど高い。確かに、ピアノから発せられる音塊の重さやインタラクションの高度さは特筆すべきものだろう(ジョン・モリソンによるレビューは的を射ている)。しかし、圧倒される理由はそれだけではない。

たとえば「Flying Carpet」でも、「Micro Wave」でも、「Gravity Point」でも、あまりにも強すぎる意思の力で創出されたクラスターがある。シップの音楽には、そういった構造への狂気とも言えるような執念や、それをジャズと呼ぶのならジャズとの心中が垣間見られる。それが聴く者を威圧する。

モリソンが引用するように、本当にシップは録音から手を引くのだろうか。確か以前にも同じような発言をしていた記憶があるのだが。

●マシュー・シップ
ジョン・ブッチャー+トマス・レーン+マシュー・シップ『Tangle』(2014年)
マット・ウォレリアン+マシュー・シップ+ハミッド・ドレイク(Jungle)『Live at Okuden』(2012年)
ジョン・ブッチャー+マシュー・シップ『At Oto』(2010年)
DJスプーキー+マシュー・シップの映像(2009年) 


アーレン・アルバートセン@妙善寺

2017-04-06 20:21:07 | アヴァンギャルド・ジャズ

西麻布の妙善寺において、来日中のアーレン・アルバートセンがふたたび演奏をするというので足を運んだ(2017/4/5)。

Erlend Albertsen (b)
and monks (chant, perc)

はじめにアルバートセンのベースソロ。導入部の弓弾きに東洋的な旋律が感じられて、また、前回観たときよりもずっと繊細な印象を抱いた。お堂でアンプにつないでいないこともあるが、音は決して大きくはなく、これ見よがしでもない。聴き入ってしまう魅力がある。

つぎに住職さんらふたりとの共演。お経と木柾とは即興ではない。それに対してアルバートセンが呼吸を合わせるように、ふたたび繊細なベースを弾いた。これでグルーヴが生まれることが面白い。

なお、木柾(もくしょう)とは一本木の底側をくり抜いた円筒型の法具であり、木魚よりもスピーディーなリズムを刻むことが可能なのだという。持たせていただいたら、結構重かった。

終わってから広間で小宴。ご馳走さまでした。


2016年9月の写真(アルバートセンのウェブサイトに使用) 

●アーレン・アルバートセン
アーレン・アルバートセン@妙善寺
(2016年)