詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

三重苦?

2017-06-28 09:48:11 | 自民党憲法改正草案を読む
三重苦?
               自民党憲法改正草案を読む/番外95(情報の読み方)

 2017年06月28日の読売新聞朝刊(西部版・14版)の3面。

都議選に「三重苦」?/「安倍1強」に陰り

 という記事が載っている。「三重苦」とは、

(1)収束の見えない加計学園問題
(2)国会運営への批判
(3)自民党衆院議員(離党届提出)の「暴行」疑惑

 だ、そうである。
 (1)は、なぜ、収束が見えないのか。安倍が国会で説明しないからである。国会閉会後、記者会見で「丁寧に説明する」と言ったが、何も説明していない。そのかわりに、「獣医学部」を全国に展開すると主張し、さらにそう発言した理由を「批判が集中して、頭に来たからだ」と語っている。
 (2)は、「共謀罪」の審議を途中で打ち切り、強行採決をしたことを指しているようだが、その後、「国会閉会後」の問題もある。野党は臨時国会の開催を求めている。これに対して、自民党の国会対策委員長・竹下は「安倍首相が(学校法人『加計学園』の獣医学部新設問題で)追及されるのを嫌がっているようだ」と話したという。(読売新聞4面)
 この二つには「頭に来た」と「嫌がっている」という「共通項」がある。「頭に来た」と「嫌がっている」は、それ自体は「同じ表現」ではないが、ともに「感情」をあらわしている。安倍は「感情」で行動している。
 (3)の暴行は、安倍自身の行動ではないが、やはり「感情」を爆発させている。「感情」で他人を支配しようとしている。
 つまり、「三重苦」とは、すべて「感情」が引き起こした問題である。「感情」で政治を動かしているのである。
 (1)の問題は、加計学園のトップは安倍の「友だち」である、大事にしたいという「感情」が「温床」になっていると見られている。つまり、これも「感情」である。「理性」で政治を動かすのではなく、そのときそのときの「感情」次第でものごとを決定する。それが安倍の本質である。

 2面に

都議選「自衛隊としてお願い」/稲田防衛相 自民候補集会で/発言撤回

 という記事が載っている。稲田は、集会後、記者団に、

「(陸上自衛隊の)駐屯地も近く、防衛省・自衛隊の活動に地元の皆様にご理解、ご支援を頂いていることに感謝の気持ちを伝える一環としてそういう言葉を使った」

 と語っている。ここには「気持ち」ということばがある。「気持ち」とは「感情」である。「感情」を優先させているる。
 自衛隊に政治的行動をさせている。
 いまは「自民党の応援」という形をとっているが、いつ「自民党を批判するものを弾圧するために自衛隊を利用する」にかわるか、わからない。「自民党への批判」に対して「頭に来た」ら、(気持ちが動いたら)、それを弾圧するために稲田は自衛隊を動かすということが考えられる。

 3面の「三重苦」には、このことは「野党の批判を招く事態となった」と、さらりと書かれている。読売新聞は、重大視していない。「野党の批判を招いた」が、読売新聞は批判をしないのだろうか。

 安倍の打ち出した「改憲」のいちばんのポイントは「自衛隊を憲法に書き加える」(自衛隊を合憲化する)ということだが、その自衛隊が稲田によって私物化され、選挙運動につかわれた。「平穏」におこなわれている都議選においても自衛隊が「活動」として参加してくる(指示されて動く)なら、少しでも安倍や稲田の気に食わないこと(頭に来ること、嫌なこと)が起きれば、それを弾圧するために自衛隊が出てくるということを意味するだろう。

 自衛隊が憲法に書き加えられ、合憲化した後、どうなるのか。

 日米地位協定のことを考えると、自衛隊が独自の監督・指揮系統のもとで対外的に行動するとは思えない。「有事」の際は、アメリカの軍の一部隊として監督・指揮されることになるだろうと思う。アメリカ軍が自衛隊の監督・指揮系統のもとで動くとは思えない。安倍は「内閣総理大臣が監督・指揮権の最高責任者」と定義しているが、アメリカ軍に指示ができるか。
 安倍が単独で「監督・指揮権」を行使できるのは、有事のときではなく、「内政」問題が生じたときだろう。自衛隊は「内政問題」を処理するために出動する。
 稲田は「自衛隊としてお願いしたい」と言ったが、もし、その「お願い」に対して、「嫌だ」と叫んだら、どうなるのだろう。武器をもった自衛隊員が集会を管理していたら、そこで国民は「嫌だ」と叫んだらどうなるのだろう。武器を手にした自衛隊員を前にして「嫌だ」と叫べる人が何人いるだろうか。
 「共謀罪(治安維持法)」は、もう、こんな具合に実効支配しているのだ。
 「天安門事件」は、東京都議選を舞台にはじまっているのだ。
 安倍の「感情」を満足させるために、自衛隊は合憲化され、「天安門事件」は準備される。都議選は、それを許すかどうかの選挙なのだ。

 安倍の「三重苦」のなかにまぎれ込ませる形で書かれた、この自衛隊の事物か問題をきちんと見つめないといけない。
 稲田を防衛相に任命したのは安倍である。稲田自衛隊は安倍自衛隊である。稲田の発言で、自衛隊と都議選は緊密に関連づけられた。都議選はたんに都議選でもなければ、国政選挙の前哨戦でもない。安倍のもくろむ憲法改正(自衛隊の私物化を合憲化する)に対する国民投票の先取りである。
 東京都民は、そのことを忘れないでほしい。



#安倍を許さない #憲法改正 #加計学園 #天皇生前退位
 
詩人が読み解く自民党憲法案の大事なポイント 日本国憲法/自民党憲法改正案 全文掲載
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ポエムピース

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