詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

ベン・ウィートリー監督「フリー・ファイヤー」(★★★★)

2017-04-30 20:27:21 | 映画
監督 ベン・ウィートリー 出演 ブリー・ラーソン、アーミー・ハマー、キリアン・マーフィ、シャルト・コプリー、ジャック・レイナー

 90分、ただ銃を撃ちまくる映画です。二組のマフィアが取引をする。マフィアだから「チンピラ」がいる。それが原因となって突然銃を撃ちまくる。どっちが、どっち? まあ、わかるひとはわかるんだろうけれど、どうでもいいんです。敵・味方(?)の区別がわかった方がおもしろいかどうか、よくわからない。どっちが勝つか、なんていうことは関係がないから。
 というよりも、人間って死なないんだなあ、というのが実におもしろい。冗談言っている暇ないだろう、という感じなんだけれど、もう、銃を撃つ以外にすることがないから、冗談や悪口なんかも言う。
 これがおかしくて、笑いすぎて、どこで笑ったかわからないくらい。
 必死になって思い出すと。
 舞台は廃屋になった工場。だれもいない。それなのに電話がかかってくる。電話を取り外していない。で、電話で応援を呼ぼうとするのだけれど、なかなか電話までたどりつけない。やっとたどりついたら、都合よく(?)電話がかかってくる。
 「1年分の挽き肉の当選者に選ばれました。受け取るには云々(でんでん、じゃありませんよ)」。そこにいるマフィアたちがほとんど「挽き肉」状態なんだけれどね。
 工場が火事になって(というか、わざとガソリンを撒いて、敵をやき殺そうとするんだけれど)、スプリンクラーが動き出す。雨降り状態。そこに「雨傘工場」という文字が出てくる。そう、雨傘工場だったんだねえ。で、落ちている雨傘を開いてみれば、骨だけ、というような「オチ」もあったり。
 必死になって金を奪って逃げる男。ドアにしがみついて金を奪い返そうとする男。「このゾンビめ」なんて。そう、みんな、ゾンビ状態。撃たれても撃たれても死なない。「高級スーツに穴があいた、台無しだ」。「香水なんかつけやがって(オカマ)」「これは髭のローションだ」とかね。(少しずつ、逆戻しで思い出すなあ。)
 銃で撃たれて瀕死なのに、よく死なないなあ。実は、死ねないそうです。そんな簡単には。脳味噌を撃たれた男まで、休んでいたら(?)急に立ち上がって歩くなんていうシーンもある。でも、これはほんとうらしい。映画の中にも「動脈をやられていない限り、90分は生きる」というような「論理的」な説明も出てくる。で、映画も、ちゃんと90分の作品。
 こういう「論理的」な作品が私は大好き。それに、血が飛び散るのも、とても興奮する。わくわくする。血が飛び散るところなんか見たことないからねえ。高級スーツに火がついて、必死になって消火器をつかって、自分で消すところなんかも楽しいなあ。
 欲を言えば。
 美男・美女に出てほしかった。血が似合うのはなんといっても美男・美女。それなりに美男・美女なのかもしれないけれど、もっと、とびきりの美形だと映画がさらに豪華になる。
 不思議なことに。
 声をあげて笑うのは私だけ。昔、梅田で映画を見たときを思い出すなあ。「フランキー・ザ・フライ」だったか「フランキー」だったか、タイトルは忘れたけれど。それに似ている。福岡の観客も笑わない観客? こんな映画で笑わない人間の方が怖くないか?
 と、思っていたら。
 終わったあと、ひとつ席を開けた右隣(Fの7)の男が、私をにらんで出て行った。うーん、怖かった。(笑い)
                      (KBCシネマ2、2017年04月30日)



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