保育所給食の件が、ずいぶん、色々と話題になっているようです。
ブログへの来訪者数も尋常ではないですし。
再三、申し上げているとおり、私が今回、問題にしたかったことは、
現場運営の改善であり、いろんな問題を、この機会に正すことです。
そういう意味で、新聞記事等での取り上げられ方は、
正直なところ、ずいぶん不本意に感じています。
まあ、マスコミに、そういう一面があることは、
重々、承知しているつもりではいますが。
で、継続的にご覧頂いている方なら、ご承知の通り、
普段なら、一般質問のご報告は何回かに分けてやっているのですが。
今回に限り、この問題についてのみ、まとめてアップしてしまいます。
それを見て頂いた方が、色々と分かって頂けると思いますので。
ただ無茶苦茶長いし、いつもと違って、読みやすく加工もしていないので、
その点、ご容赦ください。
なお、継続してご覧頂いている方のために、後日いつもと同様、
何度かに分けて、解説も加えてアップする積もりでいます。
なので、そういった方々には、今回のブログはスルーして頂ければ
よろしいかと。
それでは、早速始めます。
なお、↓質問中に出てくる資料は、これ↓です。
議会での配付資料です。
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【私の質問】
市が作成している「調理室の作業マニュアル」にも明記されている通り、公立保育所の調理員は「昼食は各自準備」することになっています。ところが自主申告による調査の結果、公立保育所23園中、少なくとも8園において保育所に通う幼児・児童分の給食・牛乳・おやつ等を調理員が食べていることが判明しました。これによって、幼児・児童の給食・牛乳・おやつ等が不足するという事態さえ発生していると聞いています。
こうした実態は、今年四月に嘱託調理員として外部から採用された方から、私に情報をお寄せ頂いたことをきっかけに明らかになりました。非常に残念なことですが、こうした状況が長年、放置されてきたと考えざるを得ません。また今回の告発がなければ今後も同じ状態が続いていたことは確実です。こうした経緯からも、現状の改善には外部からの人員採用、あるいは、それも含めた外部目線の導入と管理監督体制の強化が重要であると考えます。ところが実際の採用状況は、外部目線の導入という観点からは寂しいものとなっています。
表①に今年四月に実施された嘱託調理員採用試験の結果をまとめました。ご覧下さい。内部からの応募者は21名中、半分を超える12名が合格したのに対して、外部からの応募者24名のうち合格者は2名にとどまっています。もちろん、採用に当たっては様々な条件を基に判断されたのでしょうから、合格率の差だけを理由に「採用が適切になされていない!」と断言するのは乱暴かと思います。しかしながら嘱託採用試験について「これは基本的には現在働いている臨時とか代替の職員さんを通すための試験。ただし外部からも採用せんと色々うるさいから、ごく少数は通すことになっている。」と内部で囁かれていたという証言も得ています。こうした噂が流れ、しかも噂を証明するような採用結果となったことには大きな問題があります。このような情況を改めるためにも、今後、嘱託調理員は積極的に外部から採用するべきです。
外部目線の重要性という観点からは、もう一点、臨時調理員の離職率の高さも気になります。表②に2009~2011年度に採用した臨時調理員49名のうち、任期満了を待たずに離職した職員の離職情況の一部を整理しました。ご覧ください。採用者49名中4名が採用から1ヶ月以内に、4名が2ヶ月以内に、3名が3ヶ月以内に退職しています。合計すると、採用から3ヶ月以内に採用者全体の約22%にあたる11名もの方が退職しているのです。このような離職状況は異常です。
一方で、この退職実績が業務内容の過酷さによるものであると考えることには無理があります。なぜなら、正規調理員の勤務時間が16時45分までとされているにも関わらず、早々に着替えて、休憩室でくつろいでいる調理員が存在するという実態があるからです。また一部の園だけのことだと信じたいですが、午前中の早い時間帯から、ゆっくりと一度目の休憩を取っている保育所があるとも聞いています。これらを念頭に考えるなら、異常に高い離職率の原因は、業務内容そのものではなく、人間関係等、いわば本来業務とは関係のない職場環境の劣悪さにあると考えるのが妥当でしょう。実際、過去に働いた経験を持つ方、あるいは現在、働いている方からも「私らが意見しても聞く耳なんか持ってない。言ったって、雰囲気悪くなるか、いじめられるだけ。役所の担当部署かって見て見ぬフリやし、意見するのも馬鹿馬鹿しいから、その場に染まるか、無理やと思ったら辞めるしかない。」という声を聞きました。こうした状況を是正するためには、外部からの人材登用はもちろん調理室に対する指導・管理監督体制の強化をはじめとする対応の強化が必要です。
そもそも今回の事案が長期間にわたって、明るみに出てこなかった原因の一つとして、保育所長が、その間ずっと見てみぬフリをしてきたか、問題の存在自体に気づいていなかったという、いずれにしても信じがたい事実を挙げることができます。しかしながら言うまでもなく、調理員の管理監督責任は保育所長にあります。保育所長が見て見ぬふりをしていたのであっても、気づいていなかったのであっても、その責任は、きわめて重大です。一方で「保育所長は保育のプロであっても調理の専門家ではない。この問題に関して保育所長の責任を問うのは酷だ。」という考え方もあるのかもしれません。実際、現場において、保育所長からの指示や保育士からの依頼に対して調理員が協力的でないとして問題になることも多いと聞いています。こうした現状を改め、二度と同様の問題が起きないようにするためには、責任の所在を明確にし、厳しい処分を行い、組織・指示系統の確立、管理監督体制の強化等、根本的な対応策を取ることが必要です。
また今回の告発について、市は当初、問題の存在さえ認めようとしませんでした。内部では問題を発見できず、自浄能力も発揮することができず、示された問題の存在さえ隠そうとしていた。こうした実態を踏まえるなら、直営での給食提供を見直し、外部委託を進めることこそが、最も有力な問題解決の方法であるとも考えられます。
それでは以上の内容を踏まえてお聞きします。一点目、今後、嘱託調理員を積極的に外部から採用するべきと考えるがどうか?二点目、今回の事件が発生したうえ、長年に亘って放置されてきた原因について、どう考えているのか?また、関係者に対する処分は、どのような方針で行おうと考えているのか?三点目、再発防止のため、今後どのような対応を取ろうと考えているのか?四点目、そもそも、このような状況で、市が保育所の給食調理業務を直営で行うことに妥当性があるのか?むしろ外部委託を進めるべきだと考えるがどうか?
【市の答弁】
1番目の公立保育所の給食に関するご質問にお答えいたします。
保育所の給食調理は、1園あたり60人から140人程度の大量の給食を短時間に作る必要があり、0歳児には発達段階に応じた離乳食を、さらに近年増加しているアレルギー児への対応のため、食材の除去や代替食の調理など、きめ細かい作業が伴う、速度と確実性が要求される仕事でございます。
1点目のご質問の嘱託調理員の採用試験につきましては、このような業務を担える人材を厳正な審査の上、外部内部に関わらず嘱託調理員として適性や能力を有する者を採用しております。今回の嘱託調理員試験につきまして、外部からの受験者のうち調理師資格を有する調理経験者は24名中5名で、5名中の合格者は2名でございました(←これ、ウソです。2名のうち1名は受験時点で調理師資格は持っていませんでした。ここだけ追記しておきます。)。嘱託調理員の採用に当りましては、今後とも民間のノウハウを持ち、能力や意欲の高い調理経験者の活用なども視野に入れながら、調理技術のみならず、「保育所の子ども達のことを最優先に考える」人材を確保してまいりたいと考えております。
次に2点目の今回の件が発生した原因と関係者の処分についてどのように考えるのか、についてお答えいたします。今回の件は、職員が児童の給食を配食したあとの残りを食べたということ、さらに23園中8園でこのような事実があったということについては、誠に遺憾であり、あってはならないことと認識しております。また、組織としての管理監督責任が果たされていなかった点について、重く受け止めているところでございます。この件が発生した原因につきましては、調理業務に係る管理監督のあり方に問題があり、また給食の残食に対する認識の甘さがあったためと考えております。このことを組織全体の問題であると捉えて、所属長及び所長が一人ひとりの職員に対する指導を徹底し、引き続き調査を行い、処分を行うなどの厳正な対処をしてまいります。
3点目の再発防止のための今後の対応策につきましては、適切な調理業務が執行出来るように、保育所事業課、保育所長、管理栄養士、調理員により、現在の給食業務マニュアルの抜本的な見直しを行い、二度とこのような事態が起こらないよう、所属長・保育所長による厳格なチェック体制を盛り込んだマニュアルの遵守を徹底してまいります。また、管理職による現場監査や職員による抜き打ちの現場確認を適宜実施するなど、調理業務の適正化を図るとともに子ども中心の保育所運営が行えるよう職員の意識改革を図ってまいります。この意識改革につきましては、まず、アンケートを行うなど現状を把握するとともに、職員間で問題点の共有化を図り、全職員が一丸となって改革に取り組むという意識付けから取り組んでまいります。こうした取り組みを続ける中で、非正規を含むすべての職員の声を吸い上げるしくみを検討するなど、開かれた職場風土作りに努めてまいります。
これまで、給食問題については、保育所長・栄養士・調理員をメンバーとする献立検討委員会や、業務改善や食育推進などの検討会を設け、給食の質の向上に努めてまいりました。また、調理員に対する、公務員倫理や保育所におけるアレルギー対応の研修を行い、調理員の資質の向上に努めているところでございますが、さらに、第三者を交えた給食問題の改善を検討する場を設け、給食調理業務全般の点検と見直しを行い、今年度中に結果をとりまとめたいと考えています。
4点目の保育所の給食調理業務を外部委託してはどうか、という点でございますが、食育の推進を含め、質の高い給食の提供をめざしていくためには、市の直営が必要であると考えております。 運営コストの軽減を図ることも検討に入れながら、保護者から信頼され、子ども達から愛される保育所給食が提供できるように、組織をあげて、しっかりと取り組んでまいります。
【意見・要望&再質問】
丁重なご答弁ありがとうございました。それでは、質問の順に沿って意見・要望を申し上げた後、再質問します。
今回、取り上げた問題は、外部から採用された方の視点が入ったからこそ明らかになりました。それがなければ、この問題は、今後も放置されていたであろうことを強くご認識頂きたい。質問で取り上げた内容は、私がお聞きしている問題の一部でしかありません。細かくなりすぎるので取り上げませんでしたが、他にも多くの問題が存在します。このような現状を内部だけで変えていくことには限界があります。「今後、嘱託調理員を積極的に外部から採用するべきと考えるがどうか?」という質問に対して、「民間のノウハウを持ち、能力や意欲の高い調理経験者の活用なども視野に入れながら、調理技術のみならず『保育所の子供達のことを最優先に考える』人材を採用してまいりたい」というご答弁でした。基本的には、その通りだと思いますが、今回の事例が発覚した経緯を、よくよく認識し、外部からの採用の重要性を改めて考えて頂きたい。これまで必ずしも、そうした採用が行われていなかったという事実を厳しく受け止めて頂きたい。要望します。
二点目、今回の事件の原因と、関係者への処分についてです。ご答弁にもあった通り、このようなことは「あってはならないこと」です。こうしたことが長年に亘って続けられてきた背景には、様々な要因があろうと思いますが、中でも、特に指摘しておきたいのは、保育所運営に関わる組織・体制の問題です。保育所長は調理員のことを自分の部下だと思っておらず、指導・管理監督する責任があるとも思っていない。調理員も保育所長を自分の上長だと思っていない。所属長も、その上役も、現場が自分の配下にあり、責任を持って指導・管理監督しなければならないという認識がきわめて薄い。所長も含めた保育士と調理員の意見交換も充分なされていないし、「保育所の子供達のことを最優先に考える」という当たり前の姿勢さえ共有されていない。こうした現状があるように思えてなりません。答弁にあったとおり、「組織としての管理監督責任が果たされていなかった点について、重く受け止めて」、こうした現状を正して頂きたい。その第一歩として、これも答弁にあったとおり、「厳正な対処を」して頂きたい。
また答弁では「23園中8園でこのような事実があった」「配食した後の残りを食べた」と仰いましたが、今回の調査は、あくまで自己申告に基づくものであり、実際には、他の園でも同様のことが起きていた可能性があります。また内容も私が聞いているものより、ずいぶん、優しい表現になっています。答弁にあったとおり、「引き続き調査を行い、処分を行うなどの厳正な対処をして」頂きたい。強く要望します。
三点目、再発防止のための対応策についてです。とりわけ重要なのは答弁にあった通り、「子ども中心の保育所運営が行えるよう職員の意識改革を図って」いくことです。現状を把握し、課題を抽出し、問題解決のため、あるいは現状改善のための対策を積み重ねていく。こうした取組みを地道に繰り返していく以外に、現状を正す方策はありません。答弁で、複数の対応策を示して頂きました。徹底して実施して頂きたい。併せて、新たな問題が明らかになった場合には、その問題にも積極的に取り組んで頂きたい。
言うまでもないことですが、「保育所の子供達のことを最優先に考えて」日々の業務に励んでいる方もいらっしゃることと思います。そうした方々にとって、やりがいがある仕事環境とすることが重要です。皆が、そうした気持ちで働くことができる職場へと改めて頂きたい。要望します。
その上で一点、指摘しておきます。「これまで、給食問題については、保育所長・栄養士・調理員をメンバーとする献立検討委員会や、業務改善や食育推進などの検討会を設け、給食の質の向上に務めてまいりました。また、調理員に対する、公務員倫理や保育所におけるアレルギー対応の研修を行い、調理員の資質の向上に務めているところでございます」という答弁がありました。色々やって頂いているのは結構なことだと思います。が、これは逆に言うと、これまでの通り一遍の対応では何も改善できなかったし、問題を吸い上げることもできなかったということの証明でもあります。その点を肝に銘じ、うわべや格好だけでない、中身を伴った改善策を実施して頂きたい。重ねて、要望しておきます。
四点目、給食調理業務の外部委託については後程、再質問しますが、一点、教育委員会事務局ではなく、教育委員さんにお願いしておきます。調理員と教師の距離が遠いのは学校も同じことだと思います。学校の給食調理員は給食費を支払っているので、子供達の分を調理員が食べていると言うことは起こらないと思いますが、いろいろな問題が起きていることは充分、考えられると思います。今回の保育所担当部署の対応も踏まえ、まずは現状の調査に取り組んで頂きたいと言うことを強く要望しておきます。
それでは公立保育所の給食について一点、一問一答にて再質問します。児童・幼児のための給食を複数の園で調理員が食べることが常態化していた。にも関わらず、こうした状態を認識することさえできていなかった。このような状況にありながら、「質の高い給食の提供を目指していくためには、市の直営が必要であると考えております」という答弁が返ってくることには、強い違和感を感じます。このような情況が長年に亘って放置されてきた保育所において、答弁で示された「質の高い給食の提供」が行われていたとは思えません。そもそも、仰るところの「質の高い給食」というのが、どのような給食のことを指しているのかも分かりません。「質の高い給食の提供を目指していくためには、市の直営が必要」というご答弁にも納得しかねます。市内には多くの民間保育所がありますが、こちらでは「質の高い給食の提供」はできていないというご認識なのでしょうか? 具体的にお聞きします。市が考える「質の高い給食」とは、どのような給食のことを指しているのか?また、調理業務を直営で行うことが必要と考える根拠はなにか?このような劣悪な現状を、どのように改善していこうと考えているのか?ご答弁をお願いします。
【市側の答弁】
再質問についてお答えいたします。
本市の保育所給食は、子ども達に栄養バランスの摂れた食事を提供するばかりでなく、子ども達が成長して成人に達したときに、健康的な食生活ができるように「給食を食べる」という体験を通して、望ましい食習慣が身に付くことを目的に実施しています。「質の高い給食」とは、このような目的が達成できるような、子ども達一人ひとりの成長を願い、愛情のこもった「おいしく、楽しく、食べる楽しみを味わえる給食」であると考えています。公立保育所では、配膳時に調理員が子ども達に野菜の名前や旬の話、身体の力になる栄養素の話などを伝えながら、子ども達のおなかも心も満たされる取り組みを進めています。また、子ども達とコンポストを使った野菜作りや園庭で収穫した野菜を使ったクッキングなど保育士と調理員が一体となり、食育に取り組んでいます。調理業務の直営につきましては、調理員が子どもの成長過程を理解し、保育と一貫した食育の実施が行えること、また、子どもを育てる保育所の仲間として、一体感を持った保育・食育が実施できる点に意義がございます。今回の件は、保育所全体として反省すべき、あってはならないことと重く受け止めています。改めて、しっかりとした現状把握を行い、問題点については、組織をあげて改善に努めてまいります。何より、個々の職員が保育所で働く意義を十分認識し、それぞれの職責を果たしてまいりたいと考えています。
【私の意見・要望】
ご答弁頂きました。
「こうした取り組みを行っている」ということを色々ご紹介頂きましたが、そもそも本当に、そのような取り組みが行われているのかということ自体に私は強い疑問を持っています。また正直なところ、市が直営で給食を提供していることによって「質の高い給食」が実現できているとも思えません。しかしながら、これらの点について、これ以上、議論したところで納得のいく答えが返ってくるとも思えませんので、以下、要望にとどめます。
「今回の件は、保育所全体として反省すべき、あってはならないことと重く受け止めています。改めて、しっかりとした現状把握を行い、問題点については、組織をあげて改善に努めてまいります。」というご答弁でした。ご答弁にあったとおり、「組織をあげて改善に努めて」いただきたい。こんな情況を正すこともできないまま、「質の高い給食の提供をめざしていくためには、市の直営が必要」等と主張したところで、市民の納得は到底、得られません。本当に、そう思うのなら、覚悟を持って、職場環境・業務の改善に取り組んで頂きたい。そんな当然のことさえできないのであれば、直営での給食提供を続けることなど、許されるはずもないということを強く指摘しておきます。
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とまあ、こんな感じです。
あまりにも長すぎるから、読んで頂ける方は、
相当少なかろうとは思いますが。
というわけで、これが、私が今回、取り上げた内容の全容でした。
それでは失礼いたします。