「川柳歳事記

波
舵取りを妻に任せて波静か
波風は立ったが初婚貫いた
妻が子がいるから波を乗り切れる

「川柳歳事記

読
五十年　どの手も妻は読み尽くす
鍵盤に指が踊った暗譜力
自分史の一頁目に呱呱の声

「川柳歳事記

電気
うす暗い電気本音を語りだす
充電をしてもおんなに戻らない
電気を消すと風も光もやわらかい

「川柳歳事記

つなぐ
手をつなぐやがて大きな宝船
つながりを確かめてから船を出す
血のかようつなぐ言葉で発芽する

「川柳歳事記

中心
君が核おだてられては幹事役
師を囲む記念写真の端に立つ
団欒の中心孫の立ち歩き

Web句会 １０月

Web句会　１０月
ユーモア
ポケットのティッシュ忘れぬ洗濯機　　　　特選
美和山吹

「川柳歳事記

足す
梅一つ母の優しいお弁当
水割りに秘密の媚薬足す悪女
穏やかに今日が終わっていく足し湯

「川柳歳時記

空
青空がカンバス夢を書きなぐる
青い空青い海にも魔女が棲む
母の待つ幼き日々の茜雲

「川柳歳事記

攻める
攻め口のジャンルを辞書で模索中
母を責め海ほおずきを買った日よ
ゴールまで一気に攻める美しさ

「川柳歳事記

脛
子の為に母が投げだす太い脛
脛毛まで出して踊った安木節
脛に傷有って消えない悔い一つ