このブログを始めてから、11年がたちました。
「川柳歳事記」は、良い川柳を読む機会のない人のため載せています。
憎しみの連鎖断ち切る斧が要る
美和山吹
汗
百姓の汗が実った米の出来
洗濯機へ汗も汚れも放りこまれ
祖父の汗育った杉が物語り
愛
アルバムに幼い愛が写ってる
さりげない父の愛情身に沁みる
今にしてあの厳しさに感謝する
悪い
悪役はお任せなさいという役者
悪い人いつも笑顔でやってくる
悪いのはみんな私でこともなし
捨てられる用心棒
駅のトイレで壁にもたれ
ぽつんと立っている用心棒
ひとりぼっちだ
主に忘れられたか 置いていかれたか
今日は朝から晴れて心配なさそうな日
身軽な格好で家を出ると
思いがけず困った事態が発生
主は急いで用心棒を雇い入れ難を逃れた
ほどなく困った事態がおさまり
主は連れ歩く用心棒が邪魔になった
(つづく)
割る
今ひなが小さな決意殻を割る
やわらかい言葉で石も割れました
人間を割ると五欲の海になる
笑う
四歳の孫は笑いの仕掛け人
微笑んで過ごす一年描けない
仏像の笑みが心のよりどころ
出不精に追い打ちかける花粉症
美和山吹
渡る
わけあって人手に渡る鬼瓦
陸橋を渡る夕日と風船と
神の手にわたる手術後の時間
忘れる
物忘れ周りの勘に助けられ
ケータイを固定で探す置き忘れ
私の名忘れた人を見舞する