「川柳歳事記」

失言
夫婦でも言ってはならぬことがある
地元ではお口が軽い金バッジ
天才か馬鹿か失言二度三度

「川柳歳事記」

静か
夫婦でも耳が時どき留守をする
ボランティア静かに汗を吸ってます
ブブゼラの対極に置く野点席　

「川柳歳事記」

地震
流された跡に還らぬ村を恋う
地震来て夫婦の絆取り戻す
動く地よ幼い命見逃して　

「川柳歳事記」

傘
被災地へ愛の傘さすボランティア
寄り添っておいでよ傘にならなれる
広がって縮んで傘にいる夫婦

「老いて新鮮」松ひさし

歩みのあゆみ

モソウ　　　動きが　響きが　始まる
モソ　　　モソ
コロン
コロリン　コロリン
ハイ
ハイ　　　ハイ
フラリ　　フラリ
ヨチ　　　ヨチ

（つづく）

「川柳歳事記」

鏡
それなりに写し鏡台睨まれる
ほつれ髪合わせ鏡に浮く孤愁
一対の反射鏡だよ夫婦とは

「映像川柳」

人にありコロナにはないカレンダー
　　　　　　　　　　　美和山吹

「川柳歳事記」

都合
都合つかなくて脱皮は明日にする
おじさんの都合はほとんど無視される
妻の都合でいつも狂ってくるプラン

「川柳歳事記」

長
三十年も続けて飽きぬ良い仲間
長生きをしてねと言うが策がない
長かったトンネル妻が居てくれた

「川柳歳事記」

ちぐはぐ
昔なら下着が今はナウい服
お互いに言い分のある事故現場
妻は右亭主左の舵をとり