黄昏のシルバー・ボーイ
眩しい日の出より穏やかな夕日に感じる
木々の芽吹きより落葉の舞に引かれる
知りたいこと 宇宙の謎よりも
近くの雑木林から野鳥が消えた訳
願うこと 生命科学の進歩よりも
腰痛が治る治療法の普及
縁遠くなった将来や未来 それでも
再度見られるか 気にかかる東京五輪の開催
浮かばなくなった夢や理想 それでも
世話になるのか 気にかかる介護ロボットの開発
黄昏に大活躍する人達
八十歳でエベレストに登頂する人
九十歳で処女詩集を出版する人
人生を実らせた熟年の達人
黄昏の凡人は七十歳を超え張りがゆるむ
ちびっ子も爺も行く富士山を登らないままに
書棚におさまる文学全集を読破しないままに
それでも世は動き日々新鮮 シルバーな凡知に漫然を許さない
(つづく)