「川柳歳事記

遠い
遠すぎるところへ毬は投げるもの
遠まわりしてでもソバはあのソバ屋
振り返るたびに火が小さくなる

「川柳歳事記

手作り
こだわりも男のロマン二八蕎麦
手料理で一枚岩の骨を抜く
趣味悠悠陶器の町に腰を据え

「川柳歳事記

掴む
原発の諸刃をついに握りしめ
はやぶさが掴むゴミまで夢になる
何もかも掴んで投げた水の爪

「川柳歳事記

地図
未来地図描けぬままに今日を生き
白地図に先は墓場と定年後
宇宙発道案内はナビまかせ

「川柳歳事記

平
平和とはお手手つないで造るもの
平穏な日々に色気が顔を出す
平凡と言う字がとても難しい

「川柳上達法

７． 積極的に生きる姿勢を示す
うしろ向きに生きているというのを詠んだ句は特選に取りにくいということがある。
その点、次の句は積極的に生きようとしている。
傘寿を祝いこの先の賀に挑む
傘寿（８０歳）を超えても、まだ次の賀（米寿か）まで積極的に生きようとしているのが「挑む」で感じられる。
この句は「川柳道」で秀作に選ばれた句である。

「川柳歳事記

想定外
想定外だから嬉しいプロポーズ
気が多く趣味のリストラ進まない
フクシマが想定外でもがいてる

「映像川柳」

私の場合、川柳画は、川柳句があって、それに合う絵を考えていた。
しかし、今回は、新聞で見たこの絵に何か川柳句をつけられないかと言うことで、川柳句を詠んだ。
だから、川柳の上手、下手は関係ない。

「川柳歳事記

世界
介護の世界越えねばならぬ茨道
生還の報に世界が拍手する
飽食の向こうに飢餓という世界

「川柳歳事記

好き
好きな色ばかりで埋めている余白
夜更かしの好きなおとなの童話です
手に入れる寸前までの砂糖菓子