ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




日本橋アフロディテ。日本橋富沢町12。2004(平成4)年2月7日

「ベストブライダル」という会社の「ゲストハウス」つまり結婚式場になっている。開場は1998年6月。それに合わせて外壁を塗りなおすだけでなく、細かい修復だか古く見えるような装飾が付け加えられている。屋上の木は記念写真が撮れるように置かれたものだろう。
式を終えて路上に出てきた招待客の一団を見かけたが、周りは繊維関係の事務所ビルばかりで、なんとなくそぐわない。ただしちょっと歩けば地下鉄やJRに乗れるので至便だ。

第一衣料ベビー用品館・東南側
1986(昭和61)年7月6日

この写真を撮った頃の住宅地図では「大松サンロリアン営業部」。第一衣料と大松は富沢町のこのビルと同じブロックに別にビルを構えている。フロアが必要になるとこのビルを借りていたのかもしれない。
昭和30年頃の火保図では「北越銀行東京支店」。これはいつのまにか小網町に移転したらしい。
昭和7年の火保図では「古川銀行支店」。後に合併して千葉銀行になる銀行のひとつに古川銀行があるがそれだろうか。外観から銀行建築ということで納得だが、建築年が昭和7年以前かどうかはなんとも言えない。

追記(2007年7月17日)
ブログ「中村與資平記念館別館」を運営されているyosihei氏より、この建物は中村與資平設計で1926(大正15)年に竣工した「古河銀行元浜町支店」ではないか、というコメントを頂いた。氏のブログで竣工時と北越銀行だった建物の写真を見ることができ、現在の状態とどこが変わったか判って興味深い。古河銀行から北越銀行への変遷の推移を調査して記述している。
「元浜町」は現在の富沢町の北東側で、浜町川に沿った南北に細長い町域だった。
当ブログに「古川銀行」としてあるのは、参照した地図にあるのを書き写したもので、地図のほうの間違いだろう。

コメント ( 7 ) | Trackback ( 0 )



« 三共生興/富沢町 茅場兜電話局... »
 
コメント
 
 
 
発見! (yosihei)
2007-07-10 17:46:42
こんにちは
偶然、貴ブログにたどり着き
思はぬ発見をしましたので
ご報告させていただきます。
日本橋アフロティテですが、
大正15年中村與資平設計の
旧古河銀行元浜町支店と
そっくりです。
というか同一と思いますが
手持ちの資料にある所在地と
一致しません。
なお確認を要すると思いますが
地の利をいかして
お調べくだされば幸です。
ブログ「中村與資平記念館別館」の
「東京の中村與資平の建築」内を
ぜひご覧ください。


 
 
 
元浜町 (流一)
2007-07-11 11:35:44
当ブログをご覧頂きありがとうございます。
私は建築史については素人向きの本を数冊読んだだけで、中村與資平の名前は知りませんでした。貴ブログは簡単には閲覧し切れませんが少しずつでも拝見させてもらおうと思います。
ご指摘の「古河銀行元浜町支店」ですが、写真からは現日本橋アフロディテとしか見えません。そこで、昔はこの地域が「元浜町」だったのではないかと推定してみました。はたして、関東大震災前には現在の富沢町の北東側が元浜町で、浜町川に沿った南北に細長い町域になっています。昭和7年の町名改正で富沢町に合併されたものと思います。「日本橋浜町」との関連の有無は不明です。
本文に貴ブログの「古河銀行元浜町支店」のデータを追記して、リンクを張りました。ご了承ください。
 
 
 
納得しました (yosihei)
2007-07-11 11:52:52
さっそくお調べ下さり、ありがとうございます。
「関東大震災前には現在の富沢町の北東側が元浜町で、浜町川に沿った南北に細長い町域になっています。昭和7年の町名改正で富沢町に合併された」とのご指摘により、
支店名の由来がわかりました。
「日本橋浜町」は単なる推測ですので削ることにします。
中村與資平関係の建物ではこのほか
昭和銀行の支店のその後がよくわかりません。東京の下町にたくさんあったようですが、もしご存知の物件がございましたら教えてください。
リンクの件、大歓迎です。今後ともよろしくお願いします。
 
 
 
追加報告です (yosihei)
2007-07-13 16:41:11
長岡の北越銀行に問い合わせた所、
「前身の六十九銀行東京支店が震災で焼けたため、仮店舗で営業を続けていたが、
昭和9年に7月1日に富沢町7-10の旧古河銀行元濱町支店の建物を借りて東京支店を移転。
昭和12年に古河銀行から購入。
六十九銀行は昭和17年に長岡銀行と対等合併し長岡六十九銀行に。昭和23に商号を「北越銀行」に変更。昭和43年に京橋に移転。数年前に小網町に移転。」
と親切に調べて教えてくれました。

国の登録有形文化財になるといいですね。
 
 
 
>yosihei様 (流一)
2007-07-14 13:09:44
わざわざの報告、ありがとうございます。北越銀行もなかなか親切ですね。
貴ブログの「中村與資平の建築(東京)」を拝見したところ、日本橋馬喰町の「中村鏡商店」と「佐々木硝子店」とを写真に撮っていました。昭和末年までは残っていたわけです。2つのビルは靖国通りに向かい合って建っていました。近いうちにアップしたいと思います。
 
 
 
流一様 (yosihei)
2007-07-14 14:18:59
中村與資平の東京都心部での作品は
大規模なものは少ないのですが
小規模な個人商店などで
鉄筋コンクリート造にしたものは
何とか生き延びていたわけですね。
昭和末年の姿、楽しみです。

なおアフロディテは利用者のコメントを見るとなかなか評判がいいようです。洋風近代建築の用途としてはひとつの理想的な使い方かも知れません。設計者も満足しているでしょう。
 
 
 
訂正とお詫び (yosihei)
2007-07-20 02:58:15
古河銀行元浜町支店の設計者を
中村與資平と書きましたが
手持ちの資料によれば正確には
中村與資平の主宰する中村工務所の施工(請負工事)とすべきであり、
設計者は今のところ不明です。
思わぬ発見をしてうれしさの余り
確認を怠ってしまいました。
お詫びして訂正させていただきます。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。