宇徳ビル別館。神奈川県横浜市中区本町6。1989(平成1)年頃
角の円筒形状の階段室が特徴的な、そう大きくもないビルを見たのは写真を撮影したときが最初で最後だったような気がする。そのうちどこにあったビルなのかも分からなくなっていたが、ビル壁面の「UTOKU」の字で『日本近代建築総覧』の「宇徳ビル、中区海岸通5-58(弁天通6-78)、昭和4年、RC3、渡辺仁」と分かった。施工は大林組だという。県立博物館(旧横浜正金銀行本店)のすぐ西、本町通り(左写真左手)と弁天通り(左写真右手)が交わる場所だ。写真のビルの弁天通りの向かいには「宇徳ビル」という株式会社宇徳の本社ビルがあり、写真のビルは撮影当時は「別館」だったらしい。(『横浜の近代建築その後>宇徳ビル別館』)。
水平線を基調としてそれが装飾にも使われている。モダニズム建築といっていいのだろうが、奇怪な感じもただよう。とにかく渡辺仁の作品にこういうビルがあった、ということで興味深い。
『みんなでつくる横濱写真アルバム』というサイトに、株式会社宇徳が投稿したと思われる写真がある。「弁六ビル」として3枚の写真を見ることができる。本町通り側の横から撮った写真があって貴重だ。4階を増築したのは1949年だという。
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本当に懐かしい写真です。
横浜支店が東戸塚に引っ越しをし、しばらくこの辺りに行かない間に、無くなってしまいました。
渡辺仁の設計だったとは全然知りませんでした。
当時日本橋の東京支社の建物も渡辺仁が設計した元ホテル(現存)でしたので、何かと渡辺仁に縁のある会社だったのかも知れません。
撮影当時、渡辺仁の名前は知っていたとは思いますが、私もこのビルが彼の設計とは知りませんでした。撮影するときは、どこにどういう建物があるからとそれを目指すということはなく、適当に歩いているだけなので、このビルも偶然通りかかって出会ったわけです。