Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

今夜、列車は走る

2008-04-20 12:35:50 | 映画 か行
            *公式サイト
              <出口はきっとある>
     ―すべての人々に捧げる、5人の鉄道員とその家族の物語
2004年/アルゼンチン/110分
原題:Próxima Salida
監督:ニコラス・トゥオッツォ
出演:ダリオ・グランディネディ、メルセデス・モラン、ウリセス・ドゥモント、パブロ・ラゴ、バンド・ビリャミル、オスカル・アレグレ

鉄道とともに栄えたアルゼンチンの小さな町。ある日、突然、路線廃止の決定が下される。最後まで労使交渉を続けた組合代表は自ら命を絶ち、その兄、カルロス(ダリオ・グランディネティ)と4人の仲間たちも、家族や生活のために、ひとり、また、ひとりと自主退職を余儀なくされる。そんな中、老鉄道員ブラウリオは、修理工場の中に住み込み、最後まで抵抗を続けるが…。誇りある仕事を奪われた喪失感と怒り、厳しい現実が、5人と家族の運命を予期せぬ方向へと導いて行く。(チラシより)

TVスペイン語会話でも紹介されて楽しみにしていたアルゼンチン映画『今夜、列車は走る』が2週間限定ロードショーとして4月12日からユーロスペースで公開された。(4月26日以降は2週間レイト・ショー)
しかし、こんな素晴らしい作品が・・・何故、こんなに公開期間が短いのっ!!

6万人もの鉄道員が失業したという、90年代のアルゼンチンで起きた鉄道民営化の嵐。そのあまりに激しい風は、解雇させられた鉄道員は無論のこと、彼らを取り巻く家族、友人、そして社会そのものを巻き込まずにはいられない。激変する生活によって失われる経済基盤、心の拠り所、誇り・・・けれど、それを越えて心を打つのは、人と人を結びつける絆、そして絶望的な状況の中で懸命にもがきながら希望を求め、出口を求める姿である。ここで描かれる息子と父親、娘と父親、夫と妻、娼婦と馴染みの客、そして苦悩する親の姿を間近に見ている子供たち・・・それぞれが懸命に生き、辛い現実と対峙し戦う。「今夜、列車は走る」が、それで現実が変わる訳ではないだろう、だけどそれを走らせたことで、それを見たことでそれぞれの心に「次の出口:Próxima Salida(原題) はきっとある」という強いメッセージと希望を残すのだ。
            "EL TREN ES NUESTRO"
それは、作品の中の人間だけに残したんじゃない、画面を観ている私にもそのメッセージは確かに強く伝わったのだ!!

*アルゼンチンは1857年の開通以来、鉄道によって経済を発展させてきた国。本作の背景として、91年からの分割民営化政策によって、およそ6万人の鉄道員が失業したという事実がある。自由主義経済を押し進めるために行われた一連の政策により、失業率が急上昇、貧富の格差が広まっていったと言われる。本作で描かれている鉄道員たちは、この時代を象徴する失業者の姿であり、庶民の姿なのだ。(「goo映画」より)
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2 コメント

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コンバンハ♪ (Puff)
2008-04-20 22:49:42
ねー、ホント良い映画でしたねー・・・
なので、もっとたくさんの劇場で上映して欲しいし、
何よりユーロスペースでももう少し長く上映してくれたらなあ、と思います。。。

恥ずかしながら、わたくし、アルゼンチンの内情について殆ど知りませんでした・・・
今回の映画でまたしても勉強させて貰った次第です。
彼らの置かれた状況はとても辛いものだけれど、
でも、最後に希望の光が見えたのが救いでしたね。
彼らのメッセージがこちらにも伝わって来ましたよねん・・・
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Puffさま~☆ (rubicone)
2008-04-21 23:46:26
同感です~!何で、こんなに上映期間が短いんでしょうね・・・こんなに素晴らしい作品なのに、ほんとに残念に思います。でも、観られたのでよかったです!!

たまたま、南米の作品を続いて観たのですが、伝えられている情報があまりに少ないことに気付かされて愕然としました~。この作品によって、初めて1950年代にアルゼンチンで起こっていた出来事を知りました。

暗闇を割いて走る汽車の姿に、ほのかな希望を感じられて、観ていた自分自身も勇気付けられた気がしました。決して声高にメッセージを語っていたわけではないのに、じわ~っと、しかも強くそのメッセージが伝わってきましたよね~☆
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