Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

PERFECT DAYS

2024-01-22 22:26:27 | 映画 は行

2023年/124分/日本 

監督:ヴィム・ヴェンダース 

出演:役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和

ストーリー:東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山。淡々とした同じ毎日を繰り返しているようにみえるが、彼にとって日々は常に新鮮な小さな喜びに満ちている。昔から聴き続けている音楽と、休日のたびに買う古本の文庫を読むことが楽しみであり、人生は風に揺れる木のようでもあった。そして木が好きな平山は、いつも小さなフィルムカメラを持ち歩き、自身を重ねるかのように木々の写真を撮っていた。そんなある日、思いがけない再会を果たしたことをきっかけに、彼の過去に少しずつ光が当たっていく。

 

トイレ掃除人が主人公だということくらいしか知らずに友人に誘われて観に行ったのだが、これはじわじわと静かに心に満ちてくる、そういう作品だった。

毎朝起きて身支度をして自販機でコーヒーを買い車に乗ってトイレ掃除の仕事をし、帰るといつもの店での一杯を楽しみ、文庫本を読んで寝るという日々を、まさに判で押したような日々を積み重ねている平山が主人公だ。

一見、同じことを積み重ねているようで、その日々に全く同じ日はない。しかし、平山はいつもその日、その一日を精一杯生きていく。

どの一日も、それぞれに愛おしくかけがえのない日々の連なりだ。平山のトイレ掃除を見ているとその丁寧さに感動する。まさにプロフェッショナルなその仕事ぶりに感動を覚える。

気持ちよく公衆トイレが保たれていることは当たり前じゃない、こうして掃除をしてくれる人によって支えられているのだと改めて思う。

そういう日々の中に起こるちょっとした変化、あるいは闖入者によって穏やかな日常にさざ波が立つ。

そうだよなあ、それが人生だよなあ、なんて観ながら思う自分がいる。

映像と音楽に彩られた一編の詩に心揺さぶられた。

今、作品の中で自転車に乗りながら繰り返された、歌のような「こんどはこんど、いまはいま」というフレーズがずうっと心の中に響いている。

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