青龍神界鏡

次はまた首相してみんかお前。
https://www.youtube.com/watch?v=CsI7GSs4d1s

八十五面目   ファッスァゥここに在り その一

2012年10月10日 19時00分00秒 | 投稿


ファッスァゥ星人その一

“ズブリ”
一本ずつ鋭利な小型独鈷が刺さるのはそれぞれ片目ずつです。

パイセ具

そして口から奏でられるのは雄々しくしかしどこか中性的な真言の詠唱と意味深な鼓舞です。
要するにファッスァゥ星人です。
「“ヴァーイグ”
さあさあ皆さんところでどこぞかしこで何を無為に霊力を漏出しているのですか。
そんな事に魂を預けず、力強く曼荼羅に坐すのです。
快楽も苦痛も愉悦も権益も学習欲も性衝動も勇気も記憶も何もかもとにかく真言に変えるのです。
“ボルグ”」
「政経法務部長。
政経法務部長。
た・・・大変だ。
霊力が魂を溶かし出したようだ。
真言を詠唱し過ぎだ。
霊理医務部の僧侶を呼べ、今すぐだ。」
「“ジーク”」
「何なんだ、一体何の騒ぎだ。
仕事中に真言を唱えるな、やかましいぞ。
うわっ・・・部長何やっているんですか。
目が・・・目が・・・うわーーーー。」
「やかましいのです。
かしましいのです。
なまめかしいのです。
どこぞかしこでの霊力の漏出がかまびすしいのです。
ええい、あなたもそんなところでうろたえていないで、自らの意思で曼荼羅に坐し、真言を唱えるのです。
“ヴーラ”」
「うわーーーーーこの人印契を組む指が何本か変な方向に曲がっているーーー。」
「かまびすしい僧兵な事ですねーー。
印契の多様性は自らの意思でいかようにも高しめる事が出来るのです。
例えばこの指折り。
逞しく力を求めての指折りたるや要するに新たな印契の形象のためなのです。
力を求しめる意志か弱き白帯僧兵など外縛印で力の吸着は十分。
しかし私は金剛界曼荼羅の璽奥(じおう)玉神殿蓮華座(今考えた)坐すは”ヴァルギーラ”(自分で名乗り出した)、その程度の印契では事足りぬのです。
余りにも太しまった力求める意志には、智拳印すらいと無力。
新たな印契の開闢を迫られ、いや自ら開闢するのです。
そう、自らの魂の蓮華の八葉美しき事宇宙開闢の真理と合一なるをあの宇宙八大理力を曼荼羅にしたためし偉大なる国祖ズゴリダン認められるがままに、私は美しく自らの理力を全てが曼荼羅よりの大瀑布とするを決めたのです。
“ジダグラーズ”」
“ヴァルギーラ”の指はミチミチと音を立て、奇怪な形象を描き出します。
「これぞ我が”大宇宙極炎氷重電土水空印”です。(今思いついた)」
「この人頭いかれてる、霊力の使い過ぎだ。
うわーーーやばいよこの人。」
「独鈷が目に突き刺さっているのに・・・何でこっちの方向を向いてこれるんだ。」
「痛くないのかこの人。」
「多分痛くない。
噂で聞いたことがある。
霊術でいかれたなら痛みの鈍麻と奇妙な狂乱が起きると。
この人もう終わりだ。
もう一生治らないよ。」
「この人やたら元気良くて、出世しまくるなと思っていた。
霊術使いすぎていたのか。」
「なーんだ、ずるい人だなあ。」
「“ヴール”」
「また変な印契開闢しているよ。
これまずくないか。」
「ああ、まずい。
勝手な印契の開闢は処罰の対象だ。
自分勝手な真言の組み合わせもだ。」
“ヴァルギーラ”は目に刺さった独鈷のずり落ちを直して目に深々と突き刺しながらこう詠います。

ファッスァゥ星人その二

「何なんですかあなた達は。
今私の永遠曼荼羅開闢の時を眺めて霊的脈動を吸わんとする算段、この私の天眼通に見通せないとでも思っているのですか。
今の私の霊力たるや国史主席たるや自明。
何もかもあれもこれもそこの観葉植物も筆記具も女性用厠の三角箱もいじめに遭う子供も霊的脈動と変えて吸着する事が出来るのですよ。
皆さんが力求める意志か弱いままに佇んでいるその足場すら即座に曼荼羅と変えられるのです。
そもそも私はこうして力を求める意志に覚醒せし璽奥玉神殿蓮華座“ヴァルギーラ”。
然るに生まれいずる時より“ヴァルギーラ”であったとするが当然。
何故なら“ヴァルギーラ”の法言全てこれ真理にして至言。
天上天下唯我独尊これ“ヴァルギーラ”がための尊称。
そう国史に編纂あるが必定。
その編纂脈動の足がかりがあなた達の立っている立座陣形だこら。
おおっと璽奥玉神殿蓮華座たるこの私としたことが言葉を乱してしまいました。
これは良くありません。
“プアーグ”」
「うおおおおーーーーーー。
独鈷の根っこまで目の眼腔にーーー。」
「いやーーーこの人死んじゃうーーー。」
「きゃーーー誰かーーー早くーーー。」
「何だこりゃーーー。
独鈷の先っちょが目から生えてる状態じゃないかーー。」
「やべーーー。
在り得ねーーーーーー。」
「いかれている。
しかしこの霊的脈動、貴重だ。
取り合えず写真撮って真言の詠唱だ。」
「ああ、そうだな。
“ボーーゥルゥ”」
一人の部下はきりりとした顔つきを整え、雅やかにゆっくりと印契を組みます。
「あ、私も。
“プゥーーイグ”」
「“リィーーグ”」
「“ヴァーーーイル”」
「“パァーーーイル”」
光景は何と目の瞳孔から独鈷の鋭利な先端を生やしめた政経法務部長の周囲を絶叫と真言と印契を囲むが如くです。
要するにこれが宇宙の天然記念仏ファッスァゥ星人なのです。
“ヴァルギーラ”は片足を組んだまま、机の上にどっかりと腰を落ち着けます。
右手だけはゆるりと”中品中生(ちゅうぼんちゅうしょう)”を組み、目からは鋭利な槍を生やしたままです。

中品中生

「ふ・・・皆さん力求める意志の強さか弱くして私の視線いと鋭きに嬌声を上げるは当然。
私の曼荼羅に坐したも同然。
しかしその程度の法力の達し方で私の国史を編纂出来ると思うが如きもまた傲慢。
そして何より許せぬはその弱々しい真言の詠唱の声の張り。
もっと野太い、猛々しくも格調高いこの美声にこそ真の法力は宿り、耳にする者皆を曼荼羅に導くのです。
そうして可能になるは我が国史の編纂作業。
弱々しい真言の詠唱で私の真言の詠唱のいと強き法力を浴び、国史の編纂作業を推し進める算段、この究極法力独鈷眼の天眼通に見抜けぬとでも思っているのですか。
“ヴール”」
“ヴァルギーラ”は口元をきりっと引き締め、両手を交差させ、両目の小槍を厳粛な円で飾ります。
「な・・・何が起きているんだ。
何をやっているんだ。」
「うっおーーーーー、すげーーーー。」
「おお、取り合えず真言と印契だ。」
「な、何だこの霊的脈動は、取り合えず吸着だ。
“バウガン”」
「どいてください、霊理医務部の者です。
この人ですね。
すぐに医務室に連れて行きましょう。」
「何なんですか。
私の曼荼羅を乱すはいずれは究極神霊院明元波を喰らうは必定。
許されませんよ璽奥玉神殿蓮華座に対するこのような法力無礼は。
霊的脈動が大いに乱されましたよ。
霊術をかけておきましょう。
“ヴォス”」
これがファッスァゥ星人なのです。
要するにこの霊的騒動の収集はまだ先です。
この独鈷の視線に見詰められたら笑うしかないのです。
“クアンスインタン”

独鈷の視線

二千七百三青字


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