青龍神界鏡

次はまた首相してみんかお前。
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七十七面目   何故だ その五

2012年10月02日 21時00分00秒 | 投稿

放心状態が続く隷元は水色の液体の水かさの増大を意に介しません。
「ああ・・・ああ・・・ああ・・・怖い・・・怖い・・・怖い・・・」
口元の緩み切ったそんな隷元を眼下に見降ろすのは異星人の官僚シュフウヮアスルです。
シュフウヮアスルは無言のまま、水かさが増していく視野に知的営為を及ぼさずの隷元により、思考を沸かしめられます。
“この男は何も分かっていない。
自分の為した知的営為が不特定多数へ仕向けし即興祭祀作法、印契が向きしはこちら側の純正な知的営為との事実に関し。
そもそも、分かるに至り得なかったのだ。
要する知性段階までに達せず殿であったのだ。
しかし、この男、大統領職位への就任後に主催されし当該職権周囲の知的営為の源泉はこの男の権力なのだ。
資本主義系統国、存在象限甲-乙に分類さるる国家の指導者として当然に被液する知的営為義務の総量と、回転式自動放水器が如く世に及ぼし得る不履行沙汰の影響を考慮すると、この男の大統領への就任事態は地球にとっては不可避不幸だったのだ。
この推論を、国家施策の形成過程の判断材料として取り上げゆく政経領域の存在を、現代の地球には期待出来ずであった。
そしてこの男の知性段階への斟酌、適性評価を怠ったこの国の知性峻別機構たるや、惨憺(さんたん)たる有様だ。
今に至ってもこの男は、自身を取り巻く状況について適切な知的営為を、行わない。
水かさとは、お前が主催した祭祀との非知的象限営為と、これへの知的惜別に不足と判定されし知的営為量の象徴なのだ。
水かさの高さは絶対に妥協しない。
妥協は私達の知的営為が、この男の情動との非知的営為に屈した事を意味する。”
「・・・隷元よ、聞いているのか。」
「・・・・・・はぁ・・・」
「先刻より幾度となくお前に呼び掛けを行っているだろう。
社会的誠実さ微量なる返事をするな。
・・・追加措置を依頼する。」
「措置への障壁条件、皆無判定。」
「隷元よ。
私、相互互恵的隠密評価実地調査経由及び学理譲渡仄めかし系完全潔白無罪官僚在籍者シュフウヮアスルの知的営為を無下に、計らうな。」
「・・・は・・・い・・・」
「・・・・・・・・・そもそも何故、このような窮状に至ったとお前は考えているのか答えろ。」
「・・・はい・・・・・・私が犯した落ち度が原因です・・・。」
「その通りだ。
お前が犯した落ち度が事態の根源だ。
どのような落ち度だ。」
「・・・恐怖に駆られ、情報を不適切に漏洩しました・・・・・・」
「そうか。
ところで恐怖に駆られるより先に、欲望に衝動させられたのは何故だ。」
「・・・私が・・・私の政務万象が、何も深く思案せずままの、高速口語反応続きとの、愚かな在り様が・・・自然招来してしまった、・・・職場での雑談志向を・・・全く咎めずの・・・愚かな在り様を・・・気付かずの人間だからです・・・。」
「愚かな在り様とは、何を意味していると考えているのだ。」
長い問答の末、隷元はこう言わしめられます。
「私が他者の知的営為を軽んじ続け、かつ身体志向享楽に堕落し続けた、自己責任営為が根本的原因です。」
「愚かなる第四十代某国大統領隷元よ。
人間の知的営為を軽んじる、享楽主義者よ。
自己の堕落が他者の正当な職務、知的営為を毀損せし果て、無法源なる思考混濁への弁済姿勢を示せ。」
「・・・はい・・・異星人"G"様方と我が国の関係の実態たる技術譲渡契約の代価として、自国及び全世界の人間、動植物、国体への侵襲被害意思の徴発及び提供意思を"G"様方へ迫るにつけ、回転コマ状地上権力の針を契約の署名筆記具に用い、書面に穴を穿ち、乙方の唖然を買ったのは私です・・・。」
「・・・お前が今感じる、恐怖や絶望の総量の素性を、契約代価存在として強制的、非自発的献身を強いられた大勢の人間の不快感情と比して、どう捉えるか。」
「・・・全く取るに足らない微々たるものでございます・・・・・・」
「そうだ。
足りていないのだ。
足りていないのだ。
足りていないのだ。
足りていないのだ。
足りていないのだ。
足りていないのだ。
足りていないのだ。
足りていないのだ。
足りていないのだ。
足りていないのだ。
足りていないのだ。
足りていないのだ。
足りていないのだ。
足りていないのだ。
足りていないのだ。
足りていないのだ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・お前が今選択すべき倫理的弁済法は何であろうか。」
「・・・謝罪です・・・」
「ここに在る今のお前、一人が如何にして法的功利を備える謝罪を発表出来るのだ。」
「誠心誠意謝罪致します。
・・・大勢の方々に、不必要な知的営為を求めてしまい、理不尽を強いてしまった事を本当に申し訳無く思っております。」
「誠心誠意とは一体何だ。」
詰問の果てに、隷元はこう言わしめられます。
「・・・・・・激痛が、許容される唯一の倫理債務弁済姿勢係数です・・・・・・」
シュフウヮアスルは知性全面が自然駆動せし、自動詞属性の笑みを口に表示します。
「そうか。
知性がこの場合、導くべき正答と評する。
知的結実を人間が讃え合う機とは人間には稀である、と言ってみるぞ第四十代某国大統領隷元よ。」
シュフウヮアスルは知性全面が灯す笑みを湛えて満足げな一方、隷元は涙と鼻水、嗚咽にまみれる顔はくしゃくしゃで肛門には赤い穴が開いたままです。
シュフウヮアスルは自己の笑みの相手であった隷元が沈む混濁状況を赤い穴の肛門ごと意に介さず怜悧な表情に立ち戻ります。
「隷元よ、良く聞くがいい。
お前は何故このような苦境に至ったのか、自己が把握する推移を丁寧に口上してみろ。」
シュフウヮアスル達は隷元に水分を適宜与えながら、隷元にとっての事態を始めから説明させます。
「隷元よ、分かっているではないか。
今しがたのお前の口上には私は概括的に同意を与える。」
長い説明をようやく終えた隷元を尻目に、異星人"G"の一人が傍らの操作盤を操作すると、隷元の身体が入っている楕円形寝台の壁面が横へずれていき、天井を構成します。
寝台が外界から隔離されると内部には白い電灯光が満ちます。
内部に満ちる水色液状の水かさは隷元の口と鼻に、辛うじて呼吸を許す高さです。
奇妙な電子音が内部に鳴り響き出します。
身構える隷元にはしかし、身体動作は不可能です。
首を動かす前の段階が、液体による呼吸困難との予想を迫ってくる為です。
視線のみが精一杯泳ぎ出します。
「隷元よ、自己が泳ぐ現在の運命の素性を簡易表現にて答えよ。」
「私の落ち度の結果です。」
「その通りだ。
お前が自ら選択した運命だ。
視線を逃避させるな。
戸惑い心理の露呈を、心理圧搾の弛緩と、つまりは状況逃避の試みと捉える。
お前の知的営為が導いた状況理解からの、情動象限営為を通じた逃避だ。
その判断量は、お前が訴えた非知的裁量による災厄と、正当な知的営為量の相関計算に投入する。
覚えておけ。」
「はい・・・」
こうして左右に泳ぐ視線までもが楕円形カプセル運命に閉じ込められた隷元の目は天井の蓋に向き、瞬くだけです。
「私の知性、全面自然駆動の時が既にお前に伝えた通り、お前が発信すべき神経刺激の総量は以下だ。
そしてこれに追加される、お前が不足せし知的営為総量は以下だ。
お前は私達との関係が析出する利益と、不特定の他者に負債を強いし営為において、先程の問答で明らかになった通り、知的営為が大いに不足していたのだ。
お前が設営を望んだ技術譲渡契約の現場へ、同意を伴わず、強制的に連行されてきたと私達が断じた実験参画候補者は、お前の知的営為による正当化が伴わない、不当な疼痛を強いられたのだ。
そしてお前はその疼痛に対し、現在ですら知的営為で贖いを計らう事を能わない。
ところで私達は実験参画候補者の不安心理の安息が為、可能な限り企画を展開した。
私達は契約の知的進行の過程で、倫理的当然の選択を選んだのだ。
実験参画候補者への計らいの過程、電気代が消費した。
しかし実験参画候補者は、お前達側が選択した実験係数を理由に、不安を完全に霧散するには至らなかった。
実験参画候補者は同意を伴わずして命を失い、死体を損壊され、残存臓器を摘出された。
実験参画者の遺体は、厳粛作法を従える弔意で遇されずであった。
お前達との契約に全面的に参画せし私達の知性は何の事前説明も無く断絶観念、不当な意外さを投げ付けられ続けた。
お前のせいだ。
お前のせいだ。
お前のせいだ。
お前のせいだ。
お前のせいだ。
お前のせいだ。
お前のせいだ。
お前のせいだ。
お前のせいだ。
お前のせいだ。
お前のせいだ。
お前のせいだ。
お前のせいだ。
お前のせいだ。
お前のせいだ。
お前のせいだ。
隷元、お前のせいだ。
贖え。
そしてお前にはそれへの知的営為は不可能だ。
またお前は相互対話型知的論理営為不適格者でもある。
神経で贖え。
神経とは高度知性の展開を要する知的契約ではなく、現在のお前にも選択が可能な原始的労働手段だ。
実験参画者が見せる戸惑いに私達も大いに戸惑ったのだ。
私達の戸惑いを、お前が弁済すべき神経刺激総量への投入計算を済ませた理由は・・・」
「ううわぁぁーーーーーーーーーうわーーーーーーーーーもう嫌だ、もう嫌だ、もう嫌だ。」
「・・・追加計算を臨時発議する。」
「発議採用への障壁条件、皆無判定。」
「お前は今しがた、私の知的営為に対し情動の発露で反応し、私の知的営為を妨害した。
私が被った心理負荷は、厳格な心理衝動調査の結果、測定が可能だ。
お前が発揮すべき神経刺激の総時間は現在、約八百時間だ。
泣き叫び声による私の知的営為への妨害行為に等しい、神経刺激措置に対する抗いの声量や身体仕草を私達側が判定したならば、時間は加算される。
お前が知的結論を導く際に協力を強いた私の知性を軽んじたと見なすからだ。」
「ノウアァァーーーオウウアァァーーーフホウワーーーヌォオオオーーーノオオオーーー」
「・・・追加計算を臨時発議する。」
「発議採用への障壁条件、皆無判定。」
この男は肛門を赤穴に変えるに先んじて、包含範囲、全世界也との契約を、異星人側へ締結を迫っていました。
異星人が提供する科学技術と文明視野への代価とされた人間生命の供出範囲は全世界でした。

水かさ

四千九十七青字


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