青龍神界鏡

次はまた首相してみんかお前。
https://www.youtube.com/watch?v=CsI7GSs4d1s

五十面目   私達は学んだんだ その三

2012年09月12日 19時00分00秒 | 投稿

“欲望原子と堕落中性子の遊離結合は永久”の旋律が響く闘技場内には男と子馬の猛々しい合唱が加わっています。
ギュアースクエーイズ国欲情旧皮質選好主義者凜理規律闘育担当官ヌアイスドゥアーイスライスは鼓動の脈拍に亢進を見せずに怜悧な眼差しを目下の闘技場に傾けたままです。
無機質な平淡口調は相変わらず変えません。
「民間企業特殊心理煽情商品展開責任者ルァーンクィースルよ。
お前は今大脳旧皮質の扇動に知性を屈服せしめたままだ。
お前の肉体が発する生理情報の分析から明白だ。
お前の存在は今や火星の歴史にとって忌むべき自動走行の子馬だ。
欲望の命ずるまま自動走行を火星で続け、周囲の人的資本、社会駆動歯車調整資源を棄損し、自身の欲望の増分を追求していくのだ。
そして増分した欲望が命じてくるさらなる欲望律動とお前によって、火星の地に欲望の子馬が満ちるのだ。
さあルァーンクィースルよ、今こそ乱暴心知性的化精神を発揮するのだ。
お前を支配する欲望の波を調伏し、知性の支配を取り戻すのだ。
ルァーンクィースルよ、火星に欲望の子馬を生み落としてはならない。
腰を振る事で得られる、クスァーンルィーンクァーングの性器によるお前の性器への摩擦及び圧力を通じての性的快楽に溺れるのを止めよ。
お前を襲う性的衝動と性的快楽の波を調伏するのだ。
お前は長らく乱暴心知性的化精神が不足していた。
乱暴心知性的化精神を発揮せよ。
この試練を乗り切るのだ。」
「フグゥアアア。
グホアアアッ。
フウッフウッフウッフウッ。
アウガアアッアアアッアアアッ。
フシュゥゥゥゥフスフシュゥゥゥゥフス。
ウルゥールゥールゥールゥー」
ルァーンクィースルは上方のヌアイスドゥアーイスライスに目を見やりますが、その際も決して腰の振りを止めようとはしません。
彼の頭は腰を振る事が重要だという判断を下すも何もなく、ただただ襲いかかる快楽の波が更に求める快楽に溺れ続け、結果、原始的振る舞いが重要だと命令されています。
ルァーンクィースルの目は完全に血走っていたので、激烈な性欲と、この状況に追いやった周囲への怒り、恥情報を分散させぬよう求める罵倒語の逡巡、自身の状況の脱出法の検討が数瞬頭に浮かんでも、全て目の充血のたぎりになっていきました。
その事を血走った目の奥で何となしに把握すると、彼はもはや情報分析はどうでも良くなりました。
血走った視界に映るものはとにかく何もかも、やはり血走った頭に吸収されてしまうからです。
そこで彼は、猛り切った性器が欲望の子馬で落ち着くのを待つ事にしたようです。
相手は子馬、性器は快楽。
知性を捨てた。
状況はもうどうでも良い。
快楽は性器、相手は人間。
知性は無い。
強制力に従う。
そういう訳で二人は今、原始的生理欲求への服従という婚姻手続きを済ませたばかりなので、新郎新婦の挨拶をしているところのようです。
「フルゥゥッフルゥゥッフルゥゥッフゥゥゥルルルフゥゥゥ。」
“ブリヒィィィィブフィーーググィーーグギィーースフウウウウウ”
ヌアイスドゥアーイスライスは二人の語らいには無関心です。
「ルァーンクィースルよ。
乱暴心知性的化精神を発揮せよ。
乱暴心知性的化精神を発揮せよ。
乱暴心知性的化精神を発揮せよ。」
この言葉を四十九回繰り返しました。
「お前の知性的活動を司る脳分野がこの状況下で辛うじて峻別する事が出来るのは複数回の繰り返しを通じた言語経由情報だ。
現在、原始的欲求に耽溺しているお前の脳の知性的分野に一方的に据え置いたこの言葉は以降の人生で、ある状況への推移を見せる際に必ず知性的分野から鳴り響く事になる。
その状況への推移とは、お前がこれまでの人生で服従を選択し続けてきた原始的欲望系統への志向だ。
その時、私のこの拡声器を通じた声がお前の頭に“乱暴心知性的化精神を発揮せよ。“と命じてくるのだ。
欲望に屈し続けて誘われたこの闘技場での、クスァーンルィーンクァーングとの情交に屈し続けた際に突き刺さったこの声はお前に欲望の調伏を仕向けてくるのだ
しかし、現在私が投げかけた文法と意味の正確な理解の期待値は低い。
お前の頭脳が発する脳波が示す知的統御力は低いからだ。
お前の知性的分野の機能は現在低下しているのだ。
お前は後ほど自身の行為の一部始終について音声付で情報収集する事になる。
当然、お前の知的統御力の回復の確認を厳正に行っての上での事だ。
今のお前が為すべき事は、自身を襲う性的脈動の調伏を可能な限り行う事だ。
そのためにはお前の知性的分野の限界的努力が必要なのだ。
お前は何らかの高等文法を他者から投げかけられたと認知している事だろう。
脳波は文法理解の相を微弱に描いている。
つまり、お前は絶対に言語展開が可能な、同列存在の人間を認知しているのだ。
また、お前の脳波波形も人間形象の存在認知の相を描いている。
ところで他者の前で動物との性的行為に耽る恥は欲望の本当の調伏に適切ではないのだ。
薬効の収まりと羞恥心の回復を待ってはならない。
今現在の生理状況で欲望を調伏するのだ。
乱暴心知性的化精神を発揮せよ。」
ルァーンクィースルはヌアイスドゥアーイスライス達の何らかの入念な綾しめ、高度な意思の存在を匂いつつも咆哮を止めません。
身体への急迫不正の物理的危機すら今の彼を止めるには極めて限定的条件が求められるのです。
調査結果では、心臓や目などの重要器官への刃物の接近と軽い切り付けによる本当の害意の暗示が必要でした。
ルァーンクィースルは開けっ放しの口と、快楽支配への無力感からくる茫漠感と充血の目はヌアイスドゥアーイスライスへ向いていますが、下半身は動物と一体化したままです。
発しようとする言葉は全て原始的な喃語の流動食品として逆流するばかりで意味をなしません。
「アウーアーイウェイウェーーイフアーーールフアイアイアーイフイーー。」
「乱暴心知性的化精神を発揮せよ。」
ヌアイスドゥアーイスライスは集票を済ませた選挙管理人の職務に対する怜悧な眼差しを緑色画面の状況緒言情報と眼下の一体化済みの動物に素早く投げ刺します。
ヌアイスドゥアーイスライスの精神を現在侵略可能なのは侮蔑や当惑ではもちろんありません。
それは未来から来る不安、凜理規律闘育不充分評価つまり換言すると、火星の未来における社会学的統計に基づいた不安分子の数値増分です。
彼は自身の職務は火星の未来を担っていると認識していました。
言わば闘育対象者は大切な一票なのです。
ルァーンクィースルのような欲望屈従選択者の類型人間は社会のある階層で必ず表出する仕組みを火星の国々は設定していました。
地下に潜行する欲望屈従選択者が火星にとって自動走行社会破滅推進空気成分として滞留しないようにするためです。
また、表れる欲望屈従選択者によって鍛えられる規律闘育は洗練と共に未来に継承されていくのでした。
ヌアイスドゥアーイスライスは乱暴心知性的化精神を実践しています。
「乱暴心知性的化精神を発揮せよ。」
「現場主任担当官、これ以上の知的分野穿刺言語の呼び掛けは記憶期待値の低下により、言語再現による警告効果の低減を生むと思われる帯域に接近します。」
「温風式保育揺り篭凜理規律専語刷り込み闘育段階に必要な生理情報の集約の完了を指示する。」
「現場主任担当官の発声言語の知的理解完了。」
ヌアイスドゥアーイスライスは部下の生理情報及び知的健康段階の概括評価に目を遣ります。
適切な時間経過時における、適切な部下上申、適切な闘育捌き、部下の適切な身体健康推移に評価をこう下します。
“問題無い。”
ヌアイスドゥアーイスライスは心中にやりと成功の笑みを浮かべました。
凜理規律闘育担当官にとっての現場不要感情、喜びを内心抱いたのです。
その感情による自身の心理状態表示画面への影響を気にしないのは受け持ち闘育の成功の確信が理由です。


火星語基韻始原さざ波励起小枝“ドュヤァー” 

三千百九十七青字


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