rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

ロシアとの戦争終結案、国民投票で決定? NATOの知られざるプレゼンス

2022-03-22 22:01:50 | 政治


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/reuters/world/reuters-20220322010

ゼレンスキー大統領は今頃になってロシアの休戦協定に関する条件を飲むには「国民投票による議決が必要」などと言いだしています。平時において「戦争をしてでもNATOに加盟する必要があるか」を国民投票で決めるなら解りますが、自分で勝手に「ロシアとの全面戦争を選択」しておいて止める段になって国民投票(戦争中は無理だろう)とはふざけるにも程があります。政治経験皆無であった役者ゼレンスキーは「米国NATOと世界経済フォーラム、そして巨大財閥が付いているから、振付通り演じていれば良い。」とだけ言われてその通りしていたが、プーチンが本気を出してウクライナ国民も数百万人が家や生活を失い、世界が戦争に巻き込まれる段になって初めて自分の愚かさに気づき、もう自分では責任も取れないと思い知ったのでしょう。財閥の領袖達は金を持って逃げ出し、命令していたNATOや外国勢は「一緒に戦争などできません」と梯子を外したのですから、「あとは誰か(国民が)決めてくれ」と投げ出したということでしょう。ここでウクライナにおける知られざるNATOのプレゼンスについて以下にまとめます。ここまで介入されていたらゼレンスキー氏も何とかしてくれると当てにしていたのも解る気がします。

I. ウクライナにおけるNATOの知られざるプレゼンス

ロシア軍は秘密兵器ともいえる極超音速ミサイルを使用して、ウクライナ西部の基地を攻撃している事はニュースでも報じられていますが、このウクライナ西部の基地についての詳細は触れられていません。欧米のサイトではNATO加盟国でもないウクライナに複数の訓練基地を米国が設けて米軍の部隊が実地に訓練をしていた事が普通のネット検索で明らかにされ、改めてウクライナにおけるNATO米軍のプレゼンスについて認識されています。前回のブログでも紹介した様に、2018年以降は米軍が供与した最新装備はこれらの基地でウクライナ軍やドンバスで戦うネオナチ民兵などに配布され、使用の訓練が行われていました。今回の戦争では諸外国からの傭兵や非公認のNATO軍事顧問らがこれらの基地に宿営しており、ロシアの攻撃で壊滅的打撃を受けた様です。

BBCで放映されたウクライナのネオナチ民兵についての報道

 

II. 参考までにかなりロシア寄りの解釈にも思えますが、軍事に詳しい米国人のブロガー、Larry C Johnson氏が2022年3月に論説を加えていたものを抄訳で載せます。

Larry Johnson氏

(抄訳はじめ)

1)ロシアはウクライナのNATOサイトを組織的に破壊している

 

先週の西ウクライナでのロシア軍の攻撃は、NATO当局者に衝撃を与えた。最初の打撃は3月13日日曜日、ウクライナのヤヴォリフで起こった。ロシアは数発のミサイルで基地を攻撃したが、一部は極超音速と報じられている。アメリカとイギリスの軍人や諜報員を含む200人以上が殺され、さらに数百人が負傷した。ところが、NATOと欧米マスコミは、この惨事を詳しく報道することはなかった。

ヤヴォリフはNATOにとって重要な前線基地だった。2月まで(ロシアのウクライナ侵攻前)、アメリカ第7軍訓練司令部はヤヴォリフで活動していた。最近ではフロリダ州陸軍州兵の第53歩兵旅団戦闘チームが訓練を担当していた。

ヤボリフ基地の概要(NATOが公表したパワーポイントの説明で見れる

ロシアはNATOに紛れもないメッセージを送った - 「我々は、NATOがウクライナでウクライナ人を武装させたり訓練したりすることを許さない。そのような援助を提供する者は誰でも戦闘員とみなされ、それに応じて扱われるだろう。」と。しかし、ロシアはそれだけにとどまらず、ヤヴォリフの南東60マイルにある別のサイト、Delyatynも攻撃した。ロシアはKh-47M2キンジャル極超音速ミサイルでデリャチン村にある大規模な地下倉庫を無力化した。 そして伝えられるところによると、大量の弾薬を破壊した。

これらの攻撃は、ロシアがNATOの軍事物資を破壊することに真剣に取り組んでおり、ウクライナに駐留すれば、ウクライナ軍と準軍事組織(ネオナチ)に訓練を提供する要員とみなされることをNATOに知らしめた。EUCOMの米軍指導者にとって衝撃的なのは、ロシアが両方のサイトを攻撃した際に、ウクライナが警告を発することができず、ミサイルを撃墜できなかったことです。これは、MIG-29をウクライナに送るべきでないとNATOに思い止まらせるものでもあった。

これらの攻撃は、ロシアがNATOの軍事物資を破壊することに真剣に取り組んでおり、ウクライナに駐留すれば、ウクライナの軍と準軍事組織に訓練を提供する要員であるとみなされると思い知らされた。

 

他にもジトミルの訓練所では、NATOが2018年9月にウクライナのサイバーセキュリティ訓練を実施し、ウクライナを「NATOパートナー」と表現していました。また陸軍のみならず、海軍のミョーラエフ基地も昨日(土曜日)に攻撃されました。黒海でロシアとウクライナ間の緊張が高まる中、アメリカは、ロシアが支配するクリミアからわずか数マイルのところの能力を高める工事を行っています。オデッサの東40マイル、クリミアの北西100マイルにも満たないムィコラーイウのオチャキフ海軍基地では、既存の桟橋の補強と近代化などウクライナ軍とNATO軍が演習を指揮し、活動を調整することができる真新しい海上作戦センターが新設されました。

最後に、NATOとEUCOMは、NATOが関与していたウクライナの基地に関するウェブサイトを注意深く削除しているようです。筆者はDuckDuckGoを使ってこれらの基地を検索しましたが、いずれもリンクが壊れていました。

 

2) ブログ 3月17日 ロシアによるウクライナ侵略と米国のイラク侵略の比較

 

17 March 2022 by ラリー・ジョンソン

アメリカ国民は、アフガニスタンとイラクの作戦でいかに米軍が苦戦したかを忘れてしまったようだ。ベトナム戦争以来、米軍は整った正規軍との戦争を戦っていない。1990年以降のすべての米軍作戦は、ほとんど能力の劣る軍か民兵の様なゲリラが相手であった。

米軍がアフガニスタンやイラクで困った時には豊富な空爆や巡航ミサイルを使って相手を殲滅することができました。一方で、ロシアは一流の空軍、恐るべき防空能力、核兵器、極超音速および亜音速巡航ミサイルを持つまともな正規軍です。

2003年のアメリカのイラク侵略と、現在のロシアのウクライナ侵略を比較しよう。多くの退役アメリカ軍将校の分析では、ロシア軍は予想より弱く、作戦に失敗しているとされますが、果たしてどうでしょう。

  • ロシアは 150,000人の兵士 (欧米マスコミによると)でウクライナに侵攻し、一週間でイギリスに匹敵する領土を奪取した。ロシア軍は3日間でキエフに到着し、その後の15日間でキエフを系統的に包囲してきた。
  • 米国は2003年3月、10万人の兵士でイラクに侵攻した。バグダッドの郊外にたどり着くのに2週間かかり、バグダッドを「確保」するのにさらに1週間かかった。アメリカは5月1日に勝利を宣言した(ジョージ・W・ブッシュが「任務は達成された」と宣言したのを覚えているだろうか)。
  • ロシアは、有能な空軍、防空システム、装甲と大砲を備えた装備の整ったウクライナ軍に直面した。ロシアは空軍と防空システムを急速に解体し、ウクライナの通信線に大きな混乱をもたらした。
  • アメリカ合州国は、空中援護、大砲、首尾一貫した装甲部隊を欠く、幻滅し、混乱したイラク軍と対峙した。アメリカ合州国は最初から制空権を享受し、アメリカの進撃を阻止しようとするイラク部隊のあらゆる企てを容易に打ち負かすことができた。
  • ウクライナは、地理的に、イラクより三分の一大きく、機械化された部隊の前進に障害となる川が多い。

ロシア軍は複数の戦線で前進を続けており、ウクライナ軍部隊の残骸を孤立させる過程にある。欧米の軍事アナリストは、民間人に死傷者を出さず、主要インフラを破壊しないよう前進しているロシアを「士気がない」と勘違いしている。それは目的をはき違えている。ロシアは、ウクライナ軍の「非ナチ化」を実行するための戦闘方法において、目覚ましい成熟度を示している。しかし、この注意には限界もあり、もしウクライナ人が、降伏の機会を繰り返し拒否すれば、ロシアは容赦なく破壊力を発揮する可能性が高い。(参考:モスクワのシリアルール J.Jeffere)

ロシアは19日間でより多くの領土を占領し、2003年のイラク軍よりも遥かに優れたウクライナ軍を打ち負かした。米国が同等の結果を達成するのには26日以上かかった。

最近言われる、ロシアが化学兵器や地雷を使用するという憶測はナンセンスだ。化学兵器は、攻撃部隊の前進を遅らせようとする防衛上の作戦で使用されるものだからです。イランとイラクが1980年代の戦争中にこの兵器を使用したのは、その目的でした。爆発性地雷も防御策です。第二次世界大戦のクルスクの戦いで、ソ連はナチスの攻撃を阻止するために地雷を使用しました。攻撃中の軍隊には、彼らの前進を妨げるような地雷を埋める時間がありません。ウクライナ人が、ロシアの攻撃を遅らせるために、道路や畑に地雷を敷設しているのです。

もし化学兵器がウクライナの戦場に現れたら、これは包囲されたウクライナ軍による最後の抵抗である可能性が高い。今後10日間は、ロシアの前進とウクライナ軍の終焉が訪れる可能性が近いと私は信じている。

(抄訳おわり)

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ウクライナ軍の実態

2022-03-19 17:55:25 | 政治

ロシア軍の侵攻から3週間以上が経過し、戦況としては、都市部はウクライナ軍がまだ抑えているものの、徐々にロシア軍が占領地域を広げており、首都キエフより東側全体はロシア側が占領しつつあります。前回掲載した両軍の損害状況などから、ウクライナ軍の善戦を報じるメディアが多いのですが、食料や燃料、損傷機器の補給や負傷者の後送ができなければゲームの様には戦闘を継続することはできません。NATOは参戦を明確に否定し、海外からの武器や義勇兵の補充はリビウ郊外の基地が遠隔ミサイルで撃破されたことからも解る様に不可能です。損害は大きいものの、ロシア側は陸路がつながっているので後送、補充は可能です。消耗戦になっても結果はもう見えています。西側の金持ち達のために、ロシアの国力を削ぐ道具として使い捨てられる「一般のウクライナの人達」が哀れです。

今回は「雑誌 軍事研究」4月号に掲載されていたウクライナ軍の構成と、指令を出す政権側の変貌についてまとめました。

 

I. 二重構造のウクライナ軍

ウクライナ軍には表の様に、正規軍であるウクライナ国防軍と2014年の政変後にそれまで内務省管轄で国内軍或は親衛隊であった組織が改変されて郷土防衛軍となった民兵中心の組織があります。近隣国に避難している人達が女性や子供ばかりなのは、着いて来た男性達が国境で国内に郷土防衛軍として戦う様に追い返されているからです。そして世界はウクライナの人々が国土を守る気概が素晴らしいと賞賛しているのです。

二重構造のウクライナ軍  雑誌 軍事研究の論説からrakitarouが編集

 

II. 急こしらえのウクライナ軍

ウクライナ正規軍は、冷戦終結後の軍縮案に沿って2000年策定の計画で2013年には陸軍は5万人程度でした。しかしクーデター後に東部地区で親ロシア派との内戦が勃発すると、ネオナチのアゾフ大隊2022年のウクライナ侵攻では、ロシア側が特別軍事作戦を行う目的として掲げるウクライナの『非ナチ化』の根拠の一つに挙げられている。クライナ国家親衛隊の東部作戦地域司令部第12特務旅団アゾフ特殊作戦分遣隊として、戦闘にも参加しており、2022年3月16日にロシア軍将官としては4人目の戦死者となるオレグ・ミチャエフ少将を殺害したと発表している。Wikiより)などを中心に米国などの肩入れで軍備増強が行われ、陸軍は3倍の14.5万人に増加、国民動員令で一般国民も郷土防衛軍として13万人が動員される体制が作られました。小規模ながら実戦が行われていたとは言え、急こしらえのウクライナ軍がどこまで指揮系統が確立して体系的戦略的な戦闘ができるのか、疑問に思います。勿論武器があれば目の前の敵と戦うことはできますが、戦いに勝っても戦略的でなければ戦争に負ける事はいくらでも例があります。それは大変勇敢かも知れませんが「愚かで無駄な殺し合い」でしかありません。

軍事研究の論説によると、詳細は省きますが、ウクライナ正規軍の戦車などの正式装備は旧ソ連時代からの使い回しが殆どで、今回活躍したとされるシャベリンなどの小型対戦車兵器は2018年以降に米国から供与され、多くは2022年1月以降に持ち込まれたものです(戦争準備が西側からもなされていた証拠)。

 

III. ゼレンスキーの2019年パリ会談以降の変貌

ゼレンスキー大統領が選挙時にかかげた公約(郷土防衛軍は廃止して正規軍のみにすると公約していた)

2019年パリ エリゼ宮で行われた会談の様子

1)パリ会談

2019年12月、大統領になったゼレンスキーは自らの公約に従い、ウクライナ東部の紛争終結に向けてプーチン大統領、マクロン大統領、メルケル首相と会談を行い、下記の様な合意に達しました。

(引用開始)

【12月10日 AFP】(更新、写真追加)ウクライナ東部の紛争終結に向けてフランス・パリで9日に行われたロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領の初の首脳会談で、両国は年内に完全な停戦を履行するとともに、2020年3月までに部隊の追加撤収を行うことを目指して作業を進めることで合意した。

 約8時間にわたって行われた一連の会談後に4か国が出した共同宣言は、「(ロシアとウクライナの)両国は、必要な全ての停戦支援策によって強められる完全で包括的な停戦を、2019年末までに履行することを約束した」と述べ、さらに「2020年3月末までに兵員と兵器を引き離すことを目的として」ウクライナ東部に新たに設ける3か所の撤退地域について今後合意する必要があるとしている。ゼレンスキー氏は、ドイツのフランクワルター・シュタインマイヤー大統領が外相時代に提案した「シュタインマイヤー方式」に沿って、ロシアとの交渉を進めようとしている。これは、ウクライナ東部でウクライナ法に基づく公正な普通選挙を行い、欧州安保協力機構(OSCE)の選挙監視団がこれを承認する代わりに、ドンバスに自治権を認めるというもの。

 ロシア政府は、プーチン大統領が「好感が持てる」「誠実だ」と評価しているゼレンスキー大統領と協力する用意があるというシグナルを出していた。しかし、深夜に開かれた共同記者会見で、マクロン仏大統領とアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相を挟んだ両端の席に座ったロシアとウクライナの両大統領の間に温かい交流の兆しは見られなかった。

(引用終了)

しかし、これらの合意は実行されることなく、さらに財閥解体などの他の公約も下記に示す様な実力者達に力づくでなし崩しにされてゆきます。

 

2)イホル・コロモイスキーの影

(引用開始)

廣瀬陽子:クリーンなイメージを打ち出してきたゼレンスキーが、実は財閥の手足に過ぎないのではないかという懸念もある。ゼレンスキーのバックにいると言われているのが、総資産額11億ドルを所有すると言われるオリガルヒのイホル・コロモイスキーである。彼は、金融、鉄鋼、メディア、エネルギー、投資と非常に多くの分野に進出しており、ゼレンスキーが出演するテレビ局「1+1」も所有している。

 コロモイスキーはウクライナ危機の際に私兵や私財を差し出してウクライナの秩序回復に貢献し、危機の直後にドニプロペトロフスク州の知事に任命されるなど、ポロシェンコと当初は関係が良かったが、やがて関係が悪化し、2015年3月には知事も解任された。その後、コロモイスキーのウクライナ最大の商業銀行「プリバトバンク」も国有化され、コロモイスキーとポロシェンコの関係は完全に冷え切っていた。他方で、ゼレンスキーとコロモイスキーの関係の深さは周知の事実であり、ゼレンスキーがコロモイスキーの手足になるのではないかという懸念が持たれていることは間違いない。

2021年9月財閥解体法案可決後に政府高官車両銃撃にも関連。アゾフを支援は公然の事実。

(引用終了)

表向き米国はウクライナオリガルヒを遠ざけるそぶりを見せますが、実態はバイデン親子を取り込むなどしてゼレンスキーの改革を阻止し、ネオナチの私兵勢力を政権中枢に付けた上で兵器の援助など行って反ロシア体制を固めて行きます。結果的にゼレンスキーは大統領就任当初の公約から大きく離れた現在の反ロシア、親財閥の西側パペット状態に陥って行き、現在の戦争状態に至ります。

 

IV. 沖縄戦を讃美する愚か

ゼレンスキーの公約にあった様に、近代国家においては正規軍は職業軍人からなる、政府によるの統制の取れた組織でなければなりません。国土防衛も計画に沿った体系的戦略に基づいて実行されなければ、守るべき国民に多くの犠牲が出ます。戦争は外交の一手段なのですから、出口戦略を見据えて計画する必要があります。一般市民が武器を取って抵抗するのは殲滅戦に至った最期の手段と考えるべきで、市民が武器を取って戦う「沖縄戦」や「本土決戦」を初手から行うなどありえない事です。日本の「防衛計画大綱」に初戦から日本国民は武器を手に自衛官と共に戦うと記載されたらどう思うでしょう。それを今回、ウクライナでは初手から行っているのに、欧米のみならず、日本でもゼレンスキーを英雄と讃え、ウクライナの愛国心を賛美しているのです。私はこのデタラメには怒りを覚えますし、賛美する人達には猛省を促します。自分は安全な場所にいて殺し合いを賛美するなど、戦争を何だと思っているのかと!

これからも未来永劫、ウクライナはロシアの隣国であり、引っ越す事はできないのです。ロシアとはうまく付き合って行く以外の道はないのに、どうでも良い遠方の西側一部金持ち達の都合で戦争させられる事に怒りを覚えないならば、真の愛国者とは言えません。

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ウクライナの戦況分析と「非ナチ化」の重み

2022-03-15 17:55:50 | 政治

ロシアのウクライナ侵攻は3週目に入って少し休戦協定への道筋が見えてきたように感じます。日本を含む欧米大手メディアは相変わらず「ロシア・プーチン悪」「ウクライナ頑張れ」「ロシアに制裁を」「ウクライナに支援物資を」というトーンで統一されているので本当の状況は良く分からないのですが、大きな流れを見るとどのような方向で出口に向かっているか少し解るように思います。陰謀論的には、欧米はエリツイン時代のロシアオリガルヒを追放し、ウクライナの欧米と連携した財閥を邪魔するプーチンを失脚させたい、ついでに戦争を長引かせてロシアの国力をできるだけ削いでしまいたいと考えます。犠牲になるのは一般のウクライナ人とロシア兵、ロシア国民なので欧米の経済も影響を受けて停滞しますが、後からその分上前を撥ねる予定の「超富豪たち」にとっては痛痒を感じません。ロシア・プーチンとしては、早急にウクライナから欧米に支援されたネオナチ・パンデラ派を駆逐して、親ロシアの政権を樹立させたいと狙っているでしょう。以下にこの思惑を踏まえた紛争の流れを示します。

3月11日時点の侵攻状況(NY timesから)

 

I.  核実験施設、生物研究施設をまずロシア軍が確保した意味

侵攻早期にまずハリコフ等で核実験施設やウクライナ各所の米国から経済支援を得て細菌兵器の実験を行っている生物研究施設を攻撃・確保したニュースが流れました。WHOは施設外に公衆衛生上危険なウイルスなどが漏出することがないよう処分を促す異例の勧告を出しましたし、米国議会でもロムニー議員がビクトリア・ヌーランドに研究施設の安全性を問いただす質疑が行われたと報道されました。ウクライナ核実験施設では中性子爆弾や戦術核について研究している疑惑もロシア側から出されており、これらの動かぬ証拠をつかまれて国連の場で公にされることは米国としては避けたい所でしょう。ロシアが偽旗の生物化学兵器を使って来ると慌てて騒ぎ出した理由は、欧米側にかなり不利な秘密が握られる恐れがあるという事だと推測します。米ロが交渉を始めた背景はこれらの証拠を公にしない代償として、ロシアに有利な休戦協定を結ぶためと推測します。

WHOも異例の勧告というニュース

 

II.  「非ナチ化」という条件

日本人は理解できませんが、ロシアがわざわざ明文化した「ウクライナの非ナチ化」というのは、欧米にとって受容する以外ない条件です。ナチを公に養護することは法律で禁じられているからです。米国がウクライナのネオナチを手なずけて「反ロシアの政権」を2014年の政変以降作り上げてきましたが、「非ナチ化」という条件は「どうぞ」という他ありません。元々米国はウクライナのネオナチをいつでも捨てられる「鉄砲玉」として利用しているだけですから、今回の件で思惑通りに行かない時には初めから助けるつもりは毛頭ないと思われます。それをロシアが解っていて「非ナチ化」を明言したのです。

現在ウクライナ正規軍は殆ど機能しておらず、主に都市に立て籠もって市民を盾にして抵抗しているのはパンデラ派のネオナチ・アゾフ大隊の1-2万人とシンパの民兵たちと思われます。ロシア軍は度々人道回廊を作って盾となっている市民を市外へ誘導し、残りは無差別攻撃で一機に殲滅(味方の被害も少ない)できるネオナチのみにしようと時間をかけて準備しています。西側と抵抗勢力は何とかそれを食い止めて、「市民は抵抗を諦めない」「ロシアが避難を妨害する」などと紛争を長引かせる画策をしています。

ロシアはシリアにおいて、ISISなどの凶悪な反体制派をアレッポからイドリブに逃走させて封じ込め、殲滅を試みました。同様に始末して良いネオナチとシンパのみを都市に残して殲滅させる分には欧米も文句は言えないという事を見越しているのです。当然欧米に逃げる場所がなく、殲滅させられる運命のネオナチ達も必死です。(参考:モスクワのシリアルール J.Jefferey)

ネオナチ・アゾフ大隊の集会

 

III.  ウクライナ側が善戦(ロシア苦戦)しているという評価

紛争を長引かせたい欧米はウクライナ側が闘争心旺盛に応戦していることを第三者的に喜んで「なかなかやるね。」と応援を送っているようです。米軍の幹部たちによる戦況分析で公になっているサイトなどの記事では、以下の様な分析がありました。(rakitarouの抄訳)

(1)ウクライナから米軍が学んだ3つの教訓

米国の国防高官が開戦2週間で今後のNATO戦略を考える上で学んだ3つの教訓

教訓 1. 補給は必須である。 戦争においてロジスティクス(後方支援)の重要性は第二次大戦以来ずっと重視されてきたが、今回のロシア侵略においても補給の途絶が余りに大きな損害をロシア軍に与えたことが分析上分かった。

教訓 2. 古典的テクノロジーの有用性。 絶え間なく移動しながら抵抗するといった古典的手法が意外にも最新テクノロジーを出し抜く事が再度確認された。

教訓 3. ヒトの問題が依然として重要。コンピューターのシミュレーションモデルでは3-4日で型がつくとロシアのウクライナ侵攻を予測したが、そうならなかったのはやはり抵抗するヒトの闘争心が勝敗を決める重要なファクターとなることを改めて認識させた。

 

(2)Oryx blogの被害分析

SNSなどで公開されている画像やニュースを丁寧に分析してロシア・ウクライナ双方の損害を集計したOryx blogという軍事ブログがあり、米軍も公的な分析に利用している(完全に正確でないことを承知の上で)のですが、3月初旬までのアップデートによるクリミア、ドネツク、ハリコフ、キエフ4正面の戦線におけるロシア・ウクライナ双方の損害集計はざっと以下の表になります(rakitarouまとめ)。

一般に攻撃は防御の3倍の兵力を必要とする(損害も同様に出る)とされますが、ざっくりと損害比率はその通りになっている、むしろウクライナ軍健闘と評価できる内容です。初戦で露軍苦戦というニュースはこれらの集計から出ていたものと思います。しかし損害内訳をみると、ロシア軍に放棄や鹵獲(運航不能で乗り捨て)が異常に多いことが解ります。つまり(1)で米軍将官たちが分析したようにロジが機能していないという事です。戦車や歩兵戦車の破壊が多いのは高性能とされる携行対戦車誘導弾シャベリンなどが活躍したからという分析は正しいでしょう。補給列車や海軍艦艇の損失は個々の車両1台に比べて大きな損失と言えます。尚、兵員の損失(戦死)が米軍推定でロシア4-6千、ウクライナ1200-1300というのも兵器類の損失結果と見合う様に思います。

 

IV.  今後の展開予想

(1)開戦前の要求で落ち着く

ウクライナ中立化、クリミア半島領有化承認、ドンバスの独立承認、親ロシア政権化を合意する事でロシア軍が撤退する可能性も0ではありません。元々プーチン大統領の要求はこれでした。ロシアの困窮状況、西側諸国の対応によってはこの内容で落ち着くと思いますが、戦争が長期化して双方の損害が大きくなるほどどちらも妥協しにくくなります。鉄砲玉のネオナチを早期に殲滅できれば親ロシア政権の確立も容易になります。

ウクライナ東半分をロシアが占領した境界の図(Ben Connableの分析から)

(2)東ウクライナ共和国?

ジョージタウン大学のBen Connable教授はウクライナ情勢の分析からロシアがウクライナの東半分を占領した場合を想定したシミュレーションを発表しています。氏によると米軍のイラクなどの経験から、ロシア軍の90%を投入しないと東ウクライナの治安と国民生活を維持することは困難、としていますが、元々同地域はロシア語話者圏で、下図の様に2010年の選挙でも親ロシアのヤヌコビッチ氏に投票していた人が多い地域であり、意外とうまく統治できてしまう可能性もあります。西側諸国の了解とネオナチ勢力をどこまで追い出せるかによるとは思います。

CNNウクライナ特集から親欧州(チモシェンコ投票)とヤヌコビッチ投票地域の区分け

ロシア語を第一言語にする人達の住み分けもほぼ同様と言われる。

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解放者(Liberator)はロシアかNATOか

2022-03-08 18:12:01 | 政治

ロシアによるウクライナ侵攻は2週目を迎えて、様々な情報が飛び交っていますが、戦争が終結する見通しは現在の所ありません。また停戦協定についてのロシア・ウクライナ双方の代表による交渉も3回行われましたが平行線の様です。報道は中立な立場で双方の動きや思惑を伝える物は少なく、情報戦の様相を呈しており、欧米西側に属する主要メディアは「ウクライナ被害者」「ロシア・プーチン悪」「ゼレンスキー大統領は英雄」「世界はウクライナを支援し、ロシアを制裁せよ。」という方向のみです。一部のオルトメディアやネットでは中立的立場、或いはロシアの立場から情報発信しているものもありますが、少数派です。

 

私は前回のブログでも述べた様に、普通の生活を送りたいウクライナの庶民にとって何が望ましいかという視点で考えています。ウクライナには4500万人の人口があるとされますが、150万人が既に周辺諸国に難民として避難していると言われます。逆に言えば4300万人以上はウクライナ国内に残って戦争が終わるのを待ち、普通の生活に戻れるのを願っているという事です。戦争が終わるというのは、1「ロシア軍が引き上げる」2「ウクライナが抵抗を止めてロシアに降伏する」のどちらかしかありません。1については、(1)「停戦合意に達する」(2)「ウクライナ軍が勝つ」(3)「NATOがウクライナ軍に加わり、ロシア軍に勝つ。」の3通りが考えられますが、現状(1)はこの3回の交渉をニュースで見る限り困難、(2)は無理、(3)に向けてゼレンスキー大統領や世界経済フォーラム(WEF)の有力者が尽力中です。では何故(2)が無理だと判断したかについて、以下にまとめます。

 

I .  ウクライナ正規軍は機能していないのではないか

前回のブログでも言及した様に、ロシア軍が苦戦しているという報道には違和感を感じます。むしろ「ウクライナ正規軍24万人は殆ど何もしていない」のではないかと私は思います。戦っているのは都市に籠ったネオナチ右派の民兵1-2万人だけというのが実態ではないかと感じます。それは前回ブログのコメント欄でも述べましたがいくつかの理由があります。

〇 軍事拠点制圧の様子や志願兵投入

NHKスペシャル3月6日「攻撃は止められるのか(最新報告ロシア軍事侵攻)」では日本にもウクライナ外交官として滞在していて、現在キエフにいる男性が、現状と今後の戦闘について述べていたのですが、「武装市民がゲリラ的に敵の補給など、後方を攪乱するやり方が主体となる。」と驚きの事実を述べていました。つまり正規軍同士の戦争はない、と開戦1週目の時点で断言しているのです。第二次大戦の独ソ戦でもパルチザン的な戦いも多くありましたが、主体はソ連軍とドイツ軍の正規軍同士の戦いで雌雄が決しました。しかしウクライナ正規軍は既に壊滅(か初めから戦っていない)と暗に明言したのです。また3月5日にロシア国防省がウクライナ南部のウクライナ軍基地を掌握したNHKニュースを見ると、ウクライナ正規軍は侵攻するロシア軍に対抗するどころか、すべての車両が整然と基地内に並べられていて、組織的に正規軍として戦闘準備をしていたととても思えない状態です。実際にヘルソン近郊はロシア軍に掌握されたと西側でも報道されていますから、この画像が本当であればウクライナ正規軍は無抵抗で基地を明け渡したと考えられます。また細菌兵器研究施設があったスネーク島の守備隊員はロシア軍の攻撃で全員死亡とされていたものの、全員捕虜となって無事で施設はロシア軍に破壊された(本当の戦闘があればあり得ない)とCNNでも報道されました。西側の勇ましい報道とは裏腹に、ウクライナ正規軍はロシア軍との戦闘を避けているのではないでしょうか。

使われない武器などが整然と並べられたウクライナ軍基地とされる映像

 

ゼレンスキー大統領は世界からウクライナ軍に志願兵を積極的に募集、懲役刑の囚人を前線に投入するといった政策を表明しています。日本では軍歴があり、軍の運用について理解できる人は自衛隊経験者しかいないので仕方ありませんが、「訓練されていない素人」ほど役に立たない者はありません。また中途半端に軍歴がある志願したゲリラなど、統制された組織行動ができず、自己判断で行動されては正規軍の足手まといであり、全てを台無しにしかねません。戦争は外交の一形態という基本があり、感情で行動されるのが最もダメな軍の運用なのです。

民間人を避難させる回廊を作って、休戦という取り決めが守られないのは、指揮系統がない民兵が戦闘を行っているからであり、現場で中央からの統制された指揮系統がなければ「今攻撃しても良いかどうか」は自己判断するほかないので当然停戦など守られない事になります。無知な日本のメディアは不可能でしょうが、それくらい軍の運用を理解している海外メディアは指摘したらどうかと思います。

 

Ⅱ  ロシアは正攻法でキエフ包囲作戦

1941年6月ヒトラーはバルバロッサ作戦を発動、7月南方方面軍ルントシュテット元帥はキエフ包囲作戦を慣行し、ドニエプル川の西と北から包囲してキエフ陥落を目指しました。現在ロシア軍がキエフ攻略のために取っている布陣は、地図に示されたロシア軍の進軍経路を見る限りでは、当時のドイツ軍と同じ戦術で正規軍が侵攻する定石通りに見えます。正規軍が行う地域の攻略には、相手軍を山野の戦闘で壊滅させるか、都市などの拠点の制圧をするかに分かれますが、今回都市などの拠点制圧のための軍の移動が「道路を縦列に使用」して行われていたことがニュースでも報道されていました。これは途中に敵がいない事が解っている場合の移動方法です。つまりウクライナ正規軍は山野では戦闘しない、移動の邪魔もしないと既にロシア側に判明しているという事です。市街地では市民たちが直前まで普通の生活をしており、第二次大戦の戦史に残されている様な渡河を阻止するための守備壕などの準備はないと思われます。市内のインフラは生きている事が報道されています。正規軍でない民兵が市街地でロシア正規軍をゲリラ的に迎え撃つとなると、インフラを含む市民への犠牲が莫大になることはイラクやシリアなどの例からも明らかであり、ロシア軍は今後の対応も考慮して慎重に対応しているというのが現在の姿ではないかと思えます。

キエフ近郊に展開するロシア軍の勢力を示した図

 

III.  住民を盾の状態から解放するのはロシアかNATOか

一般庶民にとって「今まで通りの普通の生活に戻りたい。戦争をやめてほしい。」が偽らざる心境でしょう。西側寄りだろうが、ロシア寄りだろうが、一部の財閥政界有力者には大問題でも一般庶民にとってはどうでも良い事です。対立する大国に挟まれた回廊国家はどちらか一方に近づきすぎると戦争に巻き込まれ、戦場になることは歴史が証明しています。ロイター伝によると、2021年12月の段階でウクライナ正規軍の半数はドンバス地域に終結したと報道され、ロシアの報道では2月の段階でドンバス地域への大規模な攻撃が行われる予定で西側諸国の了解を待つだけになっていたとも言われます。実際2月中旬にドンバス地域に何者かの攻撃が激化していた事は西側でも報道されていました。ロシア側の報道が正しいかはともかく、「戦争止めて!」は庶民にとって本心であることは変わりません。

ブログの始めに述べた如く、NATOが戦争に加わってロシア軍が引き上げれば(全面核戦争になったら元も子もありませんが)、住民を盾の状態から解放するのはNATOとウクライナ軍ということになり、一方「ロシアが勝利」してネオナチ民兵たちをウクライナから追い出し、親ロシアの政権を作れば解放者はロシア(第二次大戦と同じ)ということになるでしょう。停戦合意という選択肢が最も望ましいのですが、ゼレンスキーが「ネオナチの政権内の取り巻き達」から脅迫状態になく、大統領として自由に政策決定ができる状況にあれば、ウクライナの独立の維持と中立化を宣言してドンバス2州のウクライナ国家内での自治を認めロシア軍には引き取ってもらって「どちらの顔も立てる」事で戦争を終結に持ち込むことができるでしょう。そうでない事でウクライナの一般庶民たちが犠牲になり続ける事が不憫でなりません。

ウクライナによるドンバスへの攻撃準備を語るオレグ・ツアレフ氏

 

追記 2022年3月11日

IV.  トランスニストリアに向かうロシア軍

ロシア側が報ずる3月4日時点の占領地域(モルドバ東側の赤い細長い地域がトランスニストリア)

1992年にウクライナとモルドバの細長い狭間で親ロシア派として独立を宣言したトランスニストリア共和国という西側で承認されていない国(宗純さんご指摘の様にロシアも未承認)があります。同様に国として認められないアブハジア、南オセチア、アルツアフ共和国らと連盟を作っていますが、西側寄りのモルドバ、ウクライナからは阻害されています。昨年のサッカー欧州チャンピオンズ・リーグで同国所属のシェリフ・ティラスポリがあのレアル・マドリードを破った事でも注目されました。ロシアの進撃方向を見るとクリミア半島からオデッサを経てトランスニストリアにも向かっている様に見えます。ロシア側で報道された勢力図では既にロシアが押さえた地域になっている様です。国連は既に戦争ではなく紛争と言い換えてロシアへの制裁も一部の国に限定されてきており、情勢が変化して停戦協定も現実味を帯びてきました。停戦協定の行方次第では同地域の独立を西側に認めさせる事も考えているかもしれません。

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第三次世界大戦への道を進む人類

2022-03-02 18:59:09 | 政治

ウクライナとロシアの戦争は収まる気配がありません。また世界は戦争を収めるどころか、一方的にロシアに制裁を加える(ウクライナに加担)ことで戦争を長引かせようとしています。メディアも口先では「戦争は良くない」「反戦」を唱えていますが、やっている事は両者に妥協を迫り、戦争を収束させるよりは、一方のみを責め、引き込みを付かなくさせて戦争を煽る、火に油を注ぐ内容ばかりです。1970年代頃に散々反戦平和を訴えていた人達(左翼リベラル?)はもう痴呆になってしまったのでしょうか。

 

I.  戦況報道に感ずる違和感

ロシア軍は報道されるほど弱くないと思う。

開戦3日でウクライナ軍善戦、ロシア軍の士気低下、負傷者多数、といった報道が盛んに行われています。しかしかつてソ連との戦争に備えて戦術を学んだ私としては違和感を隠せません。30年前、自衛官であった若き日、自衛隊は戦争をしない事になっているので、仮想敵はYとかZとか隠語で示して演習をするのですが、要はソ連、中国、北朝鮮でした。自衛隊の普通科連隊(歩兵)に戦車中隊や特科(砲兵)大隊等を加えた「戦闘団」でソ連の機甲連隊との図上交戦を試みるのですが、高度に機械化され重深陣地に守られて予備兵力の多いソ連軍に勝つのは至難の業、北海道の最新鋭第七機甲師団でも陸自の専門家をしてもなかなか勝てないというのが常識でした。現在はドローンや衛星を使った最新の電子兵器も駆使して昔以上に強力になったロシア軍です。簡単に負けることはあり得ません。中東でNATO米軍が追い出せなかった(敢えて?)ISを半年で壊滅させたロシア軍の実力を甘く見てませんか?さすがにメディアには本当の事を言いかねない元陸幕長といった軍事専門家は出しませんが、一応学者と言う触れ込みの素人達の解説が、現在の軍事に詳しくない小生から見てもあまりに稚拙です。ロシア軍を弱く見せて「ウクライナ優勢」と嘯くことで、西側世論が和平交渉でロシアに譲歩しない様にしたいのでしょうが、戦争を長引かせたい思惑が見えすぎです。今までロシアは半年以上ウクライナ周辺で演習を繰り返していたのですから、あらゆる戦略・戦術を「勝手知ったる元自国のウクライナ」に行う準備を整えていたと考えるべきです。米欧からの武器援助の内容やウクライナ軍への軍事訓練についても承知しているはず。一方的な報道をうのみにするのは間違いです。

 

Ⅱ.   第一次大戦との相似

「戦争の最初の犠牲者は真実」という言葉は第一次大戦後、米国上院議員のジョンソン氏がギリシャの思想家アイスキュロスの言葉を引用して述べたものです。まさに現在の報道は真実を犠牲にして繰り広げられている点で第一次大戦以降の全ての戦争と同じです。第一次大戦でもドイツ兵が子供を殺して食べたとか、第二次大戦で日本兵が中国で赤子を銃剣で刺したといったデマがプロパガンダで使われましたが、早速ウクライナでも子供をダシにしたプロパガンダ報道が繰り返されています。

また以前自分のブログでも取り上げましたが、新型コロナ騒動が第一次大戦と類似している以上に今回のロシアウクライナ戦争から第三次大戦への展開が第一次大戦にそっくりです。コロナ騒動と同じ人達がシナリオを描いているのでしょう。第一次大戦でも、戦争は長引くことはなく、クリスマスまでには終わると信じていたのに4年も続きました。初めのうちは兵士同士の憎しみもなく、クリスマス休戦には双方でサッカー大会が催されたりもした記録があります。しかし戦争を早く終わらせるために、飛行機、戦車や毒ガスといった新兵器が投入されて、双方が使うことで結果的に戦争は犠牲者が増加し、長引きました。今回も「核の限定使用」が論議に上がっていますが、正に犠牲者増加、永久戦争への道を進んでいると言えます。今ウクライナに中立化を宣言させ、ドンバスの自治を認め、ロシアに兵を引かせる事で犠牲は最小に、戦争もすぐに終わるのです。そのリーダーシップを執れる人材が世界にいません。

 

III.  衰える21世紀の知性

新型コロナ騒動で考える事を止めた人類。

科学的思考には哲学者カール・ポパーの提唱した「反証可能性」が必要で、前提や論理展開に対して自由に異議を唱えてそれを論理的に証明することで科学的真実に到達することは以前説明しました。数多くのまっとうな科学者達が偏った政治的決めつけに基づく新型コロナへの各国政府の対応に意義を唱えてきましたが、フェイクニュースとか、正規の見解に反する意見としてSNSやメディアから排除されました。権威ある医学雑誌に科学的に信用できる査読済み論文として掲載されても政府見解に反する結果であると「無視」という対応が取られてきました。コンピューターや情報伝達の技術が20世紀に比して各段に進歩した21世紀に生きる人間は、知性においても20世紀に生きた人達よりも進歩していなければいけないはずですが、人々は情報の洪水の中、自ら深く考える事を逆に放棄し、権威筋(と信ずる人達)の見解をうのみにする事を選択するようになりました。それは新型コロナ騒動で益々顕著になったと言えます。

ウクライナの非民主化は、2014年にオバマ政権の米国主導でマイダンの悲劇と言われる武力行使によるネオナチ、ステファン・パンデラ派と呼ばれる右派による「民主的に選ばれたヤヌコーヴィチ政権の転覆」からずっと続いていたと言えます。(残虐な写真を含む記事です)その際裏で大活躍したのが現在のバイデン政権でも政治担当国務次官として大きな力を持つ悪女ビクトリア・ヌーランドです。彼女がウクライナ政変後右派のヤチェニクに大統領をやらせようとする考えに沿わないEUを“Fuck EU”と言ったというのは本当ですとサキ報道官も認めています。要は現在のゼレンスキー始めウクライナの中枢にいる人達は全て米国ネオコン(CFR外交問題評議会)系の息のかかった者たちであり、今回のロシアとの交渉でも純粋にウクライナ国民の利益や幸福を考えてPlan A, Plan Bと多くの選択肢を様々な意見を持つ有能な側近達と話し合って国民にも理解できる公開の場で議論した結果「現在の結論に至った」という経過が全く見えないのはそのためでしょう。日本でも太平洋戦争の開戦前には政治家や軍人たちの中で和平派と開戦派で喧々諤々議論があった事は歴史でも明らかにされています。真に国家国民の繫栄、安寧を願えば様々な意見・議論が出るのは当然です。今回の開戦前にロシアに出向いたのはマクロンやブリンケンなどの欧米の政治家であり、ウクライナの要人がロシアとぎりぎりの交渉をしたという気配すら見えません。2020年の米国大統領選挙で不正が行われずトランプが再選されていれば、今回のウクライナの悲劇は起こらなかったでしょう。オバマに続いてヒラリーが大統領になれば、必ずロシアを巻き込んだ第三次大戦が起きると予想されましたが、今まさにバイデン政権の下で当時なしえなかった計画が当時のブレーンたちがバイデンの側近として力を奮うことで実現しつつあると言えます。

 

IV.  第三次(大惨事)世界大戦への道

一時you tube系で未来人からの伝言シリーズのようなものが流行ったことがありました。2010年頃だったと思いますが、2020年代に第三次大戦が起こり、世界は核戦争に巻き込まれる。米中ロは弱体分裂して、日本はそこそこの大国として残るとか。インドが一番の大国になって世界を牽引するとか。現在日本を含む西側同盟は一斉に反ロシアの合唱を始めましたが、中国はロシア寄り、インドは一歩引いて中立、2050年から来たというトンデモ系の未来人が預言した通りになってきた様にも感じます。

追記2022年3月4日

3月1日ポーランドのワルシャワで記者会見した英ジョンソン首相にグレートリセットを主導する世界経済フォーラム(WEFダボス会議)ウクライナ代表メンバーのダリア・カレニウクという女性が避難してきたジャーナリストと偽って「ウクライナで子供たちが殺されている、何故NATOは参戦しない!」と涙ながらに訴える演技で詰め寄りました。最近勝手にコロナ規制を撤廃したり、WEFの指示に従わないジョンソン首相は相手の正体も知っている様でうんざり顔ですが、ウクライナの中立化とドンバスの自治という低いハードルを認めさせず、戦争を拡大したい勢力こそ責められるべきだとつくづく思いました。

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