rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

新型インフルエンザについて

2009-01-27 23:20:49 | 医療
最近話題の新型インフルエンザについて情報を得たので備忘録として記載しておきます。

「新型インフルエンザとは」
まだ世の中には存在していない。毒性の強いH5N1型鳥インフルエンザが人間にも感染するようになったため、今後「鳥から人」でなく、「人から人」へ感染するように変異種ができた段階で人間界に広がると考えられ、新型インフルエンザとなる。

「新型インフルエンザは何故怖いか」
一般に感染変異が起こると毒性は弱まるものであるが、元になるH5N1の毒性が強く、致死率が50%近いため、毒性が弱くなっても一般のインフルエンザよりも高い致死率となると予想されるため。

「新型インフルエンザに特有の症状はあるか」
高熱、呼吸器症状の他に血便を伴う下痢などの消化器症状が加わると考えられていて、感染汚物の処理が問題となるほか、介護者が汚物により感染拡大することが懸念されている。呼吸器症状は悪化するとARDSなどの呼吸不全、喀血をきたす可能性がある。

「感染率は」
国際的に感染対策を立てる上で国民の25%が感染すると考えるよう取り決めができている。日本は2500-3000万人くらいと想定されるが、本当のところはわからない。感染者のうち重症のため10万人くらいが入院治療を要するだろうと想定されていて死者もそれくらい出る可能性がある。

「年齢で抵抗力に差はあるか」
乳児、高齢者は発症後の回復には体力的な問題があるが、鳥インフルエンザの致死率は意外にも10台から30台が高く、幼児や50台以降は低くなる傾向が示されている。50台以降の年齢は類似した型のウイルスに以前暴露した経験があるためではないかと推定されている。

「日本で発生したときの対応は」
県内で一人でも発生したら、全学校、保育所などは休校となる。各事業所、公共施設、病院も職員が出勤できない(少なくとも母親は)ため稼働率を60%と見積もって対策を立てておく必要がある。発生初期においては、患者は直ちに厳重に隔離される。しかし感染拡大期においては、重傷者以外は自宅療養となる。

「猛威を奮う期間はどれくらいか」
日本でも数万の死者を出したスペイン風邪の経験からは約8週間と推定される。その期間は日常生活、経済そのほかに多大な影響が出ると考えられている。各病院、事業所などはその際の対応をあらかじめ作成しておく必要がある。スーパーやコンビニなどの食料品確保対策も重要である。

「病院や公共交通機関で却って感染が拡大しないか」
電話対応の相談機能を充実させてファックスによる処方も可能になるよう法整備がなされる。厚労省による「新型インフルエンザ対応ガイドライン」がこの二月中にも出される予定である。

「治療法・予防のためのワクチンはあるか」
抗ウイルス薬のタミフルなどが耐性でないかぎりは使える。ワクチンはないが、H5N1に対応するものは開発済み、2000万人分の備蓄があるとされるが、副作用が普通のインフルエンザワクチンより強い可能性があり検討中。2次流行時からは広くワクチンによる予防が可能になると予想される。感染予防はうがい、手洗いというインフルエンザ予防の基本どおりである。医療者にとってはスタンダードプレコーションの徹底が基本となる。

「厚労省としては、新型インフルエンザ対策の目標は何か」
感染ゼロ、死者ゼロは現実的ではないだろう。実際に流行してしまった際にできるだけ医療や生活必需品を提供できる体制を整えることが目標か。

ーー以上ーー
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オバマの時代に日本がアメリカを赦す日は来るか

2009-01-25 23:47:17 | 書評
書評 日本がアメリカを赦す日 岸田秀 文春文庫 2004年刊

昭和8年生まれの心理学者でものぐさ精神分析などの著書で知られる岸田秀氏が日本とアメリカの関係を精神分析的解析で解説したもので、多少強引なところもあるけれども外交政策が所詮人間の思考により出てくるものであるからどのような心理の結果このような政策がなされたのかが納得できる分析で語られています。

幕末のペリー入港による開国以来、日本の外交は現在に至るもアメリカ抜きでは語れない関係にありますが、氏は日米関係は御互いの一方的な思い込みの上に共通認識のないまま続いているカップルのようなものだと分析します。日本にとってアメリカは軍事力で脅されて強制的に開国させられ、結果的に政権交代までおこり、屈辱的な不平等条約を結ばされた相手です。何とか屈辱を晴らそうと日清日ロの戦いで勝ち、第一次大戦で漁夫の利を得て一等国の仲間入りをしてやっと平等の立場に立ったと胸を張るのですが、第二次大戦でこてんぱんに痛めつけられて再び屈辱の日々に戻ります。しかし日本はこの屈辱感を「アメリカに民主化してもらって却って良かったのだ」「これは日本が自ら望んでいた結果なのだ」と思い込むことで封殺してしまいます。それは人質にとられた本人が人質となった屈辱感をむしろ犯人の意思と同化することで封殺する「ストックホルム症候群」と同じ心理であると分析します。だから憲法にしろ、小泉改革にしろアメリカに強要されたことなのに「これは日本が自分から望んだことなのだ」と慎重な検討・分析もせずに自ら進んで言われた通りを行ってしまうのだと説明します。これは正にその通りでしょう。

一方のアメリカは、時代遅れだが文化を持ち、見どころのある日本を「植民地」でなく「子分」に取り立ててやった気でいます。日清日ロの戦いも仲裁を買って出て子分が損をしないように立てて、西欧に並ぶ国家の仲間入りをさせてやったと思っています。しかし「子分」のくせに一人前になったような気になってアメリカに楯突いて勝手に中国に領土を広げようとしはじめました。「親に逆らう者は徹底的に叩く」。第二次大戦ではインディアンを虐殺したように日本人を虐殺したけれど、「もう逆らいません」と恭順の意思を示した日本に対してアメリカは様々な監視を付けながら再度「子分」として取り立ててやることにします。日本は親であるアメリカの意を進んで酌んで「とても良い子」を演ずるようになりました。相手の文化など考えずに力で捩じ伏せて虐殺し、まいった所で優しく「子分」として取り立てれば皆日本のように意のままになると勘違いしたアメリカは戦後の外交政策で失敗し続ける事になります。

岸田氏の表現を借りると、無理やり股を開かされて強姦されて処女を奪われたのに、「自分は強姦されて性の喜びを知って良かったのだ」などと自分を偽っている限り日本とアメリカはまともな国家関係になどならないと言えます。もう一度アメリカと戦争をする必要はありませんが、日本が感じている屈辱感を素直に日本自身が認識すること、そしてそれをアメリカに訴えることが真の友好関係には必要だろうと考えます。アメリカは中国やロシアは「子分」ではなく「やくざ」で言えばシマを争う「他の組」と考えているでしょうが、日本は今も間違いなく「子分」と考えているでしょう。

オバマ政権は「中国重視・日本軽視」と危惧されていますが、アメリカにとっては中国を重視する度合いが共和党と異なるだけで日本は「子分」であることに変わりはないと思っているのではないでしょうか。武闘派の「アメリカ組」も軍事力は健在ながら随分経済力が落ちてしまい、子分である日本の上納金が頼りという状態で、力をつけてきた「中国組」に切り札を握られて強い事を言い辛い状況になってしまいました。日本は「子分」であることを止めるべきか、「物言う子分」となるか、自分を偽って「良い子」を演じ続けるのか、そろそろ日本自身が決める時が来ていることを考えさせる本でした。また外交政策を考える時には、政府の中に岸田氏のように精神分析的に相手国の出方を分析する専門家を付けて、日本の国益を考えて政策立案をすることも大事なのではないかと考えさせられました。
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やはりユダヤは世界の問題児なのか

2009-01-11 23:50:23 | 政治
お正月もすっかり明けてしまいましたが、実質元日と二日以外は働いていて、しかも当直中の緊急入院や緊急手術、おまけに専門誌の論文査読も頼まれ普段より忙しいくらいだったのですっかりブログもご無沙汰でした。この2週間国内ではやはり不景気に伴う失業問題、国外ではイスラエルのガザ侵攻が最も大きな話題であったと思います。

「テロとの戦いに正規軍を使うなかれ」と私は前々から主張していますが、イスラエルのガザ侵攻は正に正規軍を使った悪弊のみが出た結果になり、単なる民間人虐殺のための侵攻に成り下がってしまいました。これが本当に21世紀の現在行われている事態なのかと思うと愕然とします。人類はキリストが生まれた2千年前も現在も全く進化していないと痛感します。詳しくは米流時評さんのブログ(http://beiryu2.exblog.jp/9184441/)などを見て下さい。年末のブログで友人になるならイスラエルか、と書きましたが、考えを改めないといけないようです。旧日本軍は日中戦争を「テロとの戦い」とみなしていた、という考えを以前のブログ(http://blog.goo.ne.jp/rakitarou/e/d143d1dff0d4c2178ddbf3e1ad3e3bf4)で紹介しましたが、将来に恨みを残す戦争のやり方はどのような大義名分があろうと絶対に避けるべきです。まして第2次大戦中のホロコースト犠牲者として戦後特別な地位を得てきたユダヤ人が同じ事をやってはいけません。これでもうイスラエルを可愛そうな民族がやっと生活できる国を持ったなどと世界中の誰も考えなくなるでしょう。

普通の判断力がある人間ならば、今回のガザ侵攻が単なるパレスチナ人虐殺の侵略であるから、未来に渡ってイスラエルの地で多民族が仲良く平和に暮らすための方略にならない位のことは理解できるはずです。マスコミに載らない海外記事殿のブログ(http://eigokiji.justblog.jp/blog/2009/01/post-85b7.html)ではそのようなまっとうなイスラエル人達の多くがガザ侵攻に反対してデモを行っていることが紹介されています。

国連のイスラエル批難決議をアメリカが拒否権を使って否決したことからも、今回の侵略をアメリカが諒解済みであることは明らかです。私はどうも今回のイスラエルの行為は相手の恨みを買う事については確信犯であり、アラブ人を挑発し続けることでイランを含めた中東大戦争にまで発展させるつもりではないのかと勘ぐってしまいます。次期米副大統領のバイデン氏はオバマ新大統領就任後半年の間に世界を揺るがす大事件がありますと明言していましたが(http://eigokiji.justblog.jp/blog/2008/10/post-5d9d.html)、それが中東大戦争なのかも知れません。大戦争になれば基軸通貨のドルは安定し、戦争による特需や国連軍の出動で経済危機を脱する契機にもなるでしょう。平和に暮らしたいイスラエルの人々にとってはとんでもない事ですが、経済危機で青息吐息のユダヤ金融財閥にとっては願ったりの状況になるでしょう。大戦争になった時、「悪いのはイスラム原理主義」と納得させるような大規模なテロを一つ二つ起こせば国連軍はイスラエル・アメリカ連合軍に付かざるをえなくなります。

グローバル経済の必然

資本主義における生産要素は「資本」「労働力」「資源」の3つに分かれます。ひとつの国・社会の中でこの3つがある程度バランスがとれていることが安定した経済発展に必要なことと思われますが、日本は資源が少ない、サウジアラビアは資源が突出して多いといった特徴があって、それぞれ経済発展のネックになる所でしょう。そんな中でアメリカは三者ともに恵まれていて1970年位までは模範的な経済発展を遂げてきたのですが、「資源」を外国に頼るようになり、また最近のグローバリゼーションによって「資本」のみが突出した国家になってしまいました。「労働力」は中国に任せたわけです。

ここで「労働力」と「資源」は実体があるもので必然的に存在に限りがありますが、金本位制をなくしてしまった現在「資本」については紙幣を印刷したり帳簿上の数字を増やしたりするだけでいくらでも増やせることに気がついてしまったのです。同じ国の中では資本だけ勝手に増やすことはできませんが、異なる国家間では「資本」を出す国は勝手にいくらでも増やし、「労働力」や「資源」を供給する国はそれぞれを供出しながら勝手に増やされた「資本」をため込むという作業が近年繰り返されていた訳です。しかしさすがに実体を伴わなくてもよい「資本」も無制限に増やすと経済が破綻することが今回解りました。人間が生きてゆくには「実体経済」の中で「労働力」と「資源」により得られた生産財を消費しなければなりません。しかし実体のない「信用経済」だけを回転させて富を得、実体経済で得られた生産財を消費するということは「労働力」や「資源」を供給している人達から盗み取る、いわゆる「搾取」することに他ならないのですね。

今回の経済危機はサブプライムローンの破綻が引きがねと言われていて、経済力のない人が家を持とうとしたのが間違いのように言われていますが、本当はそうではなくて「労働力」や「資源」を主に提供してきた国家が実体経済に裏打ちされた「資本」力を蓄えてきて、実体経済を伴わない「資本」が空回りしたことが原因だと思います。当初「ファニーメイ」「フレディマック」などサブプライムに関連した公社が税金で救済されましたがそんなことでは混乱が収まらなかったことを見ても明らかです。結論を陰謀論的に表現すれば、ユダヤ国際金融が金融工学(エセ錬金術)で世界を股にかけた永遠の繁栄を試みたけれど失敗したということです。

日本は大親分のアメリカには逆らえませんが、大戦争のとばっちりはご免です。麻生さんにしろ小沢さんにしろ金はある程度出すのはしかたないとして大義のない戦争に自衛隊が借り出されるのだけは避けてもらいたいものです。20世紀初頭の中国義和団の乱に日本軍が借り出されて、大変良い働きをして各国に褒められたあたりから日本の雲行きが怪しくなりました。無料ガソリンスタンド位で十分です。
コメント (2)
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