rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

今更「前から流行ってました」と言えない政府の新型コロナの正しい対応

2020-02-26 13:11:55 | 医療

新型コロナウイルス 政府 対策基本方針を決定

2020/02/25 13:02 webNHK ニュース&スポーツより

新型コロナウイルスの感染の拡大に備え、政府は患者数が大幅に増えた地域では、重症者向けの医療体制を確保するため、症状が軽い人には自宅療養を求めるなどとした対策の基本方針を決定しました。

政府は25日昼、総理大臣官邸で新型コロナウイルス対策本部を開き、感染の拡大に備えた対策の基本方針を決定しました。

基本方針では、現在の状況について「国内の複数地域で感染経路が明らかではない患者が散発的に発生し、一部地域には小規模な集団感染が把握されている状態だ」としています。

そのうえで、感染経路について「飛沫か接触感染で空気感染は起きていないと考えられる」とする一方、「閉鎖空間で近距離で多くの人と会話するなど、一定の環境下であれば、せきやくしゃみがなくても感染を拡大させるリスクがある」と指摘しています。

また、重症度は、致死率が極めて高い感染症ほどではないものの、季節性のインフルエンザと比べて高いリスクがあるとし、高齢者や基礎疾患がある人は重症化のリスクが高いと分析しています。

そして、感染拡大の防止策を講じ、患者が増加するペースを可能なかぎり抑えるとして、国民や企業に対して発熱などかぜの症状がみられる場合には、休暇を取得したり外出を自粛したりすることや、テレワークや時差出勤の推進を強力に呼びかけるとしています。

また、イベントの開催は現時点で、全国一律の自粛要請は行わないものの、感染の広がりなどを踏まえ、開催の必要性を改めて検討することなどを求めています。

さらに、臨時休校などについて、学校が適切に実施するよう都道府県から要請することにしています。

一方、今後、患者数が大幅に増えた地域では、重症化した患者向けの医療体制を確保するため、症状が軽い人は、自宅での安静・療養を原則とするほか、診療時間や動線を区分するなどの対策を講じたうえで、一般の医療機関でも患者を受け入れるとしています。

また、患者数が継続的に増えている地域については、患者の濃厚接触者に対する健康観察は縮小し、広く外出を自粛するよう協力を求めるとしています。

そして、こうした対応に切り替える際は、厚生労働省が考え方を示したうえで、地方自治体が判断して、地域の実情に応じた最適な対策を講じるとしています。

引用終わり

 

Day 0を武漢の肺炎発生におけば、昨年12月には日本でも新型コロナが流行

 

 現在の世間やマスコミでは、武漢の新型コロナ肺炎が爆発的に流行して「封鎖」が起こった時点を「Day 0」として、それ以降の各国の対応とPCRによる感染確認を持って発生数であると表示しています。「公の広報」をする上では、現状他に感染確認の方法がないので仕方ないのですが、サイエンス(真実を検討する考え方)としては「Day 0」を武漢の肺炎発生に置いて考えるべきです。前回新型コロナで判っている事でまとめた様に、2019-nCoV(現在の正しい名称はSARS-CoV-2)は、1)感染力は強く2)潜伏期は14日前後と長く3)その間も感染力があり4)発症しても軽症者が多いが高齢者や合併症があると重い呼吸器感染症として重篤化する、という特徴があります。昨年11月、武漢での感染症の複数発生をDay 0として、強い感染力で無性状或は軽い症状の中国人が以降も月単位で無制限に世界中を飛び回っていた事を考えると、正確には判らないものの中国の他の地域と同程度にその後世界中で新型コロナが広がったと考えるのが妥当だと思います。

 米国では今年の冬、季節性インフルエンザ、或はインフル様症状の強い呼吸器感染症に2,500万人が罹り、1万人以上が亡くなったと報じられていて、実は新型コロナが既に流行っていたのではないかとCDCが調査を始めたというニュースがありました。日本でも昨年暮あたりに高熱が1週間程続き、咳などの強い呼吸器症状を呈する「インフル陰性の風邪」が大流行して30-50代の会社員などが次々と病院やクリニックを受診しました。実は我が家でも私を除く妻と娘が罹り、1週間臥せっていました。幸い私は軽い喉痛程度で済みました。この高熱が出る風邪の流行は開業医や病院において外来、救急を担当していた医師なら日本中で経験しています。だから密かに「あの時の風邪がコロナだったかな」とは医療者は薄々皆気がついているのです。現在日本各地で、PCRで確認されている新型コロナウイルスはどうも武漢のものとは変位しているという報告があります。国立感染症研究所のマニュアルに従ってPCRで判定して増幅された遺伝子346か493塩基対(ORF領域とSpike領域)をシークエンス解析すると武漢のオリジナルと異なる物が検出されるというのです。それは米国や香港など他の国も同様変位が見られる(もうすでに流行してしまっている)というのです。

 

いつまで「新型コロナ狂想曲」に踊り続けるか

 季節性インフルでも毎年3,000人以上の日本人が亡くなります。私が勤めている病院でも80代の高齢者が亡くなっています。それ以上に市中肺炎(肺炎球菌などの一般的な肺炎や誤嚥性肺炎)で週一人くらいのお年寄りが私の病院でも亡くなっているのを目にします。高齢者が肺炎で亡くなるのは普通の事で新型コロナに限った事ではありません。今「何人陽性者が出た」「また死亡者が増えた」といちいちニュースとして大騒ぎをしていますが、これは新型コロナ狂想曲に日本中(世界中?)が踊っている状態と言えるでしょう。新型コロナも季節性インフルも流行らないに超した事はないので現在の対応は大きな見方をすれば「正しい行動」です。しかし狂った様に踊り続けるのはほどほどにした方が良いと私は思います。

 昨日のニュース(NW9)で感染症専門家が「軽い症状の方は医療機関を受診しないで、検査も受けないで。」と(察してと言わんばかりに)しきりに訴えていましたが、そりゃ既に流行してしまって2ヶ月遅れで今罹っている人に感染源不明のコロナが出ているだけですから、「重症化したら一般病院でも(他の肺炎と同様に)入院加療する方針とし、新薬のアビガンも増産を政府として指示しました。」という日本の政府の対応は極めて正しいと言えるでしょう。検査すればするほど陽性者が出る(回復者も陽性になると報告あり)のですから、日本がパンデミック認定されれば現在の世界情勢では渡航も制限されオリンピックも中止で、経済への影響も計り知れません。

 

中国の厳しい封鎖政策は反政府的行動を封じる権力闘争の一環だろう

 現在中国各地は準戦時体制が取られて、外出禁止令が出され、街は封鎖されています。勿論感染拡大を防ぐという大義名分はありますが、本音はこれを機会にわき上がる習近平政権への不満や共産党独裁体制への反政府行動を抑え込む事だと考えるのが妥当です。実に効果的だと思います。ただ物流はもう再開しないと助かる国民まで栄養失調で倒れてしまう。次第に封鎖を解く方向にありますが潮時と思います。しかし中国をまねて韓国の大邱、イタリアなどの都市も封鎖を行う気運があるようですが、不要不急の外出制限は良いとして、物流までも止めてしまっては治る病気も治らない、下策と言えます。日本は絶対まねしてはいけません。

 

それでも「新型コロナは人為的に作られた」と思う

 ゼロ・ヘッジの記事に指摘されるように、20世紀末に遺伝子操作の技術が飛躍的に進歩してから「新型の感染症」が急激に増加しています。兵器として作られたかどうかは別として、これら「新型感染症が人為的な操作由来」と考えるのは科学的です。医師兼末端科学者の私でもプラスミドに遺伝子を入れたり、PCRやそのプローベを自分で設計して作製する位は若い時分にやってました。つまり少し細胞生物学を学んで施設とノウハウがあれば誰でも遺伝子操作などできるのです。「ウイルスは人為的に作られたなんて陰謀論だ」などと言っている人は「遺伝子操作は難しい」と信じ込んでいる理系生物系の知識に無縁の人でしょう。私は、今回の感染症騒動における最も大きな教訓は新しい「未知の感染症に対して日本は国家として体系的な対応を取るCDC的な組織がない」事を再確認した事だと思います。新型コロナが季節性インフル+α程度だから良かったものの、エボラのような致死率の新しい感染症がまたやってくる可能性は大きいです。今回の失敗や教訓を活かし、これを機会に日本版CDCを設立し、宗純さんのブログでご指摘のように感染症公衆衛生の中枢になる、国立感染症研究所の予算を充実させてゆくべきだと思います。

コメント (8)
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Luftfahrzeug Gesellschaft (L.F.G.) Roland C-11 Airfix 1/72

2020-02-16 11:19:08 | プラモデル

 第一次大戦中の1915年に偵察機として開発され、後に複座戦闘機として使用された機体です。当時の多くの複葉機が上の翼が胴体から離して設置されて、それを支える多くの桁やリグが必要であったのに比して、C-11は胴体上面に上翼を固定することで安定性が増し、特に後方銃座の射界自由度が増した事で下方以外の死角がなくなり、本機を撃墜するには後ろ上方から一度後下方に急降下して、上昇しながら射撃する他ないとされ、1916年英国のエースAlbert Ballをして最もドイツで優秀な機体と言わしめています。機体構造が複雑になった分大量生産には向かなかったようですが、独特の丸い胴体から「くじら」の愛称を与えられました。この設計思想は後のアルバトロスDVなど多くのドイツ機に影響を与え、後のJunkers J1などに引き継がれてゆきます。

Roland C-11

 模型は1960年頃の古い金型ですが、再販されるに当たってSpecial editionとしてAceの名を冠した機体として売り出していて、これはRoland C-11やアルバトロスで35機の撃墜王となったEdiard von Schleich(大戦後も生き抜いて1947年没)の乗機として発売されたものです。大戦初期に使用された英国のDH2と並べてみました。短期間での飛行機の発達の速さを感じます。

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Hawker Hurricane Mk I Airfix 1/72

2020-02-12 16:58:03 | プラモデル

Spitfireと共に第二次大戦のBattle of Britainの中核となり、ドイツ軍の英本土侵略の意図を挫いた花形戦闘機です。1935年開発で対戦車砲を装備したり、カタパルト発射ができる海軍型にしたりと様々な発展型が作られ、合計14,500機も生産されました。戦前ルーマニアに輸出されたものはそのまま枢軸軍機として対ソ戦にも使用されました。初期型の主武装はSpitfireと同様7.7mm機銃8丁であり、1,300馬力のマーリンエンジンは最高速度500km/h超を記録しましたが、胴体後半が羽布張りで全金属製のSpitfireよりも戦闘能力は劣り、7.7mm8丁の斉射はある程度近接戦闘でないと十分な効果は得られないものでした。この辺は映画Battle of Britain(空軍大戦略)の描写が正確で,後の大口径砲を装備した戦闘機が守備が充実した爆撃機をより遠方から狙う戦法と対照的です。

ロンドンの英国空軍博物館 Battle of Britain museumに展示されている実機   当時旧式になりつつあったGroster gradiatorも展示されている

模型は1978年の金型でやや古めながら簡単な構造で整合は良く、作り易いものでした。現在は新金型のより精巧な物が出ていますが、今回作製したものは、旧金型で何回かSpecial editionとしてAceの乗機(R.R. Stanford Tuck)として再発売(1988)された一つです。塗装(特に下面)はvariationがあるのですが、英国空軍博物館のBattle of Britain museumに展示されていた左下面を黒に塗った物と同様の指示が制作図に示されていて、下面の国籍マークも片方のみ黄で縁取りされたものが付いていたのでその通り作りました。ピトー管と操縦席上方のバックミラーは自作です。

Hawker Hurricane Mk I Airfix 1/72 special edition          1/72 Airfix 1950年代金型のGradiatorと並べてみました

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今までに解っている新型コロナウイルスの特性

2020-02-08 11:47:16 | 医療

2020年2月7日現在で判明している新型コロナウイルス感染患者は米国Johns Hopkins大学の集計サイトによると世界で31,523名、死者は638名、回復した者は1,759名となっています。2月2日の時点では感染者1.5万死者300名程度だったので、5日で倍増した計算になります。この間、中国政府などから種々のこの感染症についての情報が出され、日本でもクルーズ船などからの患者が続出していることから様々なこの新型コロナウイルス(2019-nCoV)の特性が判って来たと思われます。今回は現時点での2019-nCoVの特性を備忘録的にまとめておこうと思います。

1) 強い感染力

これは確実で、クルーズ船などでも患者を看病したという様な濃厚接触をした人でない方が感染しています。中国からはドアノブに付着したウイルスが4-5日感染源になり得るという報告もあり、乾燥にも強い可能性が示唆されています(飛沫感染以上の空気感染もあり得るか)。

 

2) 発症率は少ないかも

症状のない人は検査をしないから本当の感染率は判りません。しかしどうも症状が軽く済んでしまう人や、初回の検査で陰性でも症状が悪化してから再検査すると陽性になる人がいる現実を見ると、感染力は強いけど発症率は少ない傾向がありそうです。(広く拡散し、長く生きたいウイルスとしては合目的な特性です)

 

3) 発症すると死亡率は2%

これも統計からほぼ明らかになった数値と思われます。

 

4) 完治が困難かも知れない

初めの統計で示された回復した者(total recovered)が感染者3万人のうち1,700名で死亡が600名なら残りの2.77万人は闘病中なのか、問題ないのか判りません。重傷者は数千人と言われていますが、そのうちで回復した患者という意味なら判りますが。普通の季節性のインフルエンザは、死亡しなければ完治します。だから回復した者は闘病中以外全員でなければおかしい。中国政府からは完治が困難かもという情報があり、そうであれば厄介な感染症(長い療養を必要とした昔の結核のような)ということになります。

 

5) 抗AIDS、エボラ薬(RNA転写阻害薬)が特効薬として効果があるようだ

NEJMで報告された米国感染例はギリアド社が開発した抗エボラウイルス薬のレムデシビル(remdesivir)で劇的に回復したとあります。これを受けて中国での正式な治験を始めるというニュースがありました。他にもフジフィルムの開発したアビガンもエボラの特効薬と認められており、新型コロナにも有効と予想されます。

 

6) HIV的な性質があるかも

インドの研究者達が新型コロナウイルスに4カ所AIDSウイルス(HIV-1)に特有の遺伝子が組み込まれているという発表をしたのですが、現在解析方法に誤りがあったということで論文撤回になっています。従ってどこまで本当に組み込まれていたのかは現状判らないのですが、完治が困難であるような特性は2019-nCoVがHIVに関連した要素を含んでいる可能性を示すものと言えます。以下にやや長くなりますがその説明を載せます。

 

  • AIDSウイルス(HIV)は何故免疫不全を起こすか。

AIDSが世の中に出てから30年以上になりますが、世界中で研究が行われていても完全にこの機序が解明されている訳ではありません。日々新たな知見が論文として発表され続けており、ウイルスの感染機序などから大まかなメカニズムは判っています。

RNAウイルスは図の様に外套(envelope)、内部のマトリックス、カプシド膜に包まれた一本鎖RNAからなる遺伝子部に別れます。HIVは外套にgp120と呼ばれるヒトT細胞系(CD4+)に特異的に結合しやすい構造を持っていて、免疫系細胞に多く取り込まれ主にリンパ節などに潜伏します。また容易にHIVウイルスが遺伝子変位を起こす事も免疫の記憶が起こりにくい原因と言われています。

個体として考えると、ウイルスは異物なので体内に入ってくると異種蛋白を認識して、免疫細胞が排除にかかるのですが、その免疫細胞が冒されてしまうとうまく機能できなくなります。また個々の細胞内においては、自分と異なる異種の遺伝子が混入するとSTINGと呼ばれるインターフェロン産生因子が活性化されて異種遺伝子の排除が行われます。癌細胞の遺伝子も本来の自己遺伝子から変位を起こしているのでインターフェロンによって除去される方向になるからインターフェロンがウイルス性肝炎の治療にも癌の治療にも使われるのです。しかしHIVウイルスはどうも宿主による個体差はあるもののSTINGに影響を及ぼしてその産生を抑制する機構を持っているらしいのです。一度撤回されましたが、新型コロナウイルスにHIV遺伝子が混入されていると発表された論文では、まさにHIVのgp120に関わる遺伝子が見つかったと示されました。これが本当であれば特徴の4)で示した2019-nCoVが宿主の免疫をスルーできるHIV的な特徴を兼ね備えている機序にもなりえます。

 

  • 治療薬について

RNAウイルスが感染して増殖するには図に示すような1)細胞内への侵入、2)細胞内でのDNAに変換してから核酸増殖、3)再びRNA化して外套をまとって細胞外へ拡散する、という3つのステップが必要です。体中にウイルスが溢れると、体中で免疫反応が起きて重症炎症となり、肺炎や多臓器不全を起こして死に至ります。免疫反応が起きないとsuper-spreaderとしてウイルスを外界にまき散らす事になりますし、免疫不全になればいずれ他の病気で死亡することになります。タミフルやリレンザといったよく使われるインフルエンザ薬は3番目の拡散される際の蛋白合成を阻害する薬ですが、今注目を浴びているエボラの特効薬は2番目のRNAからDNAを合成する過程をブロックする薬です。ここを止められたらRNAウイルスは細胞内で増殖できず排除されます。DNA→RNAは日常普通に細胞内で行われていますが、RNA→DNAは絶対ないとはいえない部分もあるので副作用も注意が必要ではあります。

 

参考

 HIV免疫のメカニズム Fanales-Belasio E. HIV virology and pathogenetic mechanisms of infection: a brief overview. Ann Ist Super Sanita 2010,46.5-14.

Nissen SK. Multiple homozygos variants in the STING-Encoding TMEM173 gene in HIV long-term nonprogressors. J Immunol 2018, 200, 3372-3382.

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Blohm unt Voss Bv-141 B-0 Airfix 1/72

2020-02-03 16:42:31 | プラモデル

歴史に残る数々の迷珍飛行機の中でもぴか一に属すると思われるのが1937年に設計されたドイツのブローム・ウント・フォスBv141と思います。再軍備を果たしたナチスドイツは、機械化部隊を中心にスピードを生かした電撃戦が必勝の戦法とされ、それを実践するための効果的な空からの直協機を必要としました。スペイン内乱に加勢した当時は旧式のヘンシェルHs126が連絡、偵察機の主体で、パイロットの上方視界が翼で遮られるため、航空省は360度の視界を持つ連絡偵察機の試作開発を各航空機メーカーに命じました。それに応じてブロームウントフォス社が提案したのが飛行機の常識を破る左右不均一のデザインを持った本機でした。他にアラド社からは胴体下部にラウンジのような広いガラス窓を持つ操縦席と2階建てになったAr198と、技術主任に俊英クルトタンク率いるフォッケウルフ社から双胴双発で中央にゴンドラの様な居住席を持つFw189が提案されました。

非対称飛行機としてはピカイチのBv141            実際に採用され活躍したFw189            試作段階で不採用となったAr198

結果的にFw189が採用されて大戦を通じて東部戦線を中心に活躍するのですが、見るからに不安定そうなBv141は初見から空軍省幹部の評判は悪く、自費で開発するなら継続も可という評価しか得られませんでした。しかし大方の予想を覆してBv141試作機の飛行性能は悪くなく、乗員室からの視界が良好であることなど空軍省のウーデット少将はかなり気に入ったこともあり、5機の試作がその後公式に許可されたという事です。当初BMW星形9気筒865馬力のエンジンを搭載していたものの、力不足であったため運動性能向上を計って名戦闘機フォッケウルフFW190と同じBMW801という1,500馬力のエンジンに換装してB型にした所、今までの飛行安定性が崩れて結局不採用になってしまいました。B型はFw189と同じゴンドラ型の居住席を付けて後方銃座の射界を確保するため水平尾翼も非対称にするなど数々の努力の後が見られますが、Fw189が400馬力の小型エンジン2基、自重も2.8トンという軽量で短距離離着陸など高性能であるのに対して、Bv141 Bは自重4.7トンになり馬力増によるプロペラ反力も増加して不安定性が増すという失敗作になりました。それでもこのような形の軍用機を真面目に開発、実用化しただけでもドイツの技術力は大した物だと感心します。

Airfix 1/72 Messerschmitt Bf-110    Blohm und Voss Bv 141 B

モデルはB型4号機で、1970年代のAirfixの金型と思われますが、購入は2000年頃です。古い金型ながらしっかりした整合でクリアパーツも奇麗な出来だと思います。塗装は典型的なダークグリーンとブラックグリーンの迷彩、下面ライトブルーです。尾翼の鍵十字は例に依って付いていなかったので前回同様模型工房みりたり庵さんから購入したものを使用しました。アンテナ線は実機を見ても張られていなかった様です。大きさの比較にBf110と並べてみました。

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