rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

Lockheed Hudson MK1 Airfix 1/72

2019-07-22 18:15:08 | プラモデル

第二次大戦の勃発に伴い英国が米国から初めて供与を受けた機体とされていて、1938年当時の英国の海洋沿岸哨戒機の不足に応えるためロッキード社が旅客機として開発したものを軍用型として応用したものです。機体に対してやや大きめの旋回砲塔が後方に配置され、機首にも7.7mm機銃2丁がそれぞれ取り付けられています。600kgの爆雷、爆弾を搭載し、潜水艦や舟艇を攻撃可能で、各型合わせて2,900機の総生産数を誇り、終戦後まで連合国各国で多用途機として長く活躍しました。

旅客機から派生したHudson 大きめの扉や窓が多い事が軍用機らしからぬユニークな特徴

 

当初は低速のAvro Anson沿岸哨戒機しかなく、後にウエリントンやB−24等の高性能機に取って代わられるまでは哨戒爆撃機として頼りになる機体でした。

プラモデルはAirfix製で金型はかなり古く、1980年代と思われ、購入もかなり昔だったのですが、何と右のエンジンカウリングが紛失していて、左に合わせて紙粘土と他の使わない模型のエンジン部分を合体させながら自作する羽目になりました。けっこう苦労して自作しましたが、まあ何とか形になったと思います。比較として中学生の頃作ったAvro Anson (Airfix 1/72)が残っていたので並べてみました。

古いモデルでやや接合が段違いだったり、窓に隙間があったりする。上面はダークアースとダークグリーン、下面はダックエッググリーン。  Avro Anson沿岸哨戒機(こちらも旋回砲塔と機首に7.7mm機銃が1丁ずつある)。

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医療における価値・価格の考え方

2019-07-02 17:52:04 | 医療

2019年6月28日から30日まで横浜で第64回日本透析医学会学術集会総会が開かれたので参加してきました。毎年専門的な内容に加えて社会医学的な良く考えられた口演などがあるのですが、今回は東京大学の医療経済政策学教授の田倉智之氏の「透析医療と医療経済—透析分野の臨床的な価値を考える」と題した口演があり、医療における価値・価格の考え方を学ぶ意味で有益でした。口演内容そのものではありませんが、主に印象に残った所を備忘録として記しておこうと思います。

 

価値とは何かー交換価値と使用価値

 

以前欲望の資本主義の論考で述べましたが、売買の原則は払う金よりもそれで得る商品の価値が高い(逆の立場では得る金の価値が高い)から成立します。この積み重ねが所謂「限界効用理論 marginal utility theory」として経済全体の流れを説明する元になります。

種々の商品の価値を考える時、宝石のように高価値であるけど普段使わない物、高価値であると皆が共通幻想を持つことで価値が成立するものを「交換価値」と言い、水や米の様に日常生きて行く上で必須な商品の価値を「使用価値」と言います。

医療は「使用価値」に属するものではありますが、人類全体の生存にとって必要不可欠な医療ばかりではない事は以前から指摘して来た通りです(神が予想しなかった医療)。つまり医療における価値(価格決定)には多様性がある事を認めねばなりません。

 

診療報酬は価値多様性の集大成

 

最近1回三千万円の白血病治療が保険適応になり、話題になりました。数年前には年間三千万かかる癌の免疫に作用する抗体治療薬が保険医料を破壊するかもと問題になりました。一方で需要の多いお年寄りの腰痛用の湿布薬には処方制限がかかるなど、保険医料の決め方は意見や批判も多くあります。透析患者さん42万人の年間医療費は1.6兆円であり、年間一人おおよそ500万円かかります。一人の人間が1年良好な生活を送る状態をQALY(質調整生存年Quality Adjusted life year)と言いますが、OECD諸国の中で1QALY当たりにかけて良い費用は600-700万円と言われます。透析患者さんは完全といわないまでも0.8QALY位が500万円で1年間生存できるということで世界標準の考え方からも日本の診療報酬は適正であると評価されます。

 

高齢者の医療や高額医療ってどうなの?

 

がん医療におけるこころの問題でも触れましたが、米澤慧氏の提唱する往きの医療、還りの医療という概念があります。人生50年を超えて年老いて亡くなるまでの医療は、若い時の「健康状態に戻るための全力投球の医療」ではなく、「病気と付き合いながら老いるほどほどの医療」で得られる「幸福感」は同じではないか、という考え方です。これと同じではありませんが、限りある医療資源を適切に配分するという経済的な観念から、高齢者医療に金をかけすぎない「Fair Innings Rule」という考え方があります。英国などでは一定以上の高齢者は維持透析導入をしない、という事が実践されています。人生100歳時代の現在、80歳を超えるお年寄りだから、という理由で医療を制限する事にはかなり批判があり、尤もな事だと思います。一方で実際の臨床場面で80代以上のお年寄りの方で、濃厚な医療を断る、医療を受けても幸福を感じない方はけっこうおられます。個々の事例で検討するしかありませんが、「還りの医療」の考え方を本人、家族とともに話し合って行く必要はあります。

 

限られた人に高額の医療費をかけて助ける事の正当性、については「Rule of Rescue」という考え方があります。これは目の前で死に行く人を救えるならば可能な医療を用いて全力で救う事は正義である、という考え方に基づいていて、例えば事故で重症な人を集中治療室であらゆる手段で救う場合に当てはまります。かかる費用が1QALYの上限を超えたからここで終了しましょう、とは常識的になりません。しかし患者の命が危険とまでは行かない場合(片失明や四肢欠損)や他者の生命との比較(大規模災害)が問題となる場合など、rule of rescue も絶対的なものではありません。

 

日本の医療費は高いのか

 

2012年のOECD加盟国34カ国における医療費の比較を見ると、日本は対GDP比で10.3%であり10位、国民一人当たりでは15位と65歳以上の高齢化率(24%)が1位である割には頑張っていると言えるでしょう。特に病院の医師数の比較は百床当たり米国79名、イギリス97名、ドイツ47名に比べ、日本は17名と圧倒的に少数です。一方で一人当たりの外来受診回数は年間米国4回、イギリス5回、ドイツ9回に比べ、日本は13回と群を抜いて多い。日本の病院勤務医は他国の数倍多忙で、医療費はスーパーマーケット並みに安いと言えるのではないでしょうか。

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