rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

合法と道徳

2023-11-27 16:07:01 | 社会

法は道徳の一部である、と言う概念を大学1年の「法学」1時限目の授業で習いました。ヒトを殺してはいけない、騙してはいけない、泥棒はいけない、といった古今東西人間社会で不変の道徳について定めた法を「道徳規範」と言い、税率や交通規則の様に時代や国によっても異なる決まり事は道徳とは関係のない「約束規範」と言います。どちらも守る必要がありますが、約束規範は社会が円滑に回るように便宜的に定めた規範なので、状況によって道徳的葛藤なしで変える事が可能です。宗教は道徳の一部と言えますが、ヒトそれぞれ自由に選ぶことができるので人間全てが守らねばならない道徳とは言えません。宗教上の決まり事、食事制限や祈りなども「道徳」の範囲外の事項です。法は理屈で解決し、良い悪いを決めることが出来ますが、道徳は理屈だけでは解決できない問題を含むという視点が大事なのです。

法学で最初に習う法と道徳の関係

 

今回初歩的な「法と道徳」の関係について述べようと考えたのは、大学の進学過程で誰でも習うはずの「基本的関係」について「理解できていない」「無視する」様な事例が世界中で起きており、ニュースなどを見る度に感ずる「違和感」の根本原因がこれではないかと考えたからです。

 

I.  司法の政治利用

 

民主国家においては、義務教育で習う基本的な事項として、立法、司法、行政の3権は分立していて、国民が選挙で選んだ立法府を担う議員は国民の利益に叶う法を作り、行政が法に従い、政治を行うことで民主主義が成立します。司法は国民の順法も判断しますが、主に行政府が立法府が作った法に従って行政を行っているかを監視・判断する役目があります。権力者が自らの利益のために司法を利用するなど決してあってはならない「一発アウト」「問題外」の事例に相当します。

本来三権は分立して存在するのが民主主義の基本

 

しかしながら、権力者が政敵を無力化するために恣意的に司法を操作して相手を罪に陥れ、自らの権力を保持するという事は「絵にかいた様な悪事」であるにもかかわらず、日本においても「国策捜査」と言われる様な恥ずかしい事案が度々ありました。そして民主主義の手本であるべき米国において、米国民主党政権のトランプ前大統領に対する恣意的司法の政治利用は「法律家や政治家、増して民主党を支持しているまっとうな米国市民は恥ずかしい」と思わないものかと思います。

ただ、現在の日本の三権分立は、下の図の様にほとんど形骸化しており、国民は順法を強いられ、選挙ではまともな選ぶに足るまともな政党はなく、政治家、法律家、第四の権力たるメディアも全て「国家・行政府」に忖度し、行政府はその上位である米国グローバル勢力に忖度しているのが実態ではないでしょうか。

現実には三権が一体になって国民統治の道具と化していないか。

 

余談ですが、2023年11月23日に韓国高裁が、韓国が日本に併合されていた時代の慰安婦問題について、現在の日本国の責任を認めて「被告」と認定、「主権免除」を認めないとする極めて政治的な司法判断を行い、日本政府に賠償命令を下しました。勿論、日本は韓国の司法に服する義務はなく、「裁判」の体をなしていない「判決的なもの」は「司法の政治利用」であり、韓国が得意とする芸風と言ってしまえばそれまでではありますが、「裏にある政治的意図」を大いに暴いて報道してもらいたいものです。そして朝鮮戦争時に従軍慰安婦だった老齢化しつつある韓国女性たちにももっと光を当てるべきだろうとつくづく思います。それよりも今現在「ガザで行われている大量殺戮」、「目の前で行われている殺人」こそ「善悪の判断を今するべき問題」だと私は思うのですが。

 

II.  合法(或いは論理的合理性)は道徳的許可ではない

 

始めの道徳と法の関係図に戻りますが、合法であることと道徳的に問題ない事は別である事がこの図から明確に解ると思います。しかし最近の国際問題、ウクライナ戦争、イスラエル・ガザ紛争などのメディアの説明、権力者の説明など見ると、「合法」或いは「論理的合理性」と「道徳問題」を同一とみなしている「勘違い」か「ごまかし」が余りにも多いと感じます。酷いものでは「宗教上問題ないので合法であり、道徳的にも問題ない」と言い切るイスラエル首相まで出てくる始末です。法は完全ではないから道徳が必要なのであり、まして宗教教義など不完全極まるモノである事は明らかです。特に宗教教義は解釈上矛盾する内容が各所にあり、これは「神の仕掛けたトラップ」だと私は解釈しています。つまり「我欲煩悩を満たすために教義の一部を都合良く解釈して本来の神の教えに背く阿呆が必ず出るだろう」と見越して仕込んだ罠だと思われるのです。「金の亡者になっても、神に与えられた能力を実践しているにすぎないからOK」とか「・・民族は滅ぼしても良い」「・・は神に選ばれた世界を支配する民だ」といった自分に都合が良い解釈は全て「神が仕掛けた罠」でしょう。我欲を満たす事を許す解釈を本気にする馬鹿は必ず出るし、ひっかかるヤツが阿呆なのだと私は思います。

最近メディアで多発する「理屈で論破できれば勝ち」という考えの人達。それで道徳的問題も解決して皆が納得すると勘違いしているようだ。

一枚目の写真は、「10月7日のハマスによる民間人拉致の前にガザ地区やヨルダン川西岸で多くの罪のないパレスチナ人が違法に逮捕されている実態がある。」という指摘に「具体的にどこの事件を指しているのか明らかでない指摘だ」と答えるプロイスラエルの論客。また「ハマスによる殺害人数の数倍の市民や子供がイスラエル軍に殺害されている。」という指摘に「数で言うなら第二次大戦で悪いナチスを消滅させるためにもっと多くのドイツ市民が連合軍に殺害されたでしょ。」と問題をすり替えている。二枚目では「今まで多くの犠牲や略奪がパレスチナ人に行われた。」という指摘に「今回の問題は10月7日のハマスの暴虐に始まっている」と言い張る司会者。

 

追記(2023年11月29日): 解放されたのは法の裁きを受けた囚人(Prisoner)なのか?

イスラエル政府とハマスの一時的休戦によってハマスは10月7日に捕えた人質(Hostage)の一部を解放し、イスラエルからは数千人以上と言われるパレスチナ人の囚人(Prisoner)の一部を解放したと伝えられます。メディアでは一貫して罪なく拉致された「人質」と有罪で監獄に服役する「囚人」の交換であるという印象操作が行われています。しかしイスラエル人死亡者はkilled(殺された)、パレスチナ人死亡者はdied(死んだ)と統一して報じていた様に、本当はパレスチナ人は収監されている(inmate)だけで囚人(prisoner)と表現するべきではない様に思います。メディアの印象操作の一つと考えますが、The Interceptの記事にある様に、正規の手続きなく、不当に逮捕・長期収監されたパレスチナ人は囚人ではなく(不当)収監者と呼ぶべきだと思います。

パレスチナの収監者達は、法の決定(司法)に基づく囚人(prisoner)とは言えないのではないか。

イスラエル寄りと言われるCNNでも収監者はテロリストと勝手に見なされた(Reckoning)だけで39名中23名は女性であり、15人は微罪で、10名しか起訴されていない、とレポーターが怒りをこめて告発しています。イスラエルという国が世界に受け入れられることはもう無いかもしれません。

コメント (7)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ガザ、ウクライナの戦争責任の問題

2023-11-17 22:00:06 | 社会

勝敗が決まった戦争では、誰に(主に負けた)戦争の責任があるかが問題になります。戦争は、勝敗に関わらず、「得することなど一切なく被害を被る」のは庶民であり、後始末を押し付けられるのも庶民であることは古今東西変わりません。しかし戦争が所詮「我欲と煩悩の国家レベルの追求」であることは明らかです。だからその戦争が「誰にとって最も我欲煩悩を満たす目的に合致したか」を検討すれば、本当の戦争責任が誰にあったかも明らかになります。

 

I.  終戦に向けて調整に入ったウクライナ

 

日本の偏った情報だけを見ていても、いかにウクライナが一方的に負けているかを理解できないと思いますが、ロシア軍が余裕をもって主にアドビーカ地域を攻撃しているのに対して、持ち球の無くなったウクライナはいよいよ孤立するゼレンスキー大統領を交代させる準備を始めた様です。しかもバイデン政権とネオコンはまだゼレンスキーで戦争継続を画策している様ですが、米軍、CIAの反ネオコン、欧州のグローバル勢は、ゼレンスキーを下して軍や国民の信望が厚いザルジニー将軍を大統領に据えて、損切りをしたうえでロシアと終戦協定を結ぶ準備に入った様です。ゼレンスキー大統領と組んでいる実力者のアンドリー・イエルマク氏は、バイデン政権と調整して、最近エコノミスト誌にウクライナ軍の苦戦を発表し、南部戦線の反攻を中断したザルジニーら軍部指揮官多数の粛清を準備していると言われます。一方で11月15日にはCIA長官のウイリアム・バーンズがキエフ入りをすると言われ、CIA長官の訪問は今までの米国対外政治ではトップの交代(か粛清=死神)を意味してきた、と言われます。

ウクライナ軍幹部粛清か、ゼレンスキー氏が死神に呼ばれるか(呼ばれた仲間たち)

 

II.  かなり現実的であった2022年3月の停戦交渉

 

元外交官の孫崎享氏は、近著「同盟は家臣ではない」(2023年刊)で、「外交は紛争と共に相互譲歩の可能性を探るものだ」という基本を紹介し、指導を受けた外交官枝村純郎氏の「外交交渉は51点、52点を目指し、何とか48点、49点になる事を避ける事が国益に通ずる。」という認識を紹介しています。

Hajo Funke氏とHarald Kujat氏は2022年3月にまとまりかかったウクライナ、ロシア間の和平合意がいかに西欧各国の妨害で反故にされたかを詳しく紹介しています。その中で、実際に結ばれる予定であった和平合意の内容を紹介しているのですが、ウクライナ、ロシア両国、特にウクライナにとって現在の80万人の若者の無益な戦死、その倍はいるであろう回復不能な戦傷者、荒れ果てた国土と、和平合意で差し出した譲歩を比較して、いかに外交による譲歩が国益に叶った内容であったかを痛感します。以下に和平合意で提案された10項目の抜粋和訳を参考までに示します。

西側諸国がいかに2022年3月の和平合意を阻害したかのまとめ

 

2022年3月29日にウクライナ、ロシア間で交わされたイスタンブール・コミュニケ(引用開始)

 

提案1: ウクライナは中立国を宣言し、非同盟を維持し、国際的な法的保証と引き換えに核兵器の開発を控えることを約束する。保証国としては、ロシア、英国、中国、米国、フランス、トルコ、ドイツ、カナダ、イタリア、ポーランド、イスラエルなど。

提案2: ウクライナに対するこれらの国際的安全保証は、クリミア、セバストポリ、またはドンバスの特定の地域には適用されない。条約の締約国は、これらの地域の境界を定義、またはこれらの境界を異なる方法で理解していることに同意する。

提案3: ウクライナは、いかなる軍事連合にも加わらず、いかなる外国の軍事基地や軍隊の派遣団も受け入れないことを約束する。保証国は、ウクライナの欧州連合(EU)加盟を促進する意向を確認。

提案4: ウクライナと保証国は、ウクライナが軍事攻撃を受けた場合、個別的または集団的自衛権(国連憲章第51条で認められている)に基づいて恒久的中立国としてのウクライナに支援を提供する。

提案5: そのような武力攻撃(軍事作戦)およびそれに対してとられた行動は、直ちに国連安全保障理事会に報告される。このような行動は、国連安全保障理事会が国際の平和と安全を回復し維持するために必要な措置をとった時点で直ちに停止する。

提案6: 起こりうる挑発行為から身を守るため、ウクライナの安全保障の履行メカニズムを規制する。

提案7: 条約は、ウクライナと保証国のすべてまたは大部分が署名した日から暫定的に適用。

この条約は、(1)ウクライナの恒久的中立の地位が国民投票で承認され、(2)関連する修正がウクライナ憲法に組み込まれ、(3)ウクライナの議会と保証国で批准が行われた後に発効する。

提案8: クリミアとセバストポリに関連する問題を解決したいという当事者の願望は、15年間のウクライナとロシアの二国間交渉に盛り込まれ、ウクライナとロシアは、これらの問題を軍事的手段で解決せず、外交的解決努力を継続する。

以下略

(引用終了)

 

この合意はゼレンスキー、プーチン両大統領も乗り気であったにも関わらず、以下に示す日程的経緯で反故にされます。

 

2022年3月27日 - ゼレンスキー大統領は、ロシアのジャーナリストの前で、ウクライナとロシアの和平交渉の結果を公の場で擁護

2022年3月28日 - プーチン大統領は、善意のしるしとして、和平交渉を支持し、ハリコフ地域とキエフ地域から軍隊を撤退させる用意があると宣言。

2002年3月29日、トルコのエルドアン大統領はイスタンブールでウクライナ・ロシア和平会議を主催し、休戦協定が原則的に承認された。

2022年4月1日 - プーチン大統領は、イスタンブールで合意された休戦協定に従い、誠意を示して、ロシア軍にキエフとハリコフからの撤退を開始するよう命じた。

2022年4月5日 - NATOは、停戦と交渉による解決よりも戦争の継続が望ましいという立場を堅持、「NATOの一部にとっては、キエフや他のヨーロッパ諸国にとって、あまりにも早く、あるいは高すぎる代償を払って和平を達成するよりも、ウクライナ人が戦い続けて死ぬ方が良い」と述べた。

2022年4月6日 - ロシアはキエフ郊外とハリコフからの撤退を完了。

2022年4月9日 - ボリス・ジョンソンは予告なしにキエフに到着し、ウクライナ大統領に、西側は戦争を終わらせる準備ができていないと語った

2022年4月25日 - ロイド・オースティン米国防長官は、ウクライナ戦争を受けて、米国はロシアを軍事的・経済的に恒久的に弱体化させる機会を利用したいと述べた。

2022年4月26日 - オースティンがドイツのラインラント・プファルツ州ラムシュタインで開催したNATO加盟国やその他の国々の国防相との会合で、国防総省長官はウクライナの軍事的勝利を戦略的目標として宣言した。

 

III.   西側はロシアによる偽旗核攻撃も画策していた可能性

2022年夏以降は、「ウクライナ戦争が世界核戦争に発展する」「ロシアが核攻撃をする」とメディアによる「ロシア苦戦に伴う核使用」がしきりと宣伝されていた時期がありました。ウクライナ(西側)が圧倒的に負けていて、出口戦略を探らねばならない現在さすがに「ロシアが核を使用」という宣伝はなくなりました。

この頃メディアでは盛んにロシアによる核使用が近いと議論されていた。

 

元ウクライナ大使の馬渕睦夫氏の近著「ウクライナ戦争の欺瞞―戦後民主主義の正体」(2023年刊)によると、NATOグローバル陣営は、「この時期ロシアによると見せかけたウクライナへの核攻撃(実はNATO側による)を計画していた可能性」がある、と解説します。英国外相であったリズ・トラス氏は「ロシア壊滅のためには必要ならば核戦争も躊躇すべきでない」という過激な発言で顰蹙を買っていましたが、ボリス・ジョンソン氏退任の後を継いで首相になってしまいました。しかし経済政策の失敗?という名目で、わずか45日で「信任を果たせない」と辞任してしまいます。国家の経済政策が40日程度で結論が出せるはずもなく、真の辞任理由は他にあったはずです。この時期北海のノルドストリームパイプライン爆破事件があり、後にシーモア・ハーシュ氏は「米海軍特殊部隊が行った」事を暴露します。トラス首相は爆破直後に米国ブリンケン長官に「やりました!」という報告をメールしたという暴露記事が出回りました。今になってパイプライン爆破はウクライナの大佐が中心に(排除したいザルジニー了承の下、ゼレンスキー大統領が知らないうちに)実行された、などという反ザルジニー派の嘘だらけのニュースがホワイトハウス報道局ともいえるワシントンポスト紙から流されています。深海工作の特殊技能がない陸軍大佐が6人乗りのヨットでパイプラインを効果的に爆破する事などできない事は素人でも分かりますが、「ほんまかいな?」という記事を載せているのはNHKくらいであとのメディアは垂れ流し状態です。

不確かな情報を米メディアが報じたからとそのまま垂れ流す無能日本メディア

 

馬淵氏は、この西側・ネオコングローバル陣営が各種工作を行っていた時期に、ロシアの偽旗による核使用が計画され、「核使用も辞さない」発言で「コロナロックダウンも核使用も嫌がっていた」ボリスの後継者として急遽首相に抜擢されたトラス女子が「さすがに核を自分から偽旗作戦で使うのは断る」と拒否したために頸になったのではと考察しています。その後は経済界に都合がよいスナク氏がなったことからもあり得る話の様に思われます。

核兵器を使うことを拒まないと評価されて首相になったトラス氏だったが、自分から使うのはやはり拒否したのだろう。

 

ウクライナ戦争の戦争責任は誰(どの国)に帰されるべきでしょうか。

 

VI.  ハマスのアル・アクサ洪水という攻撃を防げなかった責任は?

 

2023年10月7日のハマスによるイスラエル領内への大規模攻撃は、事前にエジプト、米国の諜報機関からも警告があったと明らかにされています。またイスラエルの諜報機関であるモサドはガザ領内は勿論世界各国に優れた諜報網を持つ事が知られており、真偽不明ながら、「詳しいハマスの連絡通信内容」が現在行われているガザ爆撃や市民虐殺を正当化するために公表されています。イスラエルにとってはおひざ元の「ガザ地区」におけるハマスの活動は全て把握しており、基地として使用しているトンネルについても詳しく分かっている様に見えます。

しかし10月7日のハマスの攻撃はイスラエルにとっての9.11(ショック・ドクトリン)であり、イスラエルの生存をかけて「先ずはハマスの牙城であるガザを壊滅させる事が責任問題云々よりも優先」である、と最も責任があると思われるネタニヤフ氏はCNNのテレビインタビューで執拗に答えています(インタビュー最終の部分)。

攻撃を防げなかった責任をしつこく質問され、戦争が終わってから答えるとはぐらかす大統領

 

V.  ガザへの一方的侵攻、市民虐殺という戦争犯罪に対する責任はだれがいつ取るのか?

 

911の後、米国は直接関係のないイラク、アフガニスタンに侵攻し、政権を倒し、抵抗勢力を市民ともども殺戮し、「テロとの戦い」という謳い文句で全ての行動を正当化し、西側諸国はそれを受け入れてきました。そこには「譲歩を旨とする外交」は一切ありませんでした。今回のイスラエルの行動は、米国の911後の行動をそのままパレスチナに当てはめたものであり、米国が「テロとの戦い」として世界に受け入れられたのだからイスラエルも批難される筋合いではない、と考えている様です。背後にある思想はバイデン政権を支配する「ネオコン思想」であり、「自分たちが絶対正しく、99%の愚かな世界の被支配者達は黙って受け入れれば良い」という傲慢な思想です。

911後のデタラメな行動も、初回であり、社会主義経済消滅後の世界は米国一強(で平和になる)と夢想していた時だから、世界は仕方なく受け入れたのでした。しかし「テロとの戦争」は権力者の単なる殺人であることが明らかとなり、世界の多くの罪のない人々が不幸になった上、米国の国力が衰えて来た現在、911の劣化版をイスラエルがcopycatした所で世界が受け入れるはずがないのです。

 

VI.  メディアによるGaslightingから目覚めるには

 

グローバル経済が行き詰まりを見せるにつれて、世界の体制がゆっくりと大きく変革しつつあります。貨幣・紙幣は人類の(欲しい商品と同様に価値があると思い込んでいる)共通幻想でしかありませんが、形ある商品を作り出さず、信用経済というこれも共通幻想によって「好きなだけ貨幣・紙幣は作り出せる」という前提で米ドルを中心としたグローバリズムが成り立って来ました。しかし、食料やエネルギーという「実体のある商品を作り出す国々、人々」を「信用経済を作る国や人が支配」する事が限界に達して実体ある商品を作る国々が結束を始めたのが「多極主義」「グローバルサウス」の台頭と言えるでしょう。ところが、グローバリズムから金をもらう大手メディアはグローバリズムの終焉を客観的に報道、解説する事を嫌い、「分断」「ナショナリズムの台頭」などと表現し、グローバリズムを支配する1%の富者達が仕掛ける「戦争」や「感染症」、「環境保護をダシに使った経済破壊」を断片的な情報、もっともらしい「物語(ナラティブ)」を押し付ける事で、その全体像を理解できなくさせている様に見えます。

嘘の情報、現実離れした情報を与え続ける事で、事実認識ができなくなる手法を1940年代の映画ガス燈にちなんでGaslightingと表現しますが、テレビを始めとした大手メディアの断片的で表面的な情報だけに接していると、現実を正しく認識することが不可能になって「世の中は良く分からない」という感慨しか持てなくなります。WHOのご託宣は全て正しい。NHKテレビで繰り返し放送される内容は正しい。ロシアは悪である。テロを起こす可能性がある人々は根絶しなければならない。台湾は日本の生命線である。油断すると日本は中国に侵略される。そう本気で思っている日本人が意外に多い事に驚かされます。

コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

暴戻(パレス)チナヲ膺懲ス

2023-11-10 22:13:47 | 社会

I.  暴支膺懲との類似性

 

暴支膺懲(ぼうしようちょう)とは支那事変中、陸軍省などが中華民国の蒋介石政権に一撃を加えることで排日・抗日運動に歯止めをかけるという意味で使用した合言葉で、横暴な中国を懲らしめる、「暴戻シナヲ膺懲ス」の短縮形です。使用するきっかけは1937年7月の盧溝橋事件(7日)と通州事件(29日)が発端で暴支膺懲国民大会が各地で開催された由です(Wikipedia)。字面から解るようにきわめて上から目線で、ジャイアンがのび太に「のび太のくせに生意気だぞ!」と「理屈よりも感情」で言い切っている感があります。

夜間演習中の日本軍に中国側が実弾を打ち込み、兵一名が行方不明になったという盧溝橋事件よりも、日本人を憤慨させたのは日本軍の通州守備隊とその家族への翼東防共自治政府の中国人部隊による虐殺事件、とされる通州事件の衝撃が大きかったようです。この後日本は中国に百倍返しの仕返しをするのですが、種々写真なども残っているものの、通州事件は実際以上に残虐性が誇張された形跡もある様です。

 

II.  暴戻(パレス)チナヲ膺懲ス

 

2023年10月7日、突然のハマス戦闘部隊によるイスラエル越境攻撃で、1,400名の軍・民含むイスラエル国民が死亡、数百人が人質として連れ去られました。イスラエル政府および軍(IDF)は、直ちに報復攻撃に転じ、現在ガザ地区は無差別爆撃を受け、3,000名の子供を含む1万人以上のパレスチナ人が死亡したと報じられています。攻撃したハマスの部隊だけを戦闘対象にするのは解りますが、「暴戻パレスチナヲ膺懲ス」と言う精神で、「パレスチナ人全て」を懲らしめる事で、イスラエルに歯向かう気概を無くしましょう、という目的で行っている様にも見えます。暴支膺懲の結果、中国が日本に対する抵抗意識を無くすことはなく、却って中国人の団結を強め、結果的に大日本帝国の滅亡に至った事は歴史が証明しています。

私はイスラエルも同じ運命と思いますし、世界中の多くの識者が同じ結論に達しています。暴支膺懲のきっかけとなった通州事件が意図的に残虐性を強めて報道されたのと同様、10月7日のハマスの襲撃「アル・アクサ洪水」も残虐性、被害ともに意図的に誇張されている事がSNSの発達した現在、直ぐに白日の下に現れつつあるようです。しかもイスラエル民間人への被害の多くは実はイスラエル軍の攻撃によるものであった事も地元イスラエルのメディアで報道されています。以下にそれらをマックス・ブルメンタール氏がまとめたGrayzoneの記事の日本語訳抜粋を載せます。

 

(引用開始)

 

10月7日の証言は、イスラエル軍が戦車やミサイルでイスラエル国民を殺害したと明かした。

マックス・ブルメンタール·2023年10月27日

10月7日にハマス過激派に制圧されたイスラエル軍は、イスラエルの住宅や自国の基地さえも砲撃する命令を受けた。「生きたまま焼かれた」と言われているイスラエル国民のうち、実際に同士討ちで死亡したのは何人だろうか。10月7日のイスラエル南部に対するハマスの奇襲攻撃に関するイスラエル証人によるいくつかの新たな証言は、イスラエル軍がパレスチナ人の武装勢力を無力化するために戦った際に自国民を殺害したという証拠をさらに強めている。

地元ハアレツ紙に掲載された報告書は、イスラエル軍が、支配権を掌握した「テロリストを撃退するために」ガザへのエレズ交差点内の自国の施設に対して「空爆を要請せざるを得なくなった」と指摘した。その基地には当時、イスラエル民政局の職員と兵士がいっぱいだった。これらの報告は、たとえ多くのイスラエル人の命が犠牲になっても、イスラエル国内の住宅やその他の地域を攻撃するよう軍最高司令部から命令が出されたことを示している。

ヤスミン・ポラットというイスラエル人女性はイスラエル・ラジオのインタビューで、10月7日のハマス武装勢力との銃撃戦で軍が「間違いなく」多数のイスラエル人非戦闘員を殺害したことを認めた。「彼らは人質を含む全員を排除した」とイスラエルの特別番組に触れながら述べた。ハマスの武装集団に拘束されている間、ポラットさんはこう回想した。「彼らは私たちを虐待しなかった。私たちはとても人道的に扱われました…誰も私たちを暴力的に扱うことはありませんでした。」彼女はさらに、「目的は私たちをガザに拉致することであり、殺害することではなかった」と付け加えた。

アパッチ攻撃ヘリコプターも、10月7日のイスラエル軍の対応に大きく関与した。パイロットらはイスラエルのメディアに対し、何の情報も持たずに戦場に緊急発進し、ハマスの戦闘員とイスラエルの非戦闘員を区別できず、それでも「弾倉を空にする」決意をしたと語った。「対象があまりにもたくさんあるので、何を撃てばいいのかジレンマに陥っている」と、あるアパッチパイロットはコメントした。

ハマスの制服を着た武装集団が撮影したビデオは、ハマスの武装集団が10月7日にカラシニコフ銃で多くのイスラエル人を意図的に発砲したことを明らかにしている。しかし、イスラエル政府は検証済みのビデオ証拠に満足していない。その代わりに、過激派が捕虜をサディスティックに焼き殺し、生きたまま放火する前に強姦したと主張するために「見分けがつかないほど焼かれた遺体」の写真を配布しながら、「首を切られた赤ん坊」という信用できない主張を押し続けている。

イスラエル政府がハマスの残虐行為を強調する目的は明らかである。ハマスを「ISISよりも悪い」と描きながら、イスラエル軍が継続的に行っているガザ地区への砲撃への支持を集めることであり、発表時点でイスラエルの攻撃により、少なくともガザで2500人の子供を含む7000人以上のパレスチナ人の死者が出ている。ガザでは何百人もの負傷した子供たちが、新型兵器による「4度の熱傷」と外科医が表現したものの治療を受けているが、西側メディアの焦点は依然として10月7日に「生きたまま焼かれた」とされるイスラエル国民に向けられている。

しかし、イスラエル軍司令官が下したイスラエル国民への射撃命令の証拠が増えていることは、西側メディアに提示された黒焦げのイスラエル人の死体、瓦礫と化したイスラエルの家々、焼け落ちた車両の塊などの最も不快な画像の少なくとも一部が、実際にはイスラエル軍の戦車兵とヘリコプターのパイロットが自ら砲爆撃した結果だったのだ。実際、10月7日、イスラエル軍はガザ地区の民間人に対して行っているのと同じ戦術で、つまり重火器の無差別使用で自国民の死者数を増やしたようだ。

(引用終了)

 

III.  ハマスとウクライナの戦術の違い

 

軍事力の比較ではハマス<イスラエルであり、ウクライナ<ロシアである点で、ハマスとウクライナは同じです。しかし今回の戦争では、ハマスはイスラエルに勝つだろうと私は思います。それは弱者が強者と闘う場合の定石の戦い方をハマスが採っているからであり、イスラエルが採っている戦術が稚拙すぎるからです。この一か月でイスラエルは1万人の民間人を虐殺していますが、ハマスを掃討する戦争の効率としては悪すぎる事は軍事・軍略に長けていなくても解ると思います。イスラエルはエジプトなどとの正規軍同士の戦争では、奇襲や機略を用い、優秀な司令官と勇敢な兵で第三次までの中東戦争に勝ち抜いてきました。アラブ諸国の正規軍は、米軍の論理的で洗練された軍組織の戦い方には慣れておらず、米軍の支援を受けたイスラエル軍に苦戦してきたことは確かです。しかし、ベトナム戦、21世紀に入ってからの対ゲリラ部隊が中心となった「テロとの戦争」では米軍は結局敗退してきました。それでもCOIN(Counterinsurgency)戦術に徹する事で、「部隊がいる地域」では敵を制圧できました。

現在イスラエルはガザに侵攻していますが、彼らの広報が宣伝するほどにはハマスを駆逐する戦果が上がっていないのが実情の様です。それどころか地下トンネルを駆使したハマスの戦術で戦車や装甲車の多くが破壊され、準備不足の予備役(しかも戦意moraleは低い)達の犠牲も増加しています。イスラエルの兵たちはベトナム戦争時の米軍兵と同様、世界からもイスラエル国民からも批判され、世論調査で27%の支持率しかないネタニヤフ政権の維持のダシに使われていると理解しています。トンネルと要塞のネットワーク、地雷原、狙撃兵、IED(簡易爆弾)、そしてハマスとパレスチナ住民の強い敵意にさらされながら路上で白兵戦を戦う予備役のイスラエル兵達が勝てる訳がありません

前にも指摘した様に、ウクライナは制空権がなく軍事力も弱い状況で「攻撃を続ける」事でロシアの数倍犠牲を強いられ続けています。西側の戦略を無視した兵器供給によって、武器の質は良くても計画的な戦争には勝てない状況のまま既に100万人近い死傷者を出して「兵が枯渇」した状態です。9月頃「勝った」と大騒ぎだったロボティネ村は1mも進まないまま冬を迎えています。大きな犠牲で敗退したバフムト近郊のアディフカでは、最近ロシア軍が機甲部隊を進めて来て「攻撃」体制になったため、ISR(情報・探知・偵察)が全て明らかな状態では「守備」が圧倒的に有利なために、軍備の少ないウクライナ軍は進撃するロシア軍に打撃を与えて一矢報いることができています。ウクライナは昨年3月までの散発的戦い方を続けて、ウクライナ・ロシア双方が同程度の犠牲を強いられていた時点で和平交渉を締結していれば、かなり有利な条件で和平に持ち込むことができたと思われますが、ロシアに勝てると勘違いした英米が和平交渉を破棄させた結果、現在の様な多大な犠牲を強いられた上に敗北する結果になったのです。

 

IV.  Two State Solutionが唯一の解決法

結局PLOのアラファト議長とラビン首相の1993年オスロ合意に戻るのが最も堅実な和平案ではないだろうか。争い事の解決法は、第三者から見る見方が最も冷静で正しいものである。

 

隣人同士がこれだけ殺し合いをしてしまうと、「仲良く土地を分け合って住みましょう」という解決は困難である事は解ります。それは「感情」の問題だからです。しかし感情に任せてどちらかが絶滅するまで殺し合いを続ける事が「賢者の選択」でない事は第三者的には明らかです。前のブログ「戦争に勝つとは」で定義した様に、相手国民を全て殺せば「戦争に勝った」と言えますが、現代世界でそれは通用するでしょうか。パレスチナ人を全て殺したイスラエルという国を、アラブ・アフリカを含む国際社会は受け入れるでしょうか。「相手国の国民を全て殺した者勝ち」という絶望世界に人類は生きたいと思わないでしょう。冷静に思考すれば、1947年の国連案による2国共存が最も幸福度の高い解決策だったと思います。この時は、イスラエル国民は分割案を受け入れ、アラブ諸国が反対して、その後の数次にわたる戦争につながって行き、結局パレスチナの領土が減少していって現在に至ります。今回、イスラエルは「下手を打った」のです。大日本帝国が戦後5分割されて明治初期の領土に戻され、今に至ったのと同様、イスラエルは1947年の国連分割案、せめて1949-67のgreen lineまで譲歩して平和を築いて世界に再度受け入れてもらったらどうかと思います。「俺たちは日本人の様な劣等民族ではない!」と一喝されそうですが。

イスラエルは今回の失敗で大きな譲歩を迫られるだろう。

 

同様にウクライナもロシア語話者の国とウクライナ語話者の国に二分割するのが平和に暮らす道でしょう。本当はミンスク合意が賢者の選択であった事は明確なのですが、昨年3月のそれに準じた和平案を英米のネオコンがロシアに勝てるという誤った認識で潰しました。今ロシアの圧勝でウクライナ戦争が終了すると、資金を投入してきた欧米の取り分が消滅する事を怖れたグローバル陣営は、戦争継続にこだわるゼレンスキーの首を挿げ替え、取り分のあるうちに戦争を終結させる算段を始めています。ザルジニー将軍の副官殺害ゼレンスキー大統領選挙の取りやめ、復活など、水面下で多くの陰謀が渦巻いている様です。

 

中国の国内情勢も高官の突然の辞任など不安定さを見せていますが、ネオコンは台湾有事による中国弱体化を目指している様ですが、現状維持のTwo state solutionが最も中国の国益に叶う事は、習近平氏は知り抜いています。私の知る台湾の知識人達も戦争など望んでいません。日韓の首脳(高官レベルで)とも米英の戦争屋達に知られない様に、策略にのらない打ち合わせをしている事と思います。

コメント (3)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

増加傾向が続く日本の死亡統計

2023-11-04 11:02:58 | 医療

前回2022年の人口動態統計のまとめが出た際に総括しましたが、2022年は2021年に比べて13万人多く日本人が亡くなり、最も死亡者が増加したのは75歳以上の高齢者であった事を報告しました。死亡原因としては、がん、心疾患、老衰が増加していました。10月末に今年8月までの人口動態統計の速報が出ましたが、やはり死亡者は増加したままであることが分かります。前年(2022年)が多かったので前年比較では増加した様に見えないのですが、死亡者が異常増加する前(年々2万人ずつ位は増加していましたが、10万以上増加は異常)と比較すると分かりやすいと思います。

 

実臨床と病院の死亡診断書の全数調査を続けていると分かりますが、数年前と比べて悪性度の高いがんが増加し、一度に複数の癌に罹患する「重複がん」例も珍しくなくなりました。また80台以上の高齢者が2-3か月で急速に進行するがんで亡くなる例も多くみます。あと高齢者であまり重篤でない感染症などで亡くなる、広い意味での老衰ですが、70台後半くらいから体力低下や免疫が弱い印象で亡くなる方が増加している様に見えます。日本中でこの1-2年のうちに、血縁者や友人で急にがんで亡くなった方がいる、という人が増えているのではないでしょうか。私は厚労省の統計まとめと、一次情報しか発信できませんが。

 

I.  死亡者数の推移

 

図にこの5年間の各月の死亡者数の推移を示します。2019-20年は死亡者数の増加はなく、21年の春以降から徐々に各月の死亡者が増加しているのが分かります。死亡者増加が問題になった22年以降今年に入っても死亡者が増加したままであることが明瞭に理解できます。火葬場が2週間以上順番待ちでしかも救急の受け入れ困難が問題になった昨年12月から今年1月の異常な死亡者数が目立ちます。大災害でもあったのでしょうか。

5年間の各月死亡者数の推移 21年途中から死者が増え始めた。22年は著明増加。

 

II.  コロナやワクチンとの関係は?

 

今年8月に厚労省からXBB対応ワクチン接種を推奨する知らせが出た際に紹介したパンフレットに記載されていた今までの新型コロナの感染流行のグラフにワクチン接種時期を加えた図を前回ブログに載せました。今回この図に対応する各月の死亡者数を合わせた図を示します。死亡者数の増加が分かるように2019年の各月の死亡者数を青で示します。ワクチンを打てば打つほどコロナの感染者が爆増し、死亡者数も増加している様に見えます。

厚労省のコロナ感染者数推移のパンフレットにワクチンと死亡者数の推移を重ねた図

 

III.  XBB対応ワクチンは効くのだろうか?

 

厚労省がXBB対応1価ファイザー社ワクチンを承認した際に公表した資料からの図を載せます。これはヒトではなく、マウスに予め3回従来型のワクチンを接種してから4回目の追加接種として前回ヒトに推奨して接種した「武漢とBA4/5の2価ワクチン」を接種した場合(左側)、今回推奨するXBB1.5の1価ワクチンを接種した場合(オレンジ枠内)、BA4/5と今回推奨のXBB1.5を2価として接種した場合(右側)の3つの群に分けて、反応してできた「現在存在しない武漢型」、「オミクロンBA4/5」、「XBBの各型」に対する中和抗体の量を「対数目盛」であらわした図です。

厚労省のファイザーワクチン承認時の公開資料の図

 

問題点はXBB1.5に対するワクチンを投与したのに現在存在しない武漢型の抗体が大量に作られてしまった事です。これを「抗原原罪(Antigenic sin)」と言って同じワクチンを複数回打つことでワクチンが効かなくなるから注意せよ、免疫減弱が起こる減感作療法になる、と繰り返し注意喚起してきたことです。しかも必要なXBBに対する抗体がほんのわずかしかできていません。これが分かるように「対数目盛」を通常用いる「線形目盛」に変えた図を載せます。

厚労省の図をまっとうな線形目盛で書き直した図

 

IV.  ワクチンがコロナ感染症重症化を予防する効果

 

コロナワクチンには重症化を予防する効果がある、と繰り返し宣伝されています。これは本当でしょうか?私は本当であると思います。以前も解説しましたが、「新型コロナ感染症の重症化」は、免疫の過剰反応によるサイトカインストームで肺組織をはじめとする臓器障害が出現して生命にかかわる事が本態です。だから重症コロナ感染症には「抗ウイルス剤」、免疫を抑制する「ステロイド」、生命維持をするECMOで対応するのです。コロナワクチンを反復投与することで、存在しない武漢型ウイルスへの過剰な抗体は作られるものの、各種新たな変異型コロナウイルスに対する抗体ができなくなる事がマウスの実験で示されたのですから、免疫の過剰反応であるサイトカインストームはウイルス感染しても起こりません。元々最近のウイルスは重症化しない型に変異しているのですから、たまたま体内で異常増殖して本来なら重症化する例でも免疫が抑えられる事で重症化せずに済むのです。しかし体内でウイルスは増加し続けるので体力が低下していずれ亡くなる結果にはなります。高齢者の老衰死亡(体力低下による死亡)が増加しているのはそのせいではないかと愚考します。軽い風邪や肺炎で検査データが死亡するほどの異常データでないのに亡くなるヒトが最近散見されるのですが、私はこれではないかと思っています。証明することはできませんが。

コメント (5)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

現世利益を追求する宗教原理主義

2023-11-02 14:01:23 | 政治

I.  現世利益を追求する宗教原理主義

 

旧約聖書を根拠に正当化された大虐殺がこの21世紀の現在パレスチナで行われていますが、人権やコンプライアンスを執拗に追及するメディアが大人しいままである事に違和感を抱く人も多いと思います。どのような宗派であっても「敬虔な宗教者」は人殺しや盗み、詐欺などしません。

聖書を持ち出して虐殺を正当化するネタニヤフ首相(世界では誰も納得してないけど)

ISISなどの「イスラム原理主義」、ファンダメンタリストと言われる「キリスト教原理主義(一部福音派?)」、現在のイスラエルの体制である「シオニズム・ユダヤ原理主義」と、「敬虔な」ではなく政治と結びついた「原理主義」と表現される派閥は、「政治」という「現世利益」、我欲煩悩に結び付いた利益誘導に結び付く政策に宗教教義を利用している連中の事を指すと考えます。現代宗教を含めて、キリスト教やイスラム教などもせいぜいこの二千年内に普及した宗教というのは信者獲得のために「現世利益」をどこかで教義に含めることが多く、その都合の良い「現世利益」のみ強調して活動することで信者以外、時には本来の魂の救済を信じて活動している「敬虔な信者」にとっても極めて迷惑な存在となることが多いのです。虐殺や略奪を正当化する宗教など存在しないのですが、「我欲煩悩を達する目的」で宗教全体の教義のごく一部のみを強調して「虐殺」や「略奪」を正当化し、それを宗教の名のもとに行う「悪者」が歴史のいつの時代にも存在してきたのです。彼らは批判に対して「信教の自由を侵害するな」などとあたかも自分たちの行いが「信教に基づく正当なもの」である如く主張しますが、「我欲を満たす目的」なだけであり、騙されてはいけません。「我欲を満たす」目的と関係なくなった途端に彼らは主張しなくなるので見分けは簡単です。

難民キャンプ爆撃を公式に認めるイスラエル軍広報官。国連の人権担当弁務官も抗議の辞任

 

私は、納得できる常識的な範囲での「浄財」は許されますが、それを超えるものは全て「邪教」と断定します。医師を長年やっていると「神の存在」を皮膚感覚で実感する機会が度々ありますが、それらから言えることは、「神の教えは現世利益とは結び付かない」ということです。神は現世利益に対しては「厳しい」し、「関与しない」ものですが、「魂には優しい」というのが実感としてあります。

 

II.  西側諸国で喧しい終末論

 

イスラエルのネタニヤフ首相は聖書を持ち出して現在の戦争につなげています。それが聖書に記された世界最終戦争、核戦争になるのではないかと恐れる人も増えています。日本のメディアはガザの虐殺に対して「世界で抗議が広がっています」と他人事扱いですが、日本政府はイスラエルを公式に支持してしまっているので、メディアからも抗議の声をあげないと日本人全体がイスラエル極右政権支持の様に誤解されかねません。アル・ジャジーラはニューヨークのユダヤ系市民、イスラエル国内の人々を含む世界中の人たちがイスラエルの侵略戦争に反対していることを報じています。

心あるユダヤの人達は戦争反対である。

 

III.  ウクライナ・ガザ虐殺記念館

 

Time最新号は「ゼレンスキー大統領ほどウクライナの勝利を信ずる者はいない」という特集を組んでいますが、一見ウクライナ勝利が近いのかを間違える見出しながら、内容を読むとウクライナ軍の犠牲が余りに多く、西側の支援も枯渇し、すでに補充する兵もいない現状が紹介されています。最近は攻撃命令を無視する前線の兵士も増加し、ロシア軍は特定の信号帯をウクライナ兵の投降用に開けており、すでに1万人以上が前線で直接投降したとも言われます。つまりTime誌の特集は「すでにウクライナの勝利を信じているのはゼレンスキー大統領だけである」と読み替える事ができます。

ガザの虐殺は生中継で数えきれない証拠が世界中に広がっています。イスラエル政府の意図的無差別殺戮も証拠に残っています。イスラエル国民からも支持されていない今回の戦争は「イスラエルの敗北」で終わりますが、同じくウクライナ敗北で終了するウクライナ戦争を含めて、今回の悲惨な戦争は戦後「記念館」として保存展示されることになるでしょう。ウクライナのマイダン革命における悲劇、オデッサのロシア系住民虐殺、バフムトやマリウポリの戦闘における市民の犠牲者(基本的にドンバスに住むロシア語圏の人達)が展示され、後世に教訓を残すことになるでしょう。イスラエルを旅行した際に、ホロコースト記念館を訪れましたが、同様の記念館がガザにも開設されるでしょう。後世のユダヤ人は修学旅行などでガザ記念館を訪れて、「シオニズム原理主義者」が「煩悩に基づく現世利益を目的に犯した罪」について反省させられ、「敬虔な宗教信者」はどうあるべきかを改めて考えさせられることになるだろう、と私は信じます。

エルサレムのホロコースト記念館 ガザやウクライナにもできるだろう。

コメント (5)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする