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シック・アイランド〜重巡洋艦「セーラム」

2017-07-13 | 軍艦

重巡「セーラム」の見学者が行ける一番高いところである03レベル、
つまりナビゲーションブリッジを見学したので、
メインデッキから一階下にあたるセカンドデッキまで降りることにしました。

降りて来る途中にあった「トランスフォーマー」。
日本語でトランスフォーマーというとタカラトミーのあれで、
マーベルと組んで今やアメリカ人大好きシリーズのあれを思い浮かべますが、
つまりは変圧器のことです。

「トランスフォーマー」というネーミングはアメリカ人的に当初
「変圧器・・・・だと?」って感じだったのではないかと思われますが、
言葉そのものの意味、「元の形になる」というのがシャレっぽくて受け入れられたのかな、
とわたしはアメリカでトランスフォーマーの上映初日、満員の映画館で思いました。

ちゃんとドアに本艦搭載の3連装主砲が描かれております。
海自でいうと砲雷科士官室、というところでしょうか。

火災の時に必要な装備の倉庫。
海水を組み上げるためのポンプ、防火服、マスクやボンベなど。

 

現在は何も置かれておらず、ウォータークーラーと
なぜかコピー機があったりする広い部屋。

セカンドデッキは主に士官の居住区になっており、
兵員らのバンクがある部屋はこれより下の階です。

士官の中でも上級の乗組員の居室であろうと思われます。

ダイヤル式のもしもし電話が鎮座していました。
コードが螺旋ですらないという・・・・。

ここで階下に続く階段が出てきました。
が、中途半端に階を変えるとどこにいるのかわからなくなるので、
とりあえず無視して進みます。 

白いヘルメットに赤十字のマーク。
タイルの床。
これはなんとなくシック・ベイ(医療区画)の予感?

やはりそうでした。
いざという時には大量の乗員を運び込めるくらい広い部屋に、
天井には無影灯があります、

向こう側のハンガーには衛生班が身につけるグリーンの術衣が無造作に。
手前にあるのは酸素発生器(簡易)のようです。

 

・・・・どう見ても婦人科用診察台なのだが。

反対側のドアから見た同じ部屋内部。
廊下を挟んで中央にあり、どこからでも入れるようになっています。

デスクの上にあるのは遠心分離機あるいは消毒器。

シャウカステンに乗っているのは肘正面からのレントゲン写真のようです。
 

こちらは普通の診察室のようです。
地図には「サージェリー&リカバリー」室とありました。

印象としては、戦艦「マサチューセッツ」よりスペースに余裕があるということ。
廊下もそれほど狭いというわけではありません。

 

「左舷F.M.カットアウト」

などと記された配管とバルブ。

歯医者です。

予約は朝の集会の後で電話でとってください
ただし緊急時はその都度
 

緊急時ってのはつまり虫歯が痛くて死にそう〜!みたいな時のこと?

展示がなかなか凝っていて、いかにも治療中のような小道具が置かれています。
トレイの上に何か色々と乗っていますが・・・・

わざわざコットンに血を染み込ませて治療中を表現しております。

さらにその中にさりげなく入れ歯があるという素敵な演出。
そもそも入れ歯の必要な人なんて乗組員にいたんですかね。

区画には仕切りで区切られて二つの診療台がありました。
同時に二人まで診察を受けることができるということになりますが、
さすがに歯科医は一人しかいなかったんだろうな。

タイプライターがあるので、 処方箋を調剤のために作った部屋かもしれません。

細かい引き出しと瓶がたくさん並ぶ、ここは調剤室。

なぜか電気が消えた暗〜い部屋がありました。
アクリル板でベッドのコーナーには立ち入りできないようになっています。

安静が必要な患者のための病室です。

ここはなんの病室?と思ったら、普通に床屋でした。
三つの椅子が向かい合うようにセッティングされていて、軍隊の床屋では
出来上がるまで自分がどんなカットをされているかもわからないものなのか?
と思いました。

まあ黙って座れば、自動的にクルーカットにされていた時代ですしね。

遠くてよくわかりませんが、ここでカット中の床屋さんの写真があります。

軍艦の中では鏡はこのように壁から浮かせてがっつりと固定させます。
カットが済んだ人は、自分で鏡を見て初めてどんな髪になったのかわかるというわけ。

 

「セーラム」の乗組員は士官と兵員合わせて1738名。
戦艦「マサチューセッツ」と「セーラム」」の艦体の大きさの違いは長さ10m、
幅約10mしか違いませんが、排水量を比べると「セーラム」1700トンに比べて
「マサチューセッツ」35,000トンと、二倍以上違うのです。 

それだけに「マサチューセッツ」の方がかなり区画が複雑で広く、
各部署が入り組んでいるのに比べ、「セーラム」の方はほとんどの施設が
メインデッキの一つ下の「セカンドデッキ」に集まっているという印象です。


それと、残念だったことは、「セーラム」は機関室を毎日公開していないことでした。

機関室は一応、必ず係員が同行するツァーに参加すれば見学することはできますが、
そもそもこの「セーラム」自体週末三日しかオープンしておらず、この日は料金を査収する
入り口のブースにすら人がきていない(ので払わずに入ってきた)
という状態で、 誰がいつ一体機関室ツァーを行なっているかというのも謎のまま。

一体どうなっているのかとHPを見てみれば、

ボランティア活動

ボランティアの仕事がうまくいったので信号旗の「ブラボー」「ズールー」
を掲揚したりして盛り上がっているようです(T_T)

が、はっきり言ってツァーのことなど全く触れられておりません。

どうも、「セーラム」の修復は、こういう有志の協力なしには進まず、
艦内ツァーもボランティアがいるかどうかにかかってくるという状態らしく、
それも「セーラム」に思い入れのある元乗組員が中心とあっては、
進む作業もなかなか進まず、ツァーどころではないのではと思われます。

第一ボランティアというのは仕事で忙しい人はできないわけだし、
どうしてもリタイア後のご老人ということになってしまうわけで・・。

4年後には元乗員のボランティアも数が減ってくるのは必定ですが、
その時「セーラム」をここに繫留しておくための契約が切れます。


この歴史的重巡洋艦を後世に残せるかどうかの試練は、その時やってきます。

 

続く。 

 


 



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3 Comments

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諸管の識別 (お節介船屋)
2017-07-13 19:55:21
管に字でFUEL VENTと書いてあります。

海自では空気抜管は黄色2本の識別色帯が巻いてあり、流れる方向を➡で指示してあります。
これは商船に比べて非常に多くの管があり、識別色帯がないと何の管で流れる方向がどちらなのか判断する事が難しく、漏れや破損時に応急対応ができない事となります。
真水は青1本、通風管は黄色1本、油管は茶色1本、消火管は赤1本、雑用海水管は青、赤、青の3本、油圧管は茶3本等です。

ダメージコントロールはアメリカ海軍がお手本ですので、それを取り入れたと思いますが?です。

参照 海人社岡田幸和著「艦艇工学入門」

鏡の取り付けは振動、衝撃対策です。(特に自艦発砲対策)
引き出しも全てストッパーで止めてあります。(これは動揺で飛び出さない対策)
病室はもう一つ隔離室があるのではと思います。これくらい多くの乗員がいると伝染病に罹った人物は隔離室に入れ、通風管も別配管としておかねばまん延する事となります。

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隔離室 (エリス中)
2017-07-14 02:56:20
一旦モスボール化されていたのを展示用に色々と改装しているので、
隔離室は見当たりませんでしたね。

鏡・・・言われてみれば、客船や商船にはない取り付け方です。
特に「セーラム」は三連装の砲をはじめ、凄まじい火力を誇る武器を満載していたので、
自艦の発砲時の衝撃が半端ないものだったんですね。目から鱗でした。
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Fuel, Marine (Unknown)
2017-07-14 05:46:57
排気管のFMはFuel, Marineだと思います。わざわざMarineと付けるのは航空燃料と区別するためです。

木製の窓付のドアは営倉だと思います。士官寝室や艦長、司令室でも窓はありません。外から中の様子を伺う必要があるのは営倉くらいです。

Gunnery Officerは砲術長です。砲雷科となるとWeapons Department(砲雷長はWeapons Officer)になります。対潜武器も所掌になり、Gunneryだけではないからです。
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