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バーキン片手に國神社

アシアナ航空機事故でCAの「英雄譚」はどう報じられているか

2013-07-12 | 時事

単なる飛行機事故としては、あまりにその後の展開が迷走しているかに思える
今回のアシアナ航空機墜落事故。

かつて住んだこともあり何回も訪れているサンフランシスコ空港で起こった事故だけに
かなりの関心を持ってこちらでもニュースをキャッチアップしています。

日本でもリアルタイムで情報が伝わっていることとは思いますが、ここで
今までの調査で分かってきたことをおもに事故後の対応についてまとめておきます。


●ボイスレコーダーが解析された結果、副操縦士が機長に着陸の際助言を求めていた
 操縦していた副機長はB777での飛行時間は46時間で、機長は教官としては初フライト
 しかし、操縦士は適切な指示を何もしていない

●管制塔からの通信を受け、初めて着陸態勢が正常でないことに気付き、
 やりなおそうとしたがすでに高度が落ちていて岸壁に機体後部が接触。衝突

●管制塔からはレスキューを向かわせると通信があるも、コクピットからの返答はなし
 機長は乗客にその場にいるようにとアナウンスしたまま放置

●機内で火災発生
 火災をCAの一人がコクピットに伝え、避難の指示を仰いたときには、乗客は
 我先にと避難を始めていた

●CAは半数近くの7名が墜落のショックで失神。
 最新のニュースによると、さらに2人が機外に放り出され、滑走路で発見されている。
 (二人とも無事)
 大混乱の機内の中で脱出用のシューターが膨らんでしまい、さらに阿鼻叫喚

●乗客が別のシューターを展開、肋骨を折る負傷をしていた乗客が非常ドアを開ける
 CAの指示がなく、皆手荷物やトランクを持って脱出

●CAは乗客の安全確認を行わず、そのため一時行方不明者が40人に上った
 CAが外に出ているにもかかわらず機内に取り残された乗客が多数いた
 それらの乗客は空港のレスキュー隊によって救出された
 最後に機内に乗客が残されていないか確認したのはサンフランシスコ消防局の職員であった


墜落の原因が操縦ミスであることはほぼ確定しているようですが、
墜落後の乗務員の対応があまりにも不適切であると言わざるを得ません。


今回の死亡者は二名で、破孔からショックで外に投げ出されたのが死因だそうですが、
あの機体を見る限り、二名の死者ですんだのは奇跡的なことに思われます。


ところが、そのことを「韓国人でなくて幸い」とニュースキャスターが言ったことや
死者数の少なさを「CAの働き」「乗客が冷静」と讃美する事故当事国である韓国の動きが
特に中国から反発されていることを前回この事故についてのエントリでお話ししました。


こちらでは一度、一人のCAが記者会見で、自らが骨折しながらも
最後まで乗客の救助に尽力したと自分の功績を語る様子が放映されていました。

今日のCBSニュースでも、

「最初に応答した人たち(つまり自力で逃げた人達)はヒーローとして称えられている」

というタイトルで、このLee Yoon-hyeというCAが乗客を背中に背負って
脱出したことを始め、機内の指示に従わずに自分で行動した人たちが
「英雄的であった」とされていることを報じています。

しかし、このニュースを仔細に見ると、韓国国内の無条件で彼らを褒め称える論調とは違い、

Many passengers climbed out of the plane unaided.
But some were unable to escape on their own.

多数の乗客が自力で外に出たが、何人かは自力では出られなかった)

また、サンフランシスコ消防局のLt. Dave Monteverdiは、最後に
シューターをよじ登って機内に入り、機内に取り残されていた負傷者を発見しました。

"He was just moaning and moaning," he said.
"We were hoping to get a back board and clear him out.
And that's when you could see the dark smoke was coming toward us.
And we pretty much just had to grab him and go."

(かれはただひたすらうめいていた。
そのまま機内に居させてあげたかったが、その時に黒煙が迫ってきた。
それで、彼をひっつかむようにして行かせるしかなかった)


ちょっと待ってください。

この人は、自力で動けずに機内でうめいていたと。
その時にはアシアナ航空のクルーは全員脱出してしまっていたってことですね。

乗客を背負って果敢にも任務を果たし、英雄的ともてはやされているLeeさん以外の
他のCAはいったい何をしていたんですか?
客室内の人員を一人残らず脱出させずに、サンフランシスコ消防がくるまで
その人を放置していたということですか?

日本でも、このCAが得意げに自分の大活躍を語る映像は放映されたでしょうか。
一度書いたようにこの「英雄的」という言葉を額面通りに受け取って、
涙を流してまで感動しているのは、どうやら韓国とそして日本のマスコミだけみたいですよ。

事故直後の写真では、無傷のCAが何人も立ったまま、倒れているCAのそばにいたり、
救急車のヘリに二人で座り込んだりしていて、とても乗客の安全に
任務を果たしている様子には見えません。
しかも、そのとき、まだ機内には負傷者が取り残されていたというのにです。

少なくともわたしの見たCBSニュースでは、Ms. Leeの会見と共に、
abandon(見捨てられた)された乗客について同時に報じており、明言はしないものの
暗に「まともに仕事をしたのは一人じゃないか」と言っているように見えます。

まあ、わたしがそう思っただけなのでもしそうでなかったらすみません。


アシアナ航空の社長が早々に「全責任は機長にある」という発言をしたことは
かなりショッキングでしたが、その機長はじめコクピットの発言も要領を得ず、
しかも事故調は「パイロットたちは英語があまりできなくて聞き取りに苦労している」


うーん。

英語下手でもパイロットになれちゃうんですね。
機長は空軍上がりだと聞きましたが、そのような場合は英語力は甘く見てもらえるのかな。

事故調NTSBはいまのところ結論を出していないものの、ヒューマンエラーであるとの
見方を強めていると言いますが、これに対し、韓国側は激しく反発しています。

「管制塔からの7秒前の警告が遅かった」
「空港が工事中で熟練のパイロットでも着陸は困難である」
「シューターが中で展開した。ボーイングのせいだ」
「速度が落ちているのは知っていたがオートスロットルが作動すると思っていた。
またオートスロットルが切られていても速度が低下したのはおかしい。
つまりボーイングが悪い」

補償金の問題もあるのでしょうが、強弁ともいえる弁明を繰り返し、
今日にいたっては



「謎の閃光があり目が見えなくなった」(byパイロット)


これは無理がありすぎる。
言わない方がよかったかも・・・・・・・。

というか、どいつもこいつも、亡くなった二人の犠牲者を悼む言葉が一言もないのは
どういうわけだ。
特に「英雄」気取りのアシアナCA。
犠牲者に一言も触れず、うす笑いさえときどき浮かべ、自画自賛のコメントをする様子は、
遺族から見ればさぞ苦々しいものに見えたに違いありません。


因みに、たった今、NTSB の委員長 Deborah Hersmanが、
「我々は科学的調査によって(明らかにはできないが)たくさんの情報を得た」
と、自信に満ちた口調で記者会見しています。

こういう経過を見ているせいか、この委員長がいい加減支離滅裂な韓国側の
言い訳に内心キレつつ、

「どんな言い訳をしてもこちらには科学的な言い逃れのできない証拠があるんだからね!」

とあらかじめ釘を刺しているように見えました。

たまたまこんな事案のときにアメリカでその空気を感じることができるのも
何かのご縁。
もしこれから斜め上展開が起こるようでしたら、また続報をお届けするかもしれません。

(わくわく




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2 Comments

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Unknown (初詣は靖国神社)
2013-07-12 13:52:23
転載させて下さい。

宜しくお願いします。

美談として伝えやがった日本のメディアに怒り心頭です。
美談 (エリス中尉)
2013-07-12 20:53:15
やはり日本ではそうなっていましたか(笑)

産経新聞が「脱出時に大混乱」ということを報じたら、
韓国のインターネット世論は不快感を示していたそうです。
「報じない権利」を隣の国に求めるとは、というかどれだけ日本が気になるんだよ、って感じですね。

かの国では事故直後に「勇気ある乗客と乗員」の美談に酔いしれているという話も伝わっていましたので、
日本のメディアがそれに同調しないわけはないと思っていましたが案の定でしたね。

わたしが感じたのは、こちらでも勿論助かった人たちをバッシングするようなことは
控える傾向にあるということです。
昨日のニュースでも
「救急車がこなくて長時間放置された」
という乗客の声を紹介し、キャスターが
「信じられませんね!」と怒って見せる、と言った風に
どちらかというと「公」を叩く傾向にありますが、
さすがにアシアナ航空の対応や、韓国側が言い訳を始め公的に
「しゃべりすぎる」と事故調が不快感を示した話は普通に報道されています。
とりあえず日本のメディアよりはマスコミとしてまともに機能しているような気もします。

この記事はここにいて個人が感じたことにすぎませんが、
日本にそのように伝えるメディアが無いのなら転載していただく意味はあるかもしれません。
どうぞ自由にお使いください。

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