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「JAPANデビュー」訴訟に見るNHKの問題点

2012-06-03 | 日本のこと

メディアは、ことにこの日本のメディアは、自分たちに都合の悪いことは当然のように報道しません。

従って、NHK番組「JAPANデビュー」の製作者が、なんと日本と台湾の1万人を超す人々に
訴訟を起こされていることなど報じるはずがありません。

というわけで、この件がどうなったか、それはインターネットで経過を追うしかないわけです。
どちらにしても最近はテレビ新聞の報道よりネットの複数情報を精査する人が増えているようですが。

このブログを見ておられる皆さんは、少なくとも「テレビと新聞だけが情報源」という
方たちではないので、おそらくこの訴訟問題についてご存じの方は多いでしょう。
しかし、この問題における、主にNHK内部にはびこっているらしい問題点について語る前に、
ざっと経緯をまとめておきます。

NHKスペシャル シリーズ「JAPAN」デビュー」 第1回「アジアの“一等国”」(台湾統治)

    造語問題

この番組においてNHKは、当時無かった言葉、あるいは使われていたとしても
別の意図であった言葉を、恣意に採用して、その印象において「台湾における日本の非道」を
告発するような番組作りをした

  • 「人間動物園」  
    日本が台湾の部族を動物園のようにヨーロッパの万博で見世物にし、
    その段階でこの言葉を採用したと主張
    なお、このとき、日本の農耕のデモや、相撲を見せるような「展示」も行われている

  • 「日台戦争」
    台湾領有直後から起こった抵抗運動をこのように表現
    ほとんどがマラリアによる日本側の死者数(5千人のうち4800人)を
    この「戦争」による被害だったと捏造
    当初、製作者は「研究者の間では、この表現が使われる」とだけ釈明したが、
    具体的にはどこからの引用であるかはその後全く説明がなされていない

    人権侵害問題

  • 公園に集まる老人たちのシーンを、前後をカットして対象を判らなくしたうえで、
    戦後国民党政府に対する不満を、日本統治の不満を述べているように編集

  • 写真の祖父を見て「懐かしいね」と言った台湾部族の女性の発言を
    前後をカットして流れを分からなくしたうえで
    「祖父が人間動物園の出しものとして扱われた」ことに対して
    「哀しいね」(同じ言葉で言い表される)と言ったようにあえて誤訳をした

    偏向問題

  • 台湾は漢民族(中国大陸から来た民族)の地である、と断定した

  • 228事件(戦後、大陸出身の国民党政府と台湾人との間に起こった抗争)は、
    台湾人が日本かぶれしていたために起こった、つまり「日本のせい」だと断じた

  • 中国語が台湾に入ってきたのは戦後のことにもかかわらず、
    番組では日本統治時代に台湾人が中国語を使うことを禁止されたと解説

 

           
ざっと大きな問題点は上のようなものですが、この件についていろいろ当たったところ、
問題点を指摘するサイトは勿論、逆にNHKを擁護し「何の問題もない」とするサイトが
続々と出てきました。

勿論全てに目を通したわけではないのですが、後者、つまり
「NHKには問題はない。このようなことを問題視するのは右翼である」
とする思想の方の主張には、おしなべて一つの特徴があることに気が付きました。

それは、大前提として
NHKの放送は正しい取材の上行われており、何の編集も作為的なカットもない
と心から信じておられるらしい、ということです。
(他の件で調べたときも思いましたが、左派の方というのは、どうして
NHKのような権威のすることなら無条件でその内容を信じてしまうのでしょうか。
なかには、全く事実無根の歴史捏造韓流ドラマを、まるで史実のように鑑賞し、
真面目に内容にコメントしている人もいて、思わず呆れて熱心に読んでしまいました)


それら「NHK擁護の意見」が出された日付はいずれも放送直後のものが多い、
ということも興味深い事実でした。

その後、日を置くにつれ、色々な新事実――

たとえば老人たちの公園でのシーンのノーカット版(音声編集されていないバージョン)
がネットに出てきたり、
ディレクターがこっそり台湾の取材対象者にNHKに対する抗議の撤回を裏取引していた
と言う事実が明るみに出たり・・・、
(自分の子供が一連の騒動が理由で脅迫されるので、警察に保護願いを出した、
と老人たちに涙ながらに訴え、撤回する旨かかれた誓約書にサインを迫ったらしい)

そういった新事実が出てきて、さらには1万人に及ぶ大人数が、
この番組の「日台友好を阻む悪影響」を懸念し、NHKの偏向に強く不満を抱いた結果、
ついに訴訟問題が動き出すに及んで、「NHK無謬説」はなりをひそめているようです。




先日、公判の様子が、勿論一部のネット情報に出回りました。

この番組はその宣伝の段階から

2万6千冊におよぶ『台湾総督府文書』などを手がかりに
近代日本とアジアの関わりの原点を探っていく

などと豪語していたわけですが、今回抗議が集中したことに対し、NHKの広報は

「この2万6千冊の資料を丹念に読み解いた」

つまり、これだけ資料を精査したのだから、文句は言わせん、とさらにこれを強調しました。
しかし、この数字。
にまんろくせん。
この数をしかも「丹念に読み解く」?

胡散臭っ。

なんというか・・・NHKらしさの真骨頂ですね。
「真珠湾からの帰還」で、どうやらこいつらNHKは、
酒巻和男氏の「捕虜第一号」一冊すら碌に真面目に読み解いていないのではないか、
とわたしはその資料を無視した(というより酒巻氏を愚弄した)
捏造偏向ぶりに呆れかえったわけですが、さすがにこれは「盛り過ぎ」ですがな。

丹念に読み解いた、というからには、一日何冊も読み飛ばしたわけではないでしょう。
仮に一人で一日一冊「丹念に読み解いた」としたら、71年。
例えば10人のスタッフが総出で、一日二冊「読み解いた」としても、三年半。


これは、多分NHKいつもの「言ったもん勝ち」作戦、即ち

「丹念に読み解いた」といえば「ああそうなのか」
「国民の大半はこのように思っている」と言いきれば「ああそうなのか」
「非常に番組は好評だった」と言えば「ああそうなのか」

このように、あっさりと騙されてくれる善良な国民に(さすがに愚民とは言えないわ)、
「NHKがこう言えば、それは事実になる」
と言う、これまで存分にやらかしてきたのと同じ手口によるものです。

裁判で、原告側弁護士は
「だれがこのような膨大な資料を、どのように読み解いたのか」
と、NHKの島田ディレクターに質問しました。
それに対する、島田氏の返答は、聞くものを唖然とさせました。

「台湾総督府文書の一つ一つを見たわけではないが、
それを全体的に把握している人々への取材を行ったという意味だ」


・・・見たわけではない。見てない。そういうことですね?そういってるんですね?

昔、慶応卒物産勤務の、人生ナメてるチャラ男と会話したとき、

「僕は、あるときから本を読むのをやめたんだ。
なぜなら、その時間にできるだけたくさんの人間と出会いたいから。
その一人一人が何冊もの本を読んでいるんだと考えれば、こちらの方が合理的だろ?」

と得意げにのたまったのを思い出してしまいましたわ。
それとこれとは別だから、まあそう言わずに本も読めば?というのも面倒で黙っていましたが、
要はこの男は、ちょっと気のきいたことをいう自分をアピールしていただけだったの。
そういえばこのチャラ男は、NHKの超大物の息子だったっけ。
チャラ男ならまだ「どうせ大したことは言っていない」ですみますが、NHKのこれはつまり
詭弁という奴なんでは?


つまり「丹念に読み解いた」どころか、「ろくに読んでもいない」ってことです。
(その後、NHKの内部告発が出て、「読み解いた」が全く嘘であることが明らかになります)

この放送局の製作番組(歴史、特に戦争関係)に多々見られる、

「主張したいことの結論ありきで番組を組み立て、
取材は、あくまでもその補強として恣意的に取捨選択して使用される」

という、悪しき傾向が、この一事に全て集約されていると言っていいでしょう。

この公判で島田ディレクターが原告側弁護士の追及にろくな返事もできず、
あるいはスタッフに「任せた」と責任転嫁を繰り返した様子は、
傍聴した関係者のブログなどに上がっていますので、興味がおありの方は検索してみてください。

まあ、要するにこれもNHKのいつもの体質、
「作ってしまえば勝ち」
この傲慢さがよくよくあらわれている事例だったと思われますが、今回の製作者は
タカをくくり過ぎて、まさか訴えられるとは思っていなかったようですね。


この「台湾問題」には、さらにもう少し根の深い問題点があると考えます。
それは、NHKの偏向ぶりが「どこを向いて何の目的で行われているか」ということ。

先の尖閣募金問題、遡れば中国船衝突事件から船長釈放の問題、
さらにはそれに対して行われた「尖閣デモ」、最近ではスパイ問題においても、
全てに対してNHKの報道姿勢は「中国寄り」であることはもう歴然としています。

この番組の「偏向」、すなわち「日本」と「台湾」の関係を悪かったということにし、
あるいは台湾に日本に対する悪感情を植え付けることによって一体誰が一番得をするのか。

NHKと同じ所有地にその住所を持つCCTV(中国中央テレビ)を通じて、NHK製作者たちが
中国から何か意を受けて製作したのではないかと勘ぐられたとしても、仕方ないとさえ思います。


「人間動物園」で見世物にされたとするパイワン族の陳清福氏は、裁判でこう語りました。

「嘘の話はいけないことだ。私たち日本教育を受けている者は正直一本。
嘘はできない!」


「パイワン族の民衆の大部分は憤慨している。嘘の話をした人は許せない。
(私は)刀で持って殺すと話した」

このとき裁判官は顔色を変えたと言います。
しかし、かつて勇猛な首狩り族であったパイワン族の陳氏の、
これは民族の誇りをかけた悲噴のひとことであったと考えられます。
この「殺す」の一言が、誰に向けられてのものだったのか。
それほど彼らを激怒させたものは何なのか。
NHKの職員は全員胸に手を当てて考えていただきたい。


その陳氏は、裁判が終了したとき、裁判長に、原告側弁護団に、傍聴席に、そして
なんとNHKの弁護団に向かっても「御苦労さまでした」と頭を下げたのだそうです。

「日本の教育を受けている者は正直」

こう言いきる「元皇民」陳氏の誰よりも日本人らしい姿に、まるで打たれたように、
満員の傍聴人たちも、NHKの弁護団も、一斉に陳氏に答えたということです。



陳氏の怒り、そしてこの姿。
そしてこの来日のとき靖国神社に昇殿参拝し、
「叔父さんが日本の人々によってこんなに大事に祀られていることに感動して」
思わず嗚咽を漏らした台湾の人々の姿こそ、
日本国の公共放送として、国民に伝えなくてはいけない真実だと考えます。

そこでNHKの関係者の方、提案があります。
この一連の裁判を、ドキュメンタリー番組で報じてはいただけないでしょうか。
台湾の方たちのこのような姿を感動的なBGMと共にドラマ仕立てにすれば、きっと視聴者の「評判」もいいと思いますよ。



自社の訴えられている裁判ですから、取材対象はその辺にごろごろしているし、
内部告発を兼ねてこの体質をバッサリやれば、その自浄努力は高く評価されるでしょう。
何といっても、現在進行形の裁判ですから、膨大な古資料を読み込む必要もありませんし。











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