504 潜水艦けんりゅう (2.950t)
受閲艦隊部隊は全部で第七群まで、観艦式当日海外参加国
(オーストラリア、シンガポール、アメリカ)
からの祝賀部隊の三隻を加えると総勢29隻の巡航です。
その第4群、潜水艦隊が現れたとき、観客はどよめきました。
その様子を感慨深く眺めながら、その黒鉄の潜水艦が波を切って進むのを
おそらくその場の誰よりも深い思い入れと感動をもって目に焼き付けたエリス中尉です。
冒頭写真は「けんりゅう」の司令塔をアップしています。
写真に撮って初めて気づいたのですが、自衛隊旗ともう一つ、代将旗が掲げられています。
これは、潜水隊群司令たる一等海佐に対して掲揚されます。
ところで、今ふと思ったのだけど、潜水艦への乗り込みって、どうやって行うのだろう。
594 潜水艦いそしお (2.750t)
三隻の潜水艦はこのように進んできます。
587 潜水艦わかしお (2,459t)
司令塔を大アップしました。
一番向こうが艦長なのは分かりますが、手前二人は水兵さんですね。
一つの穴から皆が顔を出している様子に萌え~。
しんがりを務めるわかしおの後ろ姿。
向こうに見えているのは「やまゆき」です。
観閲が終わったら、その後は訓練展示となります。
この様子は、別の日にまとめてお送りする予定ですが、
潜水艦群についてだけは、訓練展示の様子を今日アップします。
潜水艦の訓練展示は、ドルフィン運動、つまり専攻と浮上を急激に繰り返すものです。
しかしながら、このダイナミックな動きが可能なのは、「はるしお」型SSまで。
「はるしお」級は基準が2,450トン。
この潜水艦隊を率いる「けんりゅう」(2,950トン)では「重すぎて駄目」ということのようです。
この「はるしお」型潜水艦で現在現役なのは、この「わかしお」のみ。
同型艦の「あさしお」「ふゆしお」は練習潜水艦に変更されているからです。
つまり、この「わかしお」だけが、観艦式でドルフィン運動のできる国内唯一潜水艦。
艦隊二番艦の「いそしお」は、2.750トンなので、少し「重量オーバー」。
おそらく、「いそしお」は浮上だけを見せてくれるのでしょう。
訓練展示で「実働部隊」を率いる「けんりゅう」。
当然のことながら、「けんりゅう」は引率役なので潜りません。
司令塔部分拡大。
四人の乗員が立ち、一人は潜望鏡で後方の部隊を見ていますね。
司令塔の「フィン」の上には、窓のようなものが見えますが、これもハッチなのでしょうか。
そして・・・
「いそしお」、浮上セリ。
ある意味「目のない」潜水艦で、ちゃんと旗艦の正面に来たときに浮上するためには、
「けんりゅう」からの「キュー」がないと無理です。
「けんりゅう」司令塔の上の乗員は、その指示のために外に出ているというわけでしょう。
ここで、この潜水艦群のフォルムが一目瞭然のこの表を見ていただきたいのですが、
「はるしお型」の「わかしお」だけが、非常にスマートなノーズをしていますね。
重量もさることながら、「ドルフィン運動」にはこの水の抵抗のなさそうな艦体でないと駄目なのかもしれません。
というわけで、「わかしお」の動きをドキドキしながら見ていたわけですが、
「わかしお」浮上セリ。
・・・・・・あれ?
「ドルフィン運動」は?
この日、「わかしお」は、わたしの見ている限りでは「ドルフィン運動」はしませんでした。
よく、45度くらいの角度で海面に飛び出すように浮上している写真があるでしょ?
あんな感じじゃなかったのです。
うーん・・・・・。
考えられる理由は四つ。
1,旗艦のちょうど前で行ったあとだった。つまり「ひゅうが」の前では普通の浮上になった。
2,気象条件その他もろもろの事情により、本日の展示は「急浮上」ということになった。
3,「ドルフィン運動」ができる乗員が今日は乗っていなかった。
4,「ドルフィン運動」は大変なので観艦式本番当日しかやらない。
願わくば1であることを祈っておりますが、どなたか「ドルフィン運動見た」って言う方おられませんか?
勿論、普通の浮上であっても日頃このようなものを見慣れない一般人にとって、
潜水艦の動きはもの凄いインパクトであることに変わりません。
それにしても「わかしお」一隻しかこれをできる艦がいない、というのは、実に心配です。
日本の伝統芸能ではないけれど、早急に「はるしお」型の潜水艦を建造して、
この技を伝えるようにしていただきたい。
と一人で勝手に気を揉んでしまったエリス中尉でした。
ところで、この日10月8日、我々がこうやって黒鉄のフネの為す行列に喝采を送っていた同時刻、
海上自衛隊SS-505 「そうりゅう」で事故が起こっています。
当時「そうりゅう」は和歌山県沖を航行していたのですが、潜航していた艦内で20歳の三等海曹の
所在が分からないため、浮上して点検したところ、艦橋の操舵室、潜行時は海没する区域で
水死しているのが見つかったというものです。
遺書が見つかった、自殺である、原因はいじめだ、なぜ点呼しなかった、
あいかわらずネット上ではいろんな憶測とデマが飛びかっているようですが、
なぜ点呼をしないかというと、潜水艦では各員持ち場について、
各自点検結果を報告するため、それが点呼代わりになっているもののようです。
たまたまこの三曹は非番乗り組みだったため、気づかれなかったのでしょう。
こんな話の時になんですが、エリス中尉、「ひゅうが」の艦内を探検しているとき、
廊下の各所に配置されている水兵服の若い乗員の一人が「立ったまま寝ている」のを発見しました。
激務で朝の早い自衛官、特に「いくら寝ても寝足りない」若い人であれば、
非番の時に誰もいないところで居眠りしてしまっても、仕方がないことのように思います。
推測に過ぎませんが、この事件の三曹は、非番時に艦橋でうっかり眠り込んでしまい、
潜行に向けた艦内の動きに気づかないまま、取り残されたのではなかったでしょうか。
二十歳で三曹、というのは非常に早い昇進であったように思います。
いずれにせよ、新鋭艦乗り組みを配置された、優秀な自衛官であったのでしょう。
心からご冥福をお祈りします。
「ひゅうが」甲板の様子。
これはまだ観閲が始まっていない状態で、海面には
「あすか」「ちはや」「やまぎり」が並んで航行しています。
次回は、受閲艦艇部隊の第五群、さくらさんの乗っていた(ですよね)「ぶんご」からお送りします。
まだまだ続きますので、どうかおつきあい下さい。
私の乗っていた「ぶんご」からは他の乗客の頭でいまいち見ることが出来ず…
悔しい思いをしましたので、この記事を心待ちにしていました。
カメラが猛烈に欲しいです。
そう言えば周りの乗客の方が「ドルフィン運動っていつやった?」と話していたのを覚えています。
私は潜水艦すらいまいち見られなかったので何も申せませんが(涙
考えてみたことも無かったけど、実際に役に立つ場面ってあるんですかね。
ただ、これをするだけの操艦技術がある、ということの証明になっているだけという気がしますが。
飛行機のスタントも、(宙返り)実践ではどのように具体的に役立つか、というよりいかに機を操ることが出来るか、といった技術の研鑽の課程として出来て当然であるといった感じじゃないのかな。
つまり、艦のポテンシャルを最大限に引き出せるということの証明としての「ドルフィン運動」なのだと思います。
さくらさん・・・よしよし(慰め)
見られなかったんですね・・・。
「ひゅうが」は大きいので、取りあえず海面が見えうる位置に全員が場所を取れたと言うことらしいですね。
張られたロープの外に出る人は「しゃがめ」といわれていましたし、人の後ろから見なくてはいけないようなことにはまずなりませんでした。
ということは「ひゅうが」に乗れたわたくしはもしかしたらかなりラッキーな観覧が出来たと言うことかもしれません。
あ、カメラお買いになるなら、サイバーショットのDSC-RX100おすすめです。(ステマ)
ただ、これをするだけの操艦技術がある、ということの証明になっているだけという気がしますが。
仰るとおりです!
視覚的に、単に見栄えが良いと言うだけの理由でしかありません。
ただ、これが「できる」か「やらない=できない」との違いが、色々な意味で相手(誰でしょう?)に対する威嚇になるでしょう。