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平成29年度遠洋練習艦隊〜壮行会

2017-05-17 | 自衛隊

 

練習艦隊関連行事、日曜日の艦上レセプションに続き、
水交会で行われた壮行会に行ってまいりました。

今年の航路は恒例のパールハーバーを皮切りに北米、南米からアンカレッジ、
なんとウラジオストックに寄港し最後に韓国というもの。

パールハーバーの後、西海岸のアメリカ最大の海軍基地である
サンディエゴへの寄港という基本形の後は毎年違うコースです。

いつもわたしがアメリカにいる時期に北米に寄港していることが多いので、
一度くらい現地で艦隊を見てみたいものだと思うのですが、
東にいる時には西、西にいる時には東にいるという調子で、
やっぱり今年もそんな楽しい偶然は起こりそうにありません。

遠洋航海は半年とさっくり言ってしまいますが、じつは163日、
半年というより5ヶ月半です。

ともかく、この期間息つく間もなく行事と訓練の毎日で、実習幹部は
心身ともに海自幹部として基礎を鍛え上げられるというわけです。

いつもと違うのは、艦隊といっても旗艦と随伴艦「はるさめ」の二艦構成であること。
いつももう一隻紹介するスペースには、SHー6Kの写真で穴埋めしています。

出席者と自衛隊幹部の紹介の後、水交会の会長がご挨拶。
ちなみにこちら側にいるのは参議院議員の宇都隆史氏です。

いつも思うのですが、水交会の宴会会場は実習幹部たちの壮行会には少し狭い。

 

杯の発声の後、歓談が始まりました。
水交会理事の元海幕長にご挨拶したところ、

「ぜひ実習幹部を激励してやってください」

と本会の開催意義に基づき、直球でアドバイスいただきました。

あちらこちらに背広姿の紳士と周りを取り囲む実習幹部たちのグループが。
本日来場の中には元海幕長、元海将がいて、
孫のような年齢の後輩たちに海自の先輩としてお話を聞かせています。

ここだけの話ですが、ざっくばらんな席で、ある幹部が

「水交会って苦手なんですよね(本当は違う言い方ですが忖度しました)」

というのを聞いたことがあります。
その心は、昔海軍、今自衛隊OBが母体の水交会は、現役の幹部にとって
何かと「うるさい」からなんだろうと勝手に推察しました。

自分たちの属した組織で、それを愛すればこそ、老婆心というか苦言を呈することも
OBの立場からはあって然るべきですが、何かと現役には煙たいと映るようです。

そんな幹部もいずれ退官したら「うるさい水交会員」になるんでしょうけれども。

元空自の幹部であった宇都隆史議員も、実習幹部をたくさん周りに集めていました。
こういう場では、議員というより「元自の兄貴」みたいになるようで、
政治家として大変その辺のバランス感覚のある人だといつもお会いして思います。

ヒゲの隊長、元陸自隊員の佐藤正久議員も出席しており、この日は
自衛隊出身の両議員が共に顔を揃えた、近年珍しい壮行会となりました。


ところでわたしとしては、そろそろ元海自の議員に出てきて欲しいところです。

この日は、時間を確かめずに家を出たので、着いたらもう会が始まっていて、
カメラの設定を何も変えずに撮ったため、全編ボケ気味なのをお詫びします。

決してそのつもりはありませんが、実習幹部も本人特定しにくくなっております。

 

例年のことですが、乾杯の後、テーブルの周りに群がる幹部たち。
若い彼らの食欲は凄まじく、毎年何分でテーブルがからになるのか、
その食べっぷりを見るのも楽しみの一つとなっています。

水交会のお料理はキッチン直結のなので、結構いけます。

ここで夕食を済ませることになっている実習幹部たちはマジ食べモードですが、
基本パーティは食べるところではない、とわきまえている大人たちは、
テーブルの周りを若い人たちに譲ってグラスを手に社交がメイン。

毎年思いますが、実習幹部たちと一口で言っても、積極的に先輩諸氏と交わり、
社交を求める者と、全く自分からはそういうことをせず、一生懸命食べて、
会話は自分の周りの幹部同士だけで済ませるという者にはっきり分かれます。

そもそもわたし自身がどちらかというと人見知りするたちで、
個々の資質や性格もあるので、どちらがどうとは言いませんが、
今までみてきた海上自衛隊に限らず、内外から評価されている自衛官は、
例外なく、人とのコミニュケーション力が卓越していると感じるのも事実。

つまり、こういうパーティで外部の人と一言も喋らずに終わる者より、
特に言葉を大事な媒介として任務が進むことの多い海上自衛隊では、
積極的に交流を求めるような幹部の方が大成するのかもしれないってことです。

あくまで感想ですが。


次々と人に囲まれておられた練習艦隊司令官、眞鍋海将補。

後ろに控えてじっと海将補を見つめているのはきっと練習艦隊副官でしょう。

すし桶はもうカラです。
前にここで行われた宴会が海軍兵学校の同窓会だったわけですが、
その時との食べ物の減り方の違いに今更目をみはる思いです。

というか、どんな宴会でもこんなに跡形もなく食べ尽くされたテーブルを
わたしは練習艦隊壮行会以外でみたことがありません。

艦上レセプションでは、たくさん豪華な料理が手をつけられず残っていましたが、
あの後、彼ら実習幹部を投入したなら、さぞ綺麗に片付いたことでしょう。
(実際にそうしたのかな?)

というわけで、あっという間に締めの時間になりました。
練習艦隊の実習幹部代表が挨拶をしたので、彼がクラスヘッドなのかなと思ったら、
すぐ近くに卒業式で賞状を受け取っていた見覚えのあるクラスヘッドがいました。

あの卒業式で海幕長が

「わたしがここ江田島を卒業したのは今から35年前であった」

と挨拶をした時、この若々しい集団の中から、35年後、同じように挨拶する
一人が出現する遠い未来を暫時夢想したことをを思い出します。

このクラスヘッドも、もしかしたら『その可能性のある一人』なのでしょう。

ご本人が恥ずかしがるかもしれないので、極力小さな写真で。
この日お話しさせていただいた唯一の女子実習幹部です。

一般大での専攻が理工系だったことから、航空整備志望であるという可愛いお嬢さんで、
話を伺ったところ、彼女の父上は現役の陸上自衛官なのだそうです。

「なんで陸自じゃないの?って言われませんでした?」

「はあ、父には海自に決まってから言ったんですけど『海自なの?』って」

航空整備なら空自や陸自でもできるのですが、彼女はあえて海自を選んだわけです。
挨拶が始まってしまったので理由は聞かないままでしたが、

「出航をお見送りさせていただきますね。頑張ってね」

と言って別れました。


海自OBの方々は、実習幹部と話してもご自分の体験を絡めて
アドバイスや彼らにとって有益な提言などができるのでしょうが、
我々などは、ご本人の志望を伺ったり、知っている自衛官の話などして、
せいぜい頑張ってね、と激励するくらいしかできません。

「万歳おじさん」(ご自分でそう言った)水交会理事長のご挨拶。

「にっ・ぽん・こく練習艦隊、という名称がわたしは大好きです」

「バンザイ・バンザイ・バンザイ!」

退場は練習艦隊司令官が先頭に立ち、その後を実習幹部が順次付いて行きます。
まずは実習幹部の間を通り抜ける海将補。

行進曲「軍艦」に合わせて皆が拍手で調子を取ります。

会場で話をした人の前にくると、少し立ち止まって挨拶をしていく幹部も。

金色の体力徽章はさすがに見ませんでしたが、銀色保持の幹部も何人か見かけました。
そのうち一人に尋ねてみると、やはり水泳部出身で「水泳で取った」ということです。

彼は「体力徽章が取れるようになって初めての徽章なので、まだ1年目です」
と言っていた気がします。
1年ごとにテストが行われ、記録が届かなければバッジを返還しないといけません。

やっぱりこれをつけていられるのは若い時だけみたいで、
防衛記念章の台が大きくなっても体力徽章をつけている自衛官は見たことがありません。

「体力が取り柄」の若い自衛官の左胸からバッジが失われ、それはいつしか
10年目の赤いきつね、そして25年目の緑のたぬきへと変わっていくわけです。

190人の実習幹部がいるので、一回の「軍艦」では済まず、
2回目リピートし中間部に来て初めて全員が退出しました。


彼らはこの後マイクロバスに乗り込み、横須賀まで帰還するそうです。
いつも水交会の壮行会は半袖の白い制服で訪れる幹部たちですが、
ほんの2日前の艦上レセプションでは皆黒い冬服でした。

聞けば、あのレセプションの次の日から衣替えだったそうです。

 

この日現地でまたもお会いした鉄火お嬢さんからいただいた、オリジナルラベル
(彼女の撮った花火の写真)のお酒。

福井酒造という愛知県東三河の蔵元が製造したそうです。
ここは「四海王」という、海自関係の方が聞いたら喜びそうなお酒が主力製品で、
「四海」は四方の海を意味しているのだとか。

飲めないわたしにとってのお酒の最大の有効活用というのは料理に使うことなんですが、

「じゃー、せっかくなので料理に使わせていただきます」

「ちょ・・・それはもったいなさすぎます」

「そういうものですか。じゃお風呂に入れるなんてのは問題外?」

「・・ハハッ・・・」(目が笑ってない)

 

それでは、いざ!という時まで大事に飾っておくことにします。

 

続く。