ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

台湾的現在~「わたしの名はミミ」

2015-08-09 | お出かけ

台湾旅行記、続きです。
この写真は、九份からの帰り、タクシーの中から撮ったのですが、
台湾では信号待ちをしていると、徒歩、あるいはバイクの人が窓越しに
チラシを配りに来るのです。

ここアメリカでは信号待ちのときに来るのは物乞いと相場が決まっていますし、
確かイタリアでは信号待ちの車に「窓を拭かせろ」とブラシを持って迫ってくる
ビジネスがあったと記憶しますが、台湾ではチラシ配り。

日本のティッシュ配りというのは世界的に見て画期的名宣伝活動だそうですが、
台湾のこの方法も受け取ってもらえる確立はともかくとして、
アイデアとしてはなかなかです。



ところで、本日のタイトルを読んで

「お、エリス中尉は台湾でオペラでも観てきたのかな」

と思われた方、違います。




わたしたちは三つ目のホテルに移りました。
改装して五つ星となった(らしい)日航ホテルです。
ドアマンはもちろん、フロントからお掃除のおばちゃんに至るまで日本語がしゃべれました。
面白かったのがこのお掃除のおばちゃんで、最終日にドアをノックして、

「これ。書いてくださーい:)ありがとございましたー」

と、ホテルアンケート用紙を差し出し、

「わたしの名前ミミいいます~!ミミですから~!
ありがとう!せんきゅーべりまっち~!ミミです~!」


と連呼していきました。
なるほど、見ると「心に残ったサービスをした従業員の名前」とあります。

「確かに心に残ったから(笑)名前を書いといてあげよう」

とわたしたちはその欄に彼女の名前を書いておきました。
名前が書かれるごとにお給料が上がるとか、金一封が出るとか、
彼女にとってきっといいことがあるのに違いありません。



蛇足ですが、ご存知ない方のために元ネタを。



・・・・さて。



日航ホテル台湾の基調色はどうやら白らしく、インテリアや従業員の制服が白。
そのせいで全体的にゴージャスながら清潔で明るい雰囲気。



リネン類が上質でとても安眠できました。



ロビーの隅に飾られている巨大なアレンジメントもフェイクなどではなく生花です。



さすがは日系のホテルだけあって、日本酒をずらりと並べたレストランがありました。
台湾人は日本酒も好きだそうですが、そういえば李登輝氏は
日本酒が大変お好きだと今回伺いましたっけ。

こんな色々な日本酒が飲めるホテルはおそらく台湾随一ではないでしょうか。



獺祭というのは有名なのでわたしでも知ってます。



台湾滞在の最終日、ちょうど台風が直撃しました。
その日は台南に行って「軍艦神社」を見てこようと思っていたのに・・。
新幹線どころか外に出るのもはばかられる暴風雨が吹き荒れたので、
わたしたちは仕方なくその日1日ホテルで過ごすことにしました。



退屈なのでホテルを探検しました。
屋上にジムとプールがありましたが、もちろん誰も泳いでません。

「なんか、5つ星にするために無理やり作ったプールって感じだね」




ホテルで傘を借りて隣のビルに行くくらいはできるので、
一流ブランドのテナントが入っていることで有名なホテルの地下を
ウィンドウショッピングしていると、おしゃれなお茶の店を発見。



入ってみると、台湾茶を洒落たパッケージに入れて売っています。



お茶だけでなく台湾名物のゼリーもこんなパッケージに入れて。
TOはここでまとめてお土産を買うことにしました。



「大物」へのお土産は竹に入れられたお茶。
いかにもありがたそうなサテンの布で包まれています。

大量に買い込んでそのすべてをギフト用に包み、リボンをかけるのを
お店の若い女の子二人は一生懸命やってくれています。

ちょうど昼時で、実はわたしたちがいるときに若い男性が店に入ってきたのですが、
彼はどちらかの彼氏らしく、休憩時間に彼女を誘いに来たようでした。
しかしわたしたちのせいで時間通りに終わらないので、かれは梱包した商品を袋に入れ、
さらに雨に濡れないようにビニールをかける彼女の仕事を手伝ってあげていました(笑)

丁寧で誠実な応対といい、気の利いた接客といい、この店には日本でおなじみの
ホスピタリティを感じましたが、最後に英語で

「あなたの友達を待たせたみたいで悪かったわね」

といったとき、彼女が大丈夫です、とにっこり笑う様子もまるで日本人のようでした。
まあ、日本人ならボーイフレンドがお店の仕事を手伝うことはないかもしれませんが。



その日の夜は外に出られないのでホテルのレストランでいただくことにしました。



高級料理、フカヒレが入ったスープ。
わたしたちは頂上鱶鰭という台湾の「最高のフカヒレ」を食べたことがあるため、
ここのフカヒレも「ん~~~イマイチ」と言い放つほど、
フカヒレに関してだけは口が肥えているのですが、
もしかしたら頂上フカヒレが特別で、ここのも悪くなかったかもしれません。



向こうのテーブルは、大学生らしい美少女の一人娘を交えたリッチそうな家族。
食事が進むと全員が自分のスマホを見ていました。



セロリと魚介類の野菜炒めにはなぜか梅の花が飾り書きされています。
緑の丸いのはメロンで、これがなかなか味に一癖を与えていました。



こんなのが食べたかった、なレタス包み。
最初の一皿はボーイさんがレタスに入れてサーブしてくれます。



デザートは・・・なんか忘れました。



この前の晩は、まるでサウナの中を歩くような蒸し暑い中、
扶輪社のメンバーにお誘いを受けて、町のレストランに行きました。
このあいだの電気ラケットで虫を叩いていた店と、日航ホテルのレストランの
ちょうど間くらいのランクのレストランです。

足元にご注意。と日本語でも一段高くなった部分に書いてあるレストラン。



現地に大隈大学(仮名)から派遣されて留学業務を担当している日本人の方、
現地で新島大学(仮名)の同じく業務をしている台湾人女性、その同僚、
そしてわたしたちの5人で食卓を囲みました。

大隈大学の方は大陸でも何年か仕事をされていたそうで、
中華圏に関しては単身赴任4年目というベテラン、女性はやはり新島大学出身で、
留学時代は天神橋に住んで京都まで通ったというディープ関西を知り尽くした人。
ここでも会話は全て日本語です。

現地の人しか行かないような台湾料理店で台湾人や現地在住日本人と
珍しい台湾独特の料理を囲むひととき。

こういうのも文化交流というものかもしれないと思いながらカラスミを
大根に載せたものに舌鼓を打ちます。



これは台湾風オムレツのような感じ。カニ玉という感じの味でした。



台湾はエビの料理の仕方が上手いと思いました。
プリプリした歯ごたえのエビをオレンジソースと絡めてあります。



ご飯の上にいきなり真っ二つに切断されたカニのご遺体が!
なんども言うようですが、わたしはカニも蟹味噌もどちらかというと苦手です。
胴体の部分はありがたくいただきましたが、脚の肉までせせるような
そんな根気はとても持ち合わせません。カニさんごめんなさい。



ここでも空芯菜。
中が空洞になっているので空芯菜ですが、くせがなく食べやすいので
緑のものというとこの空芯菜のニンニク炒めが出てきます。



たくさんでいただくと、たくさんの種類の料理が食べられるのがよろしい。
唐辛子でピリリと辛くした鳥料理。



そしてデザートはピーナツ餅と、(これはおいしかったよ~)



おそらく日航ホテルのレストランで出たのと同じデザート。

このレストランでも周りは全て集団の台湾人ばかりで、
どういうのか、全員がものすごく大きな声で談笑するので、
テーブルの会話が聞き取りにくくて大変苦労しました。



このメンバーでも話題はそのうち政治に移りました。

女性の母親はいわゆる台湾の部族出身だそうで、やはりその出自からも
台湾の国の在り方や中国との関係に無関心でいられるはずがないのです。
そして日本に留学した台湾人は例外なく「日本派」になり「台湾独立」派となるようです。

日本留学で大陸からの留学生とは、同じ中国語が喋れるにもかかわらず、
向こうがその手の話題になった途端、

「独立なんかしたら(台湾を)許さない」

なんてことを平気で言うので、必要以上の接触をしたくなかったし、留学生の間では
むしろ韓国からの学生とつき合うほうが気が楽だった、と彼女は語っていました。




さて、先日日本に台風がきたことがありましたが、わたしたちが台湾にいたのがまさにそのとき。
こちらでは台風はほぼ直撃したので、それなりに爪痕を残したようです。
このニュースは

友達を訪ねるために出かけたらに台風のせいで車に石が落ちてきて、運転手は軽傷を負った。

でいいのかな?



こちらはわかりやすい。

街路樹が台風で倒れてきたとき、樹にあった蜂の巣が頭に直撃して人が怪我をした。

ですよね。
という感じでこの日1日中こういうほのぼのした?ニュースをやっていましたが、
人が亡くなったり重傷を負うような深刻な被害は全くなかったようで何よりです。




言っていることはわからないけど、画面を見るとニュースの内容もわかってしまう世界。

日本語は普通にあちらこちらで通じるし、万が一住むことになったとしても、
(紙を捨ててはいけないトイレが時々あること以外は)全然大丈夫だと思います。


台湾の「現在」は、モダンとオシャレと、政治に熱い関心を持つ台湾人と、
ラケットで虫を退治するレストランと、たくましいホテル従業員、
そしてどこにいっても値段なりに決して裏切られない美味しさの料理でした。


またぜひ機会があれば訪れてみたいと思います。