マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

ラヴェルのラ・ヴァルス

2022-11-25 01:26:30 | コンサート
26日のパンピエールピアノデュオコンサートで私が演奏する曲の2曲目は、ラヴェルのラ・ヴァルス。
「ヴァルス」はフランス語で、ワルツのことです。
原曲は、管弦楽のための舞踏詩「ラ・ヴァルス」で、ラヴェル(1875~1937)が、1919年12月から1920年3月にかけて作曲した管弦楽曲です。
1906年ヨハン・シュトラウス2世へのオマージュとして、交響詩風のウィンナワルツを書くという構想を持っていましたが、第一次世界大戦が勃発したため、断念し、終戦後にようやく日の目を見たというわけです。
その後続けて2台ピアノ版を作り、初演は2台ピアノの方が先で、2か月後に管弦楽の初演が行われました。
楽譜冒頭に舞踏会の様子が記され、曲はほぼそのプログラムによって進められています。
下記のような意味です。

渦巻く雲の切れ目からワルツを踊る数組の男女が垣間見える。
雲が次第に晴れてくると、ワルツを踊る人々でいっぱいの大広間が見えてくる。
舞台は次第に明るくなり、シャンデリアの光がキラキラと輝き渡る。
1855年頃の宮廷。

ワルツを楽しく踊っているような情景が思い浮かぶような音楽で、いかにもワルツ…という感じが何とも言えず楽しい…。
原曲が管弦楽なので、どうしてもピアノでは出し切れない表現もあり、なかなか難しいところですが、2台ピアノならではの音響効果と色彩効果をうまく表現したいところです。

モーツァルトの2台のピアノのためのソナタ

2022-11-25 00:45:10 | コンサート
26日のパンピエールのデュオコンサートで演奏する最初の曲です。
以前にもこのブログに記載していますので、そのコピーに少し加えて。

2台のピアノのための曲と言えば、モーツァルトのこの曲と言うくらい、華やかで掛け合いが楽しめて演奏効果がある曲です。
モーツァルトは2台のピアノ用の曲を3曲残していますが、ソナタはこの曲のみ。
1781年11月の作と推定されています。
内容の充実とスケールの大きさ、演奏効果の美しさ、華々しさなど、極めて魅力に富んだ傑作であり、2台ピアノをフルに活用したダイナミックな表現やソロとトゥッティの対比も美しく、多彩な効果を上げています。
モーツァルトの弟子であった、アウエルンハンマー嬢と共に、同嬢の邸宅で開かれた演奏会で初演されています。
3楽章から成ります。

第1楽章 アレグロ・コン・スピーリト ニ長調 4/4拍子 ソナタ形式
2台ピアノが力強いユニゾンで始まる第1主題、ドルチェの第2主題が見事な対比を作り出し、展開部では新しいテーマが登場し、これがコーダに戻って来ます。
第1ピアノのロココ風のフレーズを持った活躍が第2ピアノに支えられて、協奏曲的でギャラントな魅力を際立たせています。

第2楽章 アンダンテ ト長調 3/4拍子 ソナタ形式
ソロピアノの豊かな感情をたたえた旋律が、装飾音型や美しいハーモニーに彩られて、モーツァルトならではの素晴らしい楽章となっています。
第1ピアノと第2ピアノの掛け合いや調和が、弦楽四重奏のように美しく響きあっています。

第3楽章 アレグロ・モルト ニ長調 2/4拍子 ロンド形式
華やかなロンド主題に始まるフィナーレで、ここでも第1ピアノと第2ピアノのバランスが際立っています。
ロンド主題の音型は、トルコ行進曲と同じ音型を使っています。

唯一の2台ピアノのためのソナタが、ニ長調というのは、何か意味があるのだろうか…とフト考えてしまいます。
というのは、モーツァルトのピアノ曲にニ長調というのが多いから。
ピアノ・ソナタは18曲のうちの3曲、ピアノ協奏曲は、30曲のうちの6曲。
調性は24あるわけで、それを考えると多いかな…と。
調性には、それぞれ意味や性格があると考えられていて、ニ長調は、喜びや勝利、祝祭的な性格を持っているといわれています。
ヘンデルのハレルヤコーラスなどはその典型かも。
ニ長調だからこそ、この曲の華やかさや力強さが出せているのでしょうか。
当時、モーツァルトが使っていたピアノは、5オクターブで、最高音はf3なので、音の動き的にもニ長調は都合が良かったのかも…などということを考えてしまいました。