温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

長万部温泉 ホテル四国屋(再訪・宿泊)

2014年02月07日 | 北海道
 
ティーンエージャーの頃は、おじさんやおばさん達の会話で頻繁に登場する記憶違いや物忘れを小馬鹿にしていたものですが、いざ自分がその歳になってみると、自己嫌悪に苛まれるほど毎日忘却や勘違いを繰り返しており、若き日の生意気な思い上がりや無知を強く反省しています。
温泉めぐりにおいても記憶違いがしばしば起こるものでして、先日、北海道を移動中に宿泊した長万部温泉「ホテル四国湯」でも、某宿泊予約サイトで宿名を目にして予約を入れた時、現地に到着して建物の前に立った時、チェックインして客室に通された時、それらのいずれの時点においても、今回が初訪問であると信じて疑わなかったのですが、浴衣に着替えてお風呂へ向かって廊下を歩く段階で「あれっ、ここって初訪問なのに、なぜか一度来たことがあるような感じがする」とデジャヴを覚えはじめ、浴室に到達してようやく、デジャヴではなく、本当に以前立ち寄り入浴で利用していたことを思い出しました。しかも拙ブログでそのことを記事にしているのです。私の脳味噌は早くもポンコツの領域へ踏み込んでいるようです。



エントランスには「日帰り入浴歓迎」の札が立てかけられていました。こちらのお宿では入浴の回数券を販売しているほど、入浴のみの利用も歓迎のようです。


 
今回通された客室は2階の6畳間で、テレビ・冷蔵庫などひと通りの備品は揃っていますが、トイレや洗面台は共用のものを使うことになります。お部屋へ通された時には既に布団が敷かれていました。客室のドアには「浴場のご案内」が掲示されているのですが、そこには「源泉100%賭け流し」と記されているではありませんか。流石漁師町だけあって、気性が荒いのか、熱い温泉に呼応するかの如く、お風呂が鉄火場と化しているのかもしれませんね(重箱の隅を突いてしまってゴメンナサイ)。


 
食事はお部屋出しです。まずは夕食から。もりそば・もずく酢・豚の角煮・玉子焼きといった副菜をはじめ、いくら・お刺身(甘エビ・ヒラメ・つぶ貝・サーモン)・エビの塩焼き・焼きホタテといった海の幸、そしてラム肉のしゃぶしゃぶといったラインナップで、全部平らげたらお腹が張り裂けんばかりのボリュームなのです。これで一泊2食付7,000円なのですから、コストパフォマンスには驚いちゃいます。



こちらは朝食です。玉子焼き・焼き魚・マカロニサラダ・フルーツなど、実に家庭的な献立でありながら、バランスも彩りも良く、一日のパワーをチャージするには十二分な内容でした。


 
次にお風呂へと参りましょう。深紅のカーペットが敷かれた廊下を進んで館内の奥へと向かいます。夜間の廊下は真っ暗で不安だったのですが、人影を感知して自動的に点灯する照明が設置されているので、私が先へ歩けば勝手に点灯してくれたのでした。



長万部温泉は1955(昭和30)年の天然ガス試掘中に発見されたんだそうでして、館内には当時の写真が額に納められています。天然ガスを燃やす写真とともに、和服姿のミス温泉、そして老若男女が全裸になって露天風呂に浸かる写真、これらがひとつの枠内にまとめている点が、長万部温泉の特徴をよく言い表しているように思われます。日本では石油・ガス・黒鉱など地下資源を見つけ出そうとして温泉が出てきちゃう例が他にもたくさんありますね。


 
お風呂は男女別の内湯のみ。暗めの壁材が用いられている脱衣室は古くて地味な感じを受けますが、室内はきちんと手入れされており、使い勝手は問題ありません。


 
浴室に入った途端、ガス系のような匂いが鼻を突いてきました。換気がいまひとつなのか湯気が篭り気味でしたが、清掃は行き届いていて快適に利用できました。室内の様子は前回訪問時と殆ど変わりなく、室内に入って左側に2つの浴槽が、右側には洗い場がそれぞれ配置され、洗い場にはシャワー付き混合水栓が5基設置されています。5つのシャワーのうち、3つは新しいものに交換されており、ピカピカに輝いていました。

 
長万部温泉の各施設で共用している源泉が、石積みの湯口から浴槽へと落とされており、お湯の流路の左右にはアイボリー色の温泉成分が付着していました。


 
2つある浴槽の内、湯口からのお湯が直接注がれる右側槽(画像左(上))はやや熱めの43℃位で、ヨットの帆のような形状をしており、容量としては3~4人ほど。一方、その左隣の槽(画像右(下))は、円弧が内部に食い込んでいるような形状をしており、右側槽から流れてくるお湯を受けているため、39~41℃といったややぬるめの温度設定で、大きさも一回り小さな2~3人サイズです。そして湯口から右側槽、左側槽の順に流れたお湯は、左側槽の手前側の縁から溢れ出ており、私が熱い右側槽に入っても、湯船のお湯はこの流れに従って、左側の槽からザバーっと豪快に洗い場へオーバーフローしていきました。湯使いは完全掛け流しです。

お湯は薄い琥珀色(茶褐色に傾いた淡黄色)の透明で、湯口のお湯がダイレクトに落とされる右側槽では焦げ茶色をした大小様々の沈殿が目立っています。お湯を口に含むとかなりしょっぱく、出汁味とニガリ味も同時に感じられます。また上述のようにガス系の匂いも放たれています。濃い食塩泉らしくツルツルした浴感が気持よく、また熱の湯でもありますから、湯上がり後の温まりも実にパワフルです。尤も、入浴中には体にガツンときますから長湯は禁物ですし、もし長湯をしようと思っても体がすぐに音を上げてしまうでしょうね。こちらのお宿を含めて長万部温泉では何回か入浴していますが、このパワフルさゆえ、どのお風呂でも回転が早い(つまりどのお客さんも早々に出てゆく)傾向があるように思われます。
コストパフォマンスが高く、しかも掛け流しのお湯に入れる、利用価値の高い温泉旅館でした。


長温R2号
ナトリウム-塩化物温泉 49.6℃ pH8.0 600L/min(動力揚湯) 溶存物質10.08g/kg 成分総計10.09g/kg
Na+:3478mg(92.82mval%), Ca++:118.7mg(3.63mval%),
Cl-:5600mg(94.72mval%), HCO3-:489.6mg(4.81mval%),
H2SiO3:142.0mg, HBO2:53.1mg,  
加温加水循環消毒なし

JR長万部駅より徒歩10分ほど
(駅の東側に掛かっている人用跨線橋で駅裏へ出ればすぐ)
北海道山越郡長万部町字長万部403  地図
01377-2-2311
ホームページ

日帰り入浴13:00~19:00
500円
ドライヤー・シャンプー類あり、貴重品は帳場預かり

私の好み:★★

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