温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

ニセコ黄金温泉

2014年02月08日 | 北海道

露天風呂の醍醐味は、開放感溢れる環境のもと、お風呂でぬくもりながら大自然の景色を眺めることにあるわけでして、そんな楽しみを存分に享受すべく、北海道の中でも屈指の人気を誇る「ニセコ黄金温泉」へと向かいました。昆布から道道343号線を東進していると、羊蹄山を背景にして立つ黄金温泉の大きな看板が目に入ってきますが、この看板のところで左折です。



路傍の看板は羊蹄山を背景にしていましたが、湯屋の方はニセコアンヌプリをバックに建っており、山々の麓に広がる農地の只中にポツンと佇む素朴な木造建築からは、いかにも北海道らしい手造り感溢れるワイルドな印象を受けます。


 
湯屋左のトタン小屋では温泉を営むご主人ご自慢の十割そばをいただけるそうですが、訪問時はまだ昼食の時間帯には早かったので、今回はお蕎麦はいただかずに入浴だけの利用にしました。この小屋には小さなカウンターがあり、入浴する際にはそこの小窓を自分で開けて、カウンター内部へ清掃協力費400円を置いておきます(お釣りが必要な場合も、自分でカウンターから小銭を取ります)。



私が駐車場に車をとめたとき、ご主人は畑で収穫されたカボチャを手押し車に積んで運んでいたのですが、川崎ナンバーの我が車を見るや、仕事の手を止めて「わざわざ川崎からですか」と驚いていらっしゃいました。はい、わざわざ来ちゃったんです。こちらの露天風呂は毎年10月末で営業を終えてしまうのですが、その時期に間に合わせるべく、無理矢理休暇をとって、ギリギリのタイミングで訪問することができたのでした。ご主人曰く「お湯を張り替えたばかりだから、内湯は大丈夫だけど、露天はちょっとぬるいですよ」とのこと。



脱衣室内には付箋による寄せ書きがボードにたくさん貼り出されていました。そこに書かれたコメントやイラストからは、お風呂で味わえたであろう魅力が如実に伝わり、読んでいるうちに期待で胸がどんどん膨らんでゆきます。


 
まずは内湯から。上屋は木造で、床など水回りは石板敷きおよびコンクリ、浴槽は岩風呂となっています。洗い場にはシャワー付き混合水栓が1基設けられていました。浴槽は5~6人サイズといったところで、ホースから泡とともにお湯がドバドバ投入され、湯船はモスグリーンを帯びた黄金色に懸濁していました。


 
内湯の窓からは、露天風呂越しにアンヌプリが望めます。壁には「ヨモギです。アブよけにやってます」と書かれた張り紙が掲示されているものの、実際にそれらしきものはありませんでした。訪問したのは10月末でしたから、アブなんてもう飛んでおらず、アブ対策の必要性なんか無かったわけですが、たしかに炭酸ガスが多い温泉ですから、真夏にはアブがブンブン集まってきそうですね。


 
内湯で掛け湯をし、体を温めた後は、お目当ての露天風呂へと向かいます。お風呂に浸かりながら美麗で雄大なニセコアンヌプリの全容を眺望できる、実に素晴らしいロケーションです。露天には主浴槽の他、パラソルの下に一人用の小さな槽が3つ据えられています。主浴槽には黄土色に強く濁るお湯が張られているのですが、どうやら内湯から流れてくるお湯を受けているようでして、ご主人がおっしゃっていたように、本当にぬるくて35℃あるかないかといった感じでした。湯船自体はU字を逆さにしたような形状の混浴なのですが、男女の間には石積みの仕切りが立ちはだかっているため、異性の視線を気にする方でも比較的入りやすい構造となっていました。



壁の照明スイッチには「星を見えるときスイッチOFF(原文ママ)」と書かれたプレートが掲示されていました。てことは、夜間は任意で照明を消しても良いんですね。山々の景色が見られない代わり、満天の星空を仰げるのかぁ…。日中はワイルドで、夜間はロマンティック。そんな二面性を持った、モテ男のようなお風呂なのであります。


 
大自然に抱かれながら絶景の混浴のお風呂に浸かっていると、やがて感情が昂って動物的本能が疼きだし、理性の箍を外してお風呂以上のぬくもりを求めたくなってしまう方々もいらっしゃるのでしょうか、「好意的見つめ 男女の体のふれ合 やめて下さい 金魚が言て居ります(原文ママ)」と書かれた札が、浴槽縁と金魚が泳ぐ池の間に立てられていました。「衆人環視による羞恥にこそ興奮を覚えるのだから、金魚さんが見つめてくれるのは寧ろ歓迎」なんて言っちゃいけないわけで、私のようにいつも一人で入浴する人間は、そんな仲睦まじいカップルの姿を見る度に、切ないやら悲しいやら羨ましいやら腹立たしいやら、あらゆる感情がチャンポンされちゃって、癒やしを求めに来たはずなのに、半狂乱に陥ってしまうこともしばしばですから、そんな哀れな私の気持ちを代弁してくれる金魚さんは、小さいながらも心強い味方に映りました。


 

露天の主浴槽は内湯からお湯を受けているために、ぬるくてお湯の鮮度もいまいちなのですが、その傍らに設けられている2つの瓶湯と棺桶のような一人用浴槽は、お湯の質が秀逸で且つ温度も39~40℃近くあったので、私は主浴槽にはほとんど入らず、これらの小槽ばかりを利用していました。
各槽ともお湯は底から供給されており、外気に触れる機会が少ないため、内湯や露天主浴槽と同じお湯であるとは思えないほどの透明度を有しており、湯船に体を沈めた時に肌に伝わるお湯の鮮度感も抜群です。



そして湯船に浸かってしばらくすると、全身が炭酸ガスのアワアワで覆われるのです。内湯や露天主浴槽ではこれほどの泡付きは見られず、ただ濁り湯に浸かるだけでしたから、お湯のクオリティを重視なさる方でしたら、絶対にこれらの小槽は外せませんね。しかも小槽に浸かっても黄金温泉ならではの絶景を楽しめるんですから尚更です。

お湯を口に含みますと、大雑把に言えば重炭酸土類泉らしい味、具体的には土類味+金気味+(石膏的な)甘味+薄い塩味+薄い出汁味、そして炭酸味が感じられ、湯面からは土類臭と金気臭が嗅ぎ取れます。ぬるいお湯ではありますが、3つの小槽に長湯していれば、炭酸の温浴効果によって体の芯から温まり、湯上がり後もしばらくはポカポカ感が持続しました。界隈にはニセコ薬師温泉や昆布温泉など、ここと同じく黄土色に濁って重炭酸土類泉のような特徴を示す温泉が点在していますから、ニセコアンヌプリの南麓にはこの手の温泉の湯脈が広く存在しているのかしれませんね。


 
露天風呂の正面にはニセコアンヌプリ、そして女湯側には羊蹄山が聳えているという、なんとも贅沢な自然環境に恵まれた露天風呂。人気を博すのもむべなるかな。


1号井と2号井の混合泉
ナトリウム-塩化物・硫酸塩・炭酸水素塩温泉 40.8℃ pH6.7 湧出量記載なし(動力揚湯) 溶存物質3.321g/kg 成分総計3.563g/kg
Na+:749.4mg(73.61mval%), Mg++:70.9mg(13.16mval%), Ca++:88.8mg(10.00mval%), Fe++:3.5mg,
Cl-:599.5mg(37.67mval%), HS-:0.3mg, S2O3--:0.1mg, SO4--:704.6mg(32.68mval%), HCO3-:810.3mg(29.58mval%),
H2SiO3:175.6mg, HBO2:66.8mg, CO2:241.7mg, H2S:0.9mg,

北海道磯谷郡蘭越町黄金258-1  地図
0136-58-2654

10:00~21:00 営業期間5月1日~10月31日(期間内無休)
400円(清掃協力費として)
ロッカー(100円)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (齊藤@群馬)
2015-07-03 10:44:42
お元気に温泉巡りしてますか?
標記の、黄金温泉ですが、掲載の温泉分析書(の写真)をお持ちでしたら、お送り頂けると幸いです。
返信する
Unknown (K-I)
2015-07-04 01:38:58
齊藤さん、こんにちは。
分析書の件、先ほどメールを送信させていただきました。宜しくお願い致します。
返信する

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