温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

モニターバレー温泉 Monitor Valley Hot Springs (Potts)

2017年12月23日 | アメリカ
前回記事で取り上げたスペンサー温泉から車を南東へ進めます。

ネバダ州の中央部では山脈が南北方向へ複数並んでおり、山脈に挟まれる形でいくつかの谷も南北に細長く伸びています。そんな谷のひとつであるモニターバレーでは、一部エリアで温泉が湧出しているらしいので、どんな温泉に出会えるのか、行ってみることにしました。

 
まずは、スペンサー温泉付近を北西から南東へ貫く道(NF001号)に入り、南東へ向かいます。はじめのうちは乾燥した荒野が果てしなく続くように思われえるのですが、やがて前方になだらかな山が左右に広がり、道はその山へ向かって突入してゆきます。


 
この山はモニターレンジという細長い山地であり、最も高いところでは標高3000メートル以上もあるのですが、この辺りは低いため、車でも容易に越えられます。あたりの針葉樹林はトイヤベ国有林(Toiyabe National Forest)。道が峠にさしかかるところにはキャンプ場が設けられていました。でも私の目的は温泉なので、キャンプ場は通過します。


 
この国有林を貫くNF001号という道はひたすらダートが続き、舗装区間は皆無なのですが、幅が広くて凸凹も少ないので、未舗装路に慣れない方でも比較的運転しやすいかと思います。峠を越え、山の反対側(東側)へ下ってゆくと、道は再び真っ平らになり、見渡す限り荒野が広がる何もない世界の中を真っ直ぐ進むことになります。この何もない世界こそ、モニターバレーなのです。人家はおろか、人工物そのものがほとんどありません。携帯電話も完全に圏外。スマホのGPSが使えず、予め調べておいたGoogle Mapも正確さに欠けている中で、曲がり角に立つ道路標識だけが唯一の頼りです。


 
NF001号はネバダ州道82号にぶつかり、その丁字路で終点となります。丁字路を左折すると北上してUS50号方面へ、右折するとモニターバレーの深部へ向かいますが、ここは右折します。


 
モニターバレーの真ん中を南北に貫く州道82号線は、州道といってもひたすら未舗装路。道の左右には谷を挟む山脈が連なっていますが、谷は何もない荒野であり、おそらく有史以前の光景と変わっていないのではないかと思われます。未舗装とはいえ、道幅は広く凸凹も少ないので、結構なスピードを出すことができました。


 
砂埃を上げながら82号線を南下してゆくと、約4マイル弱で上画像のような標識が立つ分岐点が目の前に現れました。ここを右へ行けばそのまま82号を南下でき、左折すると谷の東側へ抜けて山の方へと入ってゆくようです。標識には特に温泉の位置など記されていないのですが、事前の調査によれば、目指す温泉は州道の東側にあるはずなので、私はここを左折してみることにしました。



分岐点から2マイルほどで廃屋を通過・・・


 
廃屋の先のカーブを曲がったあたりで、特に目印の無い分岐点が出現します。ここで私は勘を働かせ、分岐を右に逸れて小道へと入ってゆきました。すると路傍に"CLOSED TO THE PUBLIC"と書かれた看板が立てられていました。まさか・・・。ちょっと嫌な予感がしますね。



やがて小道は行き止まりとなったので、そこで車をとめて先へ歩いてゆくと、灌木の向こうに青い物体を発見しました。



小高い丘の端に設置された直径2メートル程のこの樹脂製たらいは、まさに温泉を張って入浴するための露天バスタブであります。今回の目的地であるモニターバレー温泉(Monitor Valley Hot Springs 別称Potts)に到着しました。簡易的なバスタブの周りにはベンチが置かれ、ウッドデッキも取り付けられ、お誂え向きはいい感じです。でも・・・



バスタブには引湯用の湯樋が掛けられているものの、中は完全に空っぽであり、肝心のお湯は一滴も注がれていませんでした。残念・・・。先ほどの"CLOSED TO THE PUBLIC"という看板は、このことを指していたのでしょう。


 
バスタブの脇には黒いホースが伸びており、その中を41.5℃の温泉が流れていました。このホースをバスタブへ持っていけば、今すぐにでもお湯が張れます。しかも絶妙な湯加減! モニターバレーや両側の山稜を一望できる小高い丘の上であるため、眺めも良好。ここにお湯を張れたら、さぞ気持ち良い開放的な湯浴みが楽しめたことでしょう。でもあのような看板が立っているということは、下手にお湯を張っちゃうと関係者の怒りを買って面倒な事態を招く可能性がありますから、ここはグッと我慢して見学だけにとどめました。


 
地中から自噴した温泉は、バスタブに張られることなく、人間様に触れることもなく、地表で小川となり、荒野の中を流れていました。あぁ、もったいない。

なお、たまたま途中でピックアップトラックとすれ違ったので、この車に乗っていたお兄ちゃんに訊いたら、モニターバレー温泉は一年ほど前からパブリックへの開放をやめてしまったそうです。理由はわかりませんが、ちょっと残念です。でもこの先には別の温泉があるはずですので、気持ちを入れ替えてここを去り、次を目指すことにしました(次回記事へ続く)。



GPS:39.079858, -116.64004,

現在入浴不可
※周囲にはお店が全くありません。ガソリンスタンドは皆無です。携帯の電波も飛んでいません。
食料や水分、そしてガソリンを十分に確保しておくことをおすすめします。

私の好み:評価不可(入浴できなかったため)


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