温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

リースリバーバレー温泉 Reese River Valley Hot Springs

2017年12月15日 | アメリカ
今回取り上げるのもネバダ州のワイルドな温泉です。

 
前回取り上げたカイル温泉(Kyle Hot Springs)からインターステートハイウェイ"I-80"に戻り、再びこの道を東に向かってを走行します。そしてバトルマウンテンでこの道から外れ、ネバダ州道305号へ入ります。



バトルマウンテンから35マイルほど南下すると、放棄されただだっ広い牧場地の右手に、こんもりと盛り上がった小さな丘が見えてきます。これを通り過ぎた辺りで上画像のように、右へ路地が分かれますので、ここを右折します。今回の目的地はこの先にあるのです。なおこの右折地点には看板や目印になるようなものはありません。事前の入念なリサーチが肝要です。


 
曲がってすぐに、家畜侵入防止用の有刺鉄線の柵に行く手を阻まれるのですが、この道の部分だけは簡素なゲートになっており、誰でも開けることができますので、私も一旦車から降り、自分でゲートを開け、車を柵内に入れたら・・・



再び車から降りて、ゲートを閉めます。ここは開け閉めをセルフで行うのですが、家畜が誤って進入しないよう、通過するとき以外は必ずゲートを閉めておくわけです。私有地ながら、日中は出入りが許されているんですね。


 
ゲートから先の道は荒れており、下手をすればスタックしてしまいそうな状況でした。このため、適当なところで車をとめて歩くことにしました。ゲートからは大して離れていないので(0.25マイル程度)、無理して車を進める必要はありません。



ここが今回の目的地、リースリバーバレー温泉です。画像を見ただけではわかりにくいのですが、ここには温泉の源泉によって生み出されたトラバーチンの小さな丘と、そこからお湯を引いている露天風呂があるのです。


 
丘の上から熱い温泉が小さなせせらぎを成して流れていました。そして流れの周りには炭酸カルシウムが固着して、辺りをベージュ色に染めていました。




丘のてっぺんには大きな穴が開いており、穴の底では泡をあげながらアツアツの温泉が自噴していました。まだ空気に触れていない温泉は全く濁っておらず、無色透明で非常にクリアです。言わずもがなですが、この丘は自噴する温泉が生み出したトラバーチンによって形成されているのです。足元に気を付けながら穴のそばまで下り、大きな泡をあげながら湧き上がる温泉に温度計を突っ込んだところ、50.5℃と表示されました。このままでは熱くて野湯できません。



丘の下には家畜が水を飲むための大きな盥が置かれており、そこに源泉からホースで引かれたお湯が張られ、簡易的な露天風呂が出来上がっていました。果てしない大平原にポツンと佇む小さな露天風呂。ワイルドな温泉が好きな私にとって、この上なくうっとりするロケーションです。



丘のふもとに樹脂製の巨大な盥を置き、そこにホースを引いてお湯を張っただけという、至って簡素な露天風呂。だからこそ、この大自然にマッチするのです。盥は直径2.5mほどで、4~5人は同時に入れそうな大きさです。


 
上述したトラバーチンの丘の底から湧出する温泉の一部を、黒いホースを用いて引いています。


 
50℃で湧出する温泉を直接引いており、加水できるような環境にないため、私が訪れた時のバスタブ内の湯温は47℃近くあったのですが、一旦ホースを外してお湯の供給を止め、更に近くに転がっていた木の棒でグルグル掻き混ぜて湯揉みをしたら、何とか入浴できる45℃まで落ち着いてくれたので、満を持してやっと入浴。はじめのうちは熱さが肌を刺してくるのですが、やがて体が慣れてくると、あまりに開放的な環境とお湯の良さが相俟って、時間を忘れてずっと浸かっていたくなりました。うひゃー! 気持ち良いぞ!

トラバーチン丘を形成するような温泉ですから、重炭酸土類泉か塩化土類泉に属するような泉質かと思われるのですが、お湯が新鮮だからか、この手の温泉にありがちなお湯の濁りや浮遊物・沈殿物の発生は見られず、バスタブにおいても無色透明でクリアな状態が保たれています。また酸化が進んでいないためか、味や匂いなどの近く的特徴の顕れ方も総じてマイルドであり、お湯を手に掬ってよく確認すると弱い金気や微かな塩味、そしてほのかな石膏感が得られる程度です。おそらくお湯の参加が進むと、もっと味や匂い、そしてお湯の濁りなどがわかりやすく現れてくるのでしょう。とはいえ湯中ではキシキシと引っかかる浴感があり、そうしたフィーリングだけはこの手の温泉にありがちな特徴が見られました。
いや、そんな屁理屈なんて、もうどうでも良い。ここは本当に素晴らしい! 余計なことを考えず、ただひたすらお湯に浸かって大自然の中に溶け込めばよいのです。それだけでもここに来る価値があります。


 
温泉の湧出量は多く、ホースで引いているのはその一部に過ぎません。多くは地面へ垂れ流されています。そして平たいところで流れは止まり、一帯を泥濘にしていました。また温泉が空気に触れ続けることによって炭酸カルシウムが固着し、石灰華の千枚田が形成され、地表を赤茶色に染めていました。


 
さらに奥には錆びた大きな金盥が置かれていました。これもかつてはバスタブとして使われたのかと思われますが、今では空っぽのまま放置されていました。かつてから知る人ぞ知る秘湯だったのでしょう。
場所さえ特定できれば容易にアクセスでき、しかも圧倒的な開放感の中で新鮮な温泉を楽しむことができる、極楽のようなワイルド露天風呂でした。



GPS:40.198050, -117.10309,

日中なら立ち入り可能
無料
野天風呂につき備品類なし

私の好み:★★★

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