音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

アルツハイマー型認知症の介護をされている人へ

2023-02-12 19:16:11 | 研究関連
早朝散歩していると川沿いにある白梅が満開になっており、奈良市の月ヶ瀬梅林へ
行きたい気持ちが逸ってきます。本日から月ヶ瀬梅祭りが始まるようです。

今日も図書のご紹介です
アルツハイマー型認知症の診断を2015年に受けた現在70才代のお母様の娘である
40才代の脳科学者である恩蔵さんと、ソーシャルワーカー、ケアマネージャー、認知症
ケア専門士である永島さんがアルツハイマー型認知症の日常よくある多様な症状及び
事例に対して、一つひとつ丁寧に分かり易く、専門家としての具体的な脳内の活動と
日常的な関わり方を示されています。

例えば、
「なぜ、物の使い方がわからなくなるのか」「なぜ、受診の話をすると怒り出すのか」
「なぜ、家にいるのに‘家へ帰る’と言うのか」「なぜ、同じ物をいくつも買ってしまうのか。」
「なぜ、突然怒り出したり、大声を挙げてしまうのか。」「なぜ、人物がわからなくなるのか」
「なぜ、デイサービスを拒否するのか。」「なぜ、伝えたいことが伝えられなくなるのか。」
等々。

義母と父がアルツハイマー型認知症だった家族として、本当に当時はなぜ?という
疑問が次々と湧いてきたことを思い出しました。
始めは不可解な行動だと思っていましたが、その後多くの情報や知識を得られ、
少しずつ理解できるようになりました。
最近でこそ、認知症は私たちの人生に多くの人が関わることが分かり、身近な情報が
多く発信されるようになりました。

内容の中で、具体的に最初に傷つく脳の部位である「海馬(かいば)」が図で示され、
短期記憶と長期記憶の関係性が分かり易く書かれています。
認知症対応型グループホームにおける音楽療法の実践では、その人らしさが残る
懐かしい音楽記憶を共有する活動になります。音楽を動機づけにした懐かしい話から
私たちの多くの学びに繋がることは少なくありません

ただ、身近な友人始め個人的に届いてくる情報からは認知症の理解と関わり方を
共有できているとは未だ思えない現状です。2004年に「認知症」という呼称に変わり、
来年で20年になりますが、不安な気持ちを本人と家族に煽ることなく、真摯で
落ち着いて読んでいける内容ですので、ご一読されることをお薦めいたします。

『なぜ、認知症の人は家に帰るたがるのか』
恩蔵絢子.永島徹
中央法規出版.2022年
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