音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

老年期を輝かせる‘心のタイムトラベル’

2023-05-17 06:25:28 | 音楽療法実践
天気予報では本日30度超えの真夏日になり、熱中症対策を呼びかけています
そんな予報ですが、朝散歩は爽やかで気持ちの良い一日を作ってくれます。

今朝は5時9分頃に日の出が始まり、あっと言う間に真夏のような太陽全体が
昇り、眩しくなりました。まだ夏至(6/21)までひと月ほどありますが・・。
様々な鳥の鳴き声に耳が敏感になり、道沿いの畑には夏野菜が準備されています。

今日はネットのヤフーニュースに「ライフレビュー」と音楽に関する記事が
掲載されておりましたので、私見*を入れながら一部ご紹介いたします。

以下
YAHOO!JAPAN ニュース 2013年5月14日(日)11:05配信より
『心が若返る! 高齢になった自分を癒してくれる、過去の思い出との接し方
【75歳からの生き方ノート】』

シニア世代の生き方について持論を展開するライフ&キャリア研究家の楠木新さん。
人生100年時代を楽しみ尽くすためには、「定年後」だけでなく、
「75歳からの生き方」も想定しておく必要があると説きます。
楠木さんが10年、500人以上の高齢者に取材を重ねて見えてきた、
豊かな晩年のあり方について紹介します。

<心のタイムトラベルで老年期を輝かせる>
多くの人はかつて自分が生きた時代や場所をもう一度体験してみたいと思うことが
あるでしょう。このタイムトラベルサービスが可能ならその夢が実現します。
子どもの頃や過去の自分と出会う場を持つことは一つの居場所の発見にもつながります。

ノスタルジーに浸ることは、新たな目標や価値を見出す絶好の機会になります。
昔の家族との語らい、大切な人との出会いや過去の思い出を反芻(はんすう)することは
今後に向かう活力になると、私は思うのです。
高齢になった自分を癒してくれるのは、他人ではなく、自分自身の過去であり、
思い出なのかもしれません。

*個人が過去の思い出に出会う機会は、過去の場所へ訪ねる以外に、写真、匂い、
音楽、味、触感などの五感の刺激からもありますが、その事を話す(伝える)家族や
友人、知り合い、仕事関係者など誰かと共有したり、誰かに伝えるすることで
自分の心の居場所になると思います。私自身も長寿だった4人の親から聞いた
昔話は興味深く、多くの教えに繋がりました。
中でも音楽にまつわる話から地域社会や人との交わりが豊かだった事を知りました

<過去の思い出に浸ると心が若返る>
過去の物事に思いを馳せるという意味での居場所は本当に人それぞれです。
音楽一つとってもクラシックから洋楽、演歌、ニューミュージック、アイドル歌謡など、
曲に関心がある人もいれば、アイドルなどの特定の人に焦点を当てる人もいます。

映画では、洋画も邦画もあってジャンルも数え切れません。
演劇、演芸などの舞台芸術が好きな人がいれば、読書歴、旅行歴など
自身が積み上げたものを大切にしている人、レトロなモノの収集に喜びを感じている人、
サッカーや野球など、スポーツを通して過去の思い出に浸ることで元気になる人もいます。

生まれ育った故郷への愛着の念が、年を重ねるごとに強くなっていくという人、
親に対する感謝をあらためて語る人もいます。
これらは先の映画の話と同様、一種のタイムトラベルサービスと呼べるものかもしれません。
最もポピュラーなのは音楽でしょう。私は70年代ヒット歌謡曲のファンですが、
不思議なことに25歳までにヒットした曲だと過去の思い出が伴っています。
それ以降の曲はそれほどではありません。

*25歳頃までの音楽を含む思い出が記憶に最も残ることは研究でも分かっています。
記憶研究として「レミニセンスバンプ」という隆起が人生の中の記憶に表出し、私自身の
音楽療法の研究においても同様の結果が得られています
懐かしい音楽を聞いて会話に繋ぐ機会は大切にして欲しいと思っています。*

昔の記憶を蘇らせることを「ライフレビュー」といい、認知症の治療にも
使われる方法だそうです。なぜ脳に良いのかといえば、当時の感情や記憶を
思い出すことで脳がその時の状態に戻るからだということです。
昔好きだった曲を聴くと、急にその頃のドキドキワクワクした感情が戻ったり、
ある匂いを嗅いだらその瞬間を思い出したりといった現象と同じ原理だそうです。

*認知症を患っている人への音楽療法は実際の現場でも多く実践されており、
歌唱を始め、歌をきっかけにした回想語りなどはご本人が生き生きとされるひと時です。
記憶する脳への刺激として音楽は大変有効だと実感しております

老人向け施設で昔の曲を歌い出すと部屋全体が盛り上がるというのも納得できます。
90歳を超えた認知症の親を自宅で介護している人は、
親は昔やっていた囲碁のルールは忘れておらず、麻雀の点棒の数え方も間違わないので
驚いたという話を聞いたことがあります。

過去に自分が過ごした場所を歩いてみるのもいいでしょう。
生まれ育った地域をウォーキングしてみる、学生時代の下宿のあった場所を訪問してみる、
若い頃に住んでいたアパートや、かつての会社があったビル周辺を巡る……。
私は新入社員当時通った喫茶店の2階に上がる階段の匂いや、手すりの冷たさが
40年以上経って蘇ってきたこともありました。

どんな経験であれ、過去の思い出に触れると心が若返るような気持ちになるのは
不思議なことです。
『75歳からの生き方ノート』(楠木新 著)小学館 2023年2月出版

「共感覚」の世界

2023-05-11 06:40:12 | 研究関連
近年は恒例になってきて、多人数が集まれる準備の要領が少しずつ良くなり、
五月晴れのお天気にも恵まれて賑やかな田舎の連休でした。

田舎の冬は寒く、暗く、とても長居することは難しいと最近は思っており、
やっと春らしい陽射しや空気を感じると途端に個人的に寄り付き感が出てきます。
義父母が暮らしていた頃には年末年始に集まり、餅つき、おせち料理作り、お宮さん参り、
お寺さんへのご挨拶等々、多忙にしていましたがすっかり多くが過去の事になっています。

何十年か振りに田舎の家出発の軽いハイキングを総勢10人で楽しみました。
途中の道路には何故か「モグラ」が車に引かれたのかひっくり返っており、
低い山登りの途中には「タケノコ」が皮を付けたままで大人の背丈ほどに
伸びており、綺麗な石清水が溜まったところで「メダカ」を見つけ、
途中にはシャガの花やスカンポがいっぱい咲いていました。
景色もさることながら、自然を豊かに味わえるのも田舎ならではです。

豊かな自然の中で感じる色彩は豊かです。
ふと、「音色」「声色」・・、以前聞いた「共感覚」の言葉が頭をよぎりました。
この田舎の豊かな色彩から音を感じることが出来るという・・・。聞いてみたい。

共感覚についての基本的事項の整理から、共感覚について改めて学術的に問い、
ドレミファソラシが虹の七色になる共感覚についてなどが書かれています。
共感覚とは、音や文字に色を感じたり、色から音を感じたり、味から形を感じたりする
現象のことであり、絶対音感のある人の中に、音の色が分かる人もいるという。
音から色を感じる共感覚と比べて、色から音を感じる共感覚はかなり珍しいそうです。
以下、書籍をご紹介します。

『「ドレミファソラシは虹の七色?」知られざる「共感覚」の世界』
伊藤浩介.㈱光文社.2021.