音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

介護保険制度の20年を振り返りながら

2020-04-29 10:33:45 | ひとりごと
今年は介護を家族単位ではなく、社会全体で支えるという介護保険制度が
始まって20年になります。
個人的に20年を少し振り返ってみます。

2000年は私にとっても始まりの年になりました。
前回のひとりごとにも書きましたが、パーキンソン病患者・家族会の
支援グループが保健所の呼びかけで設立され、11月2日のグループ発足から19年半が過ぎました。

2000年11月3日~5日開催の全日本音楽療法連盟大会(於:長良川国際会議場)に参加し、
11月16日からは奈良市音楽療法推進室に音楽療法ボランティアとして関わることになり、
多くのご指導をいただいて2005年に日本音楽療法学会認定の資格を得ました。
2001年には全日本音楽療法連盟から日本音楽療法学会の組織として設立され、
音楽療法が研究、臨床、教育などを通して社会へ広く普及し始めました

学会認定の音楽療法士の資格を取得した2005年に立命館大学大学院応用人間研究科に入り
音楽療法に関係する広い分野の学びに繋ぐことができました。
大学院時代に認知症と発達及び記憶研究に関わる幾つかの学会に所属して修士を修了しました。
修了後の春から社会福祉の専門学校において「音楽ケア」の講義を担うことになり、
若い世代の人との交流を楽しみながら8年を過ごしました。

さらに、私的な20年を振り返れば、義母が少しずつ日常生活において不安なことを伝え始め、
その後認知症の兆候を私たち家族が認識し始め、物忘れ外来を受診した後に
進行していく認知症に関わりながら、亡くなるまでの約11年間も入っています。

介護保険制度を利用できたことは家族にとって本当に助かりました。
ケアマネジャーさんからの助言や関わっていただいた介護関係の皆様の温かい励ましは
どれ程家族にとって力になったのか計り知れません。
「認知症」という言語も2004年に統一され、さらにMCI(軽度認知症)の社会的な認知と活動も
オレンジプランとともに普及してきました。

2012年にはiPS細胞研究がノーベル賞を受賞し、パーキンソン病を始めとする難病の
治療に未来を感じたニュースの瞬間は今でも鮮明に覚えています。
認知症に関しても治療薬を始めとした研究に、今後も期待して見守っています

2014年からスマホを利用し始め、日常生活の変化の大きさを強く感じています。
2017年には10代、20代のスマホ普及率が90%を超えたというニュースがありました。

平均寿命もこの20年間で更に長くなり、2016年の報告では男性は80,98歳、女性は87,14歳です。
我が家においても享年ですが、父は93歳、義父は99歳、義母は100歳という長寿家族です。
3人の命のバトンを受け取るように、新しい命の誕生が続き、感謝の気持ちでいっぱいです。
94歳の母は現在でも歩行は自立しており、電話も本人から「皆元気にしてる?・・・」と
かかってきて、会話から元気に暮らしていることが伝わってきて安心しています。
「オリンピックを楽しみにしていたけど、来年になってしまって生きていられるかしら?」とも・・。
コロナウイルス感染が落ち着かないことには奈良へも遊びに来てもらえなくて寂しいです。

連休は認知症の研究と課題をこなしながら、田舎で収穫が始った絹さや、新玉ねぎ、春菊などの
新鮮野菜を食べて免疫力を上げたいと思っています





パーキンソン病患者・家族会の延期

2020-04-25 21:00:29 | ひとりごと
パーキンソン病患者・家族会の皆様とのつながりが20年目に入っています。
新年度に入るいつもの4月には音楽療法の集いが開催されていました。
やっと少し暖かくなり、患者さんとご家族さんも外出し易くなる良い季節なのですが・・。

今年は患者・家族会の年間活動も先が見えていません。
基礎疾患もある上に、感染の事を思うと外出も躊躇されて
免疫機能が落ちているのではと、とても気になります。

20年前の8月~9月にかけて郡山保健所が地域に呼びかけて
パーキンソン病患者・家族会のサポート活動が始まりました。
日本音楽療法学会が設立される一年前の全日本音楽療法連盟の時であり、
音楽療法の学びと共に20年の月日を経てきたように思います

こんなに活動ができず会えないのであれば、患者さんとご家族さんの皆様と
オンラインで交流可能にしてお話だけでも出来れば良かったかと・・。
勿論、地域の管轄である保健所の皆様は目が回るほどの忙しい日々かと思います。
何もお力になれませんが、せめて在宅で20年の活動をまとめ、
秋頃には皆様との再会が実現することを願いながら過ごすことにします



始まりました!リモートおしゃべり会

2020-04-19 16:43:33 | ひとりごと
今回の新型コロナウイルス感染症の対策としてテレワークやオンライン講義などが
始まっていますが、個人的には同居人以外の家族には会えない日々が
4週間目に入って寂しくなっていました。
今まではスマホのライン動画や電話の交流だけでしたが、
昨日から遅ればせながらのリモートおしゃべり会が始まりました

4画面にそれぞれの家族の笑顔が見え、おしゃべりが弾みました
部屋が丸見えだからと画面の背景を試しながら変えてみたり、
ゆっくり座ってお茶を飲みながらの新鮮な1時間でした。

学会のニュースなどにもオンラインレッスンやオンライン活動が
始まっていることが掲載されています。
スマホの進化や普及にも驚くばかりでしたが、この機会を前向きに捉えて
医療を始めとして、演芸会や音楽会などの交流にリモート利用が各家庭に
始まってくると希望に繋がるような気がしています

個別性が高いアルツハイマー型認知症

2020-04-18 14:30:19 | 研究関連
前回記した「www.AboutAlz.org」の短編フィルムの中の
‘What is Alzheimer's disease?' 「アルツハイマー病って何?」を見ながら
1年3ヵ月ほど前にこの世を去った義母のことを思い出していました。

脳の中で言語の単純な記憶を形成する海馬が壊れ始め、
言語の処理や計画を立てたりすることが難しくなり、
感情の調節までもが困難になっていきます。
終わりの頃には最も古い記憶を消すことになり、平均8年~10年
かけてゆっくり進行するも、現在は未だ治療法が確立されていないという。

本人は脳がこのように壊れていくのを勿論自覚していませんでした。
きっと強い不安感を持ちながら、何故?どうして?を自分に問いながらも
どうすることも出来なかったかと思うと胸がいっぱいになりました。

認知症を患い始めてからの記録をまとめながら思い返すと、
服薬の管理を始め、嗅覚と味覚がおぼつかなくなり、同時に物盗られ妄想が
頻繁に出てきました。それでも趣味だった短歌は何句でもよどみなく言え、
歌ったり、人との会話も好きで生涯社交的でした。
きっと一方通行で順次脳が壊れ始めていったのではなく、
行ったり来たりの戻りがありながら、10年近くを過ごしてきたように感じます。

亡くなる少し前の会話では、5人の兄弟姉妹だったことを詳細に話し、
特に10年以上前に亡くなっていたすぐ上の姉の話はしっかりしていました。
遠い東京に住んでいるから会いたくてもすぐに会えないと言い、
幼い頃や青春の頃の思い出話が生き生きと伝わってきました。

人間の脳科学は未だ解明できておらず、入り口に入ったところだと
話された科学者がおられました。
一人ひとり個別性が高い思い出話(自伝的記憶)を事例として積み重ねていくと
少しでも紐解くことになるのではと考えています







短編フィルム「アルツハイマー病とは?」

2020-04-15 13:33:17 | 研究関連
新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言はひとり一人へ出されているという
意識を持つとともに、自分が感染しているかもしれないという思いを持ちながら、
最低限の行動を取るように今は生活を律していかなければいけないという気持ちです。
同居家族以外の3才から94才までの関係者は固定電話、スマホメールとライン及び動画電話、
パソコンメールのやり取りのみです。

そんな環境の中で、一昨日は初のオンライン講義がありました。
外出しないで受講できるのは心理的にはとても健康的で有難いです。
受講者は5人でしたが、立ち位置や研究内容は異なる中で、やっと認知症に関する研究の
共有感を持つことができ嬉しく思いました。

今日は「アルツハイマー病とはどんな病気?」というポケットフィルム作品をご紹介いたします
「What Is Alzheimer's Disease?」
*writer,director : DAVID SHENK

www.AboutAlz.org
時と場所を選ばず閲覧できるように考案されています。
商用・営利目的以外のご利用は無料です

4月から研究再開

2020-04-06 21:05:02 | 研究関連
日本だけではなく、世界中が新型コロナウイルス感染症で不安な毎日です。
桜の花が満開な中で、より一層敏感に周囲の雰囲気を感じて
不安になられている人も多いかと気にかかります。

私自身は3月末に帯状疱疹にかかり寝られない日が続きました。
やっと落ち着いてきた時には新型コロナウイルス感染者が増加しており、
4月に入っても益々落ち着かない日々が続いています。

そんな中ですが、4月から「認知症.青年期記憶.音楽」をキーワードにした
文献研究とともに、20年近く継続している音楽療法の臨床研究に関して
京都大学医学部人間健康科学科の研究生として学ぶことになりました
修士論文を仕上げてから10年以上の年月を経ていますが、
再度研究をする時間をいただけたことに感謝しながら、
出来ることを積み重ねていきたいと思っています。

私の実父と義母が認知症を患っていたことから、介護家族の当事者として
事例研究を大切にしながら、「現場の声」を研究の基礎と捉えたいと考えています。
認知症を患っておられるご本人、介護されているご家族を始め、医療関係者、
介護、福祉及び施設関係者、友人他の皆様にご教示いただけましたら幸いです。

今は新型コロナウイルス感染のため、大学は4月中の対面する
講義やゼミなどは全て休止になっています。
その代わりに電子図書館の利用やオンライン講義などが予定されています。
「Stay Home」のこの貴重な時間をマイペースで過ごしながら・・・