音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

思い出がいつか力に・・

2011-04-09 07:24:10 | 音楽雑記
風雨を凌ぎ、厳しい暑さや寒さに耐えられる家屋と
命を守る水や食べ物などの衣食住に関する物理的条件が整うことを
「マズローの欲求5段階説」の底辺として示されています。
その底辺の安定があることによって自ら挑戦したり、
乗り越える精神力が生まれてくると学びました。

私たちの音楽療法の実践においてもその底辺が安定している状態で
実施されており、5段階の上部の自己実現として「その人らしさ」に
寄り添いながら活動することが多い現状です。

今回の東日本大震災において届け出があっただけでも行方不明の人が
1万5千人近くおられ、さらに増えることが予想されています。
捜し求める活動も行われていますが、限界があり心が痛みます。
ただ、いつの日か大切な人との思い出が残られて生きていく人にとって
大きな励みになり、一歩前へ進む力添えになると思います。

叱られたこと、喧嘩をしたこと、そっと声をかけたこと、一緒に泣いたこと、
見送ったこと、笑ってくれたこと、一緒に歌ったこと・・・
多くの情景が感情とともに「その人だけの思い出」として宝になってきます。
震災を受けられた県知事自らが「被災を受けていない皆様はいつも通り
元気に暮らしてください」と言われた言葉に力をいただいています。

最期に思い出す歌

2011-04-03 23:34:47 | 音楽雑記
4月に入って三日目を迎えました。
どのような震災があろうと・・・春はやってきます。
ここ奈良でも桜は咲き始めましたが、なぜか遠慮気味に映ります。
一足早く咲いている馴染みの枝垂れ桜を愛でながら、
いつもとは異なる「感謝する幸せ」を感じています。

まだまだ癒えない大震災の傷跡から故郷の未来が見えてきません。
辛抱強さの東北魂を尊ぶ一方で、未曾有である大震災の未経験ゆえに
閉ざされている心があるのでは・・・と気にかかります。
オリンピックや世界大会の時に「ニッポン!」と応援するような
一体感が感じられるのは救いになります。

もったいない気持ちを大切にしていた祖母の暮らし方が甦ってきました。
食べ物を大事にすることは言うまでもなく、
洗濯物をお日さまに当て過ぎると生地が傷むと言われたこと、
太陽の光がある時間は働ける時だと言いながらよく動いていたこと、
朝起きた時と寝る時には箒をかけていたこと・・・。

身体を動かすことを惜しまなかったのか、じっとしていられなかったのかは
分かりませんが、終生着物で過ごした明治生まれの祖母の暮らし振りが
なぜだか懐かしく思い出されます。
亡くなる前に歌を口ずさみ、「最後まで歌えた」と母に言ったそうです
それを聞いた時から「最期に思い出す歌」が、私の課題として残りました。