音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

美しき天然の音楽♪

2021-04-25 07:46:31 | ひとりごと
新緑眩いこの季節は早朝に窓からさしてくる薄明かりが心地良いです。
気分に合わせた音楽を聴き始める、読書をする、時々散歩をする・・・

今朝は薄い春コートを着て散歩をしてきました。
玄関を開けて少し歩くとウグイスが挨拶代わりに鳴いています。
小川のせせらぎの音に気持ち良さが重なって足取りが軽くなったように感じていると、
天高くひばりが鳴いていて「♪おおひばり~高くまた~」のメロディが聞こえてきます

♪おおひばり(ひばりの歌)
   訳詩 高野 辰之  作曲 F. メンデルスゾーン
 おお ひばり  高くまた 軽く(かろく)なにをか うたう
 天のめぐみ 地のさかえ そをたたえて うたう そをことほぎ うたう

自転車道にもなっている川沿いの散歩道にはタンポポの綿毛が綺麗な姿で
残っています。幼児が一緒ならそっと吹いて綿毛を飛ばしているのですが・・。
早朝にも関わらず多くの人が歩いておられました。
押し車を押しながらゆっくりした足取りの人、会話をしながらの三人グループの人、
黙々と速足を意識した人、子犬の散歩をしながらの人・・・

道沿いにある畑には絹さやや実エンドウの白色と紫色の花が咲き、
川面に見えたさざ波の下で鯉が泳いでいます。
その川岸にスカンポの群れが見えています。またまた、メロディが聞こえてきます

♪酸模(スカンポ)の咲く頃
    作詞:北原白秋 作曲:山田耕作 
 土手の酸模 ジャワ更紗 昼は蛍がねんねする 僕ら小学尋常科 
 今朝も通ってまたもどる 酸模 酸模 川のふりち 夏が来た来た ドレミファソ

‘蜜蜂と遠雷’より (恩田陸.㈱幻冬舎.2016)
『・・本来、人間は自然の音の中に音楽を聴いていた。
その聞き取ったものが譜面となり、曲となる。・・』
『・・なんだろう、音楽って。音楽の進化って、なんなんだ?
それは人類に何をもたらしたのか。太古より人間と音楽は分かちがたく
結びついていたが、それはなんのためなのか。・・』

心の栄養♪

2021-04-24 21:34:17 | ひとりごと
奈良県において新型コロナ感染症者数がここ数日で過去最多の125人から
100人前後で続いており、悶々とした気持ちと爽やかな晴れのお天気との
心の距離感が取りにくい現状です。
当然ですが、越県出来ず母への面会には断りを入れ、手紙と写真を送付することにしました

正月のウイーンフィルハーモニーのニューイヤーコンサートを思い出してみました。
開催するかどうか団員で何か月もディスカッションした結果、
音楽・文化・劇場をいかなる状況でも無くしてはならないという結論になり、
開催に向けて楽器を演奏する時の状況を科学的に調べ、どのようにしたら良いのか考え、
楽団員と家族に毎日の検査を徹底することにしたとのこと。
演奏を私たちからの世界への前向きなメッセージとしたいと

心に潤いをもたらし、ふわふわの柔らかい布団にくるまれたような幸せ感を
音楽を始めとした文化はもたらします。明日への活力も与えられます。
ライブの音楽などは瞬間芸術として消えてしまいますが、心にはしっかり届いて残ります。
心の栄養を個人個人が意識して摂取し、明日への希望に繋がることを願います

失語症の母に心を寄せながら

2021-04-16 17:21:52 | ひとりごと
『失語症になった私から医療の現場で働くみなさんへ38のメッセージ』
 沼尾ひろ子 2018 (株)エスコアール

2006年に突然脳梗塞を発症し、失語症と診断されたフリーアナウンサーの沼尾さんは
失語症になった患者の立場からみえてきたコミュニケーション技術を
上記の著書で伝えられています。

始めは失語症になった母のことを理解する為に読み始めましたが、
私たち音楽療法士が資格を取得する時の講義を思い出しながら、
改めて大切な内容としてじっくり噛み締めて読んでいます。

私たち音楽療法士は音楽を介したコミュニケーションを仕事としています。
時には音楽無しでのコミュニケーションを重んじることもあります。
コミュニケーションのツールは言葉(言語)だけではなく、表情、態度、声のトーンなど・・
非言語コミュニケーションの大切さに共感しながら

著書では、一言かける言葉に対して‘希望の光を差し込む’のか、
‘前向きな気持ちをそぐ’のか・・、と問いかけ、
言葉の捉え方というのは、励ましに聞こえたり、意地悪に聞こえたり、
その人の置かれた状況や心理状態によって大きく変わります。
『一番大切なことは患者に寄り添うこと』だと明言されています。
丁寧な言葉遣いで、本人の目をしっかり見て、はっきり尋ねて下さい、と

さらに、沼尾さんは、SLTA(標準失語症検査)について、
ルーティンのように最初に必ずやるべき必須検査と決めつけず、
今日は行わないという勇気も必要でしょう、と記され、
‘できないことより、できることをカウントすること’、
‘マイナスワードではなくプラスの言葉をご本人に伝えること’の
重要性を記されています。

失語症の母とのコミュニケーションについて考えると、
言葉のやり取りとしては週に一回は長電話で他愛もない話をしていたことが
今の現実では出来なくなりました。
今のコミュニケーションは面会出来た時に梗塞していない手を握りながら
「聞こえたら手を握って答えてね」と言うと、しっかり握り返します。
目の開け方、表情で伝えていることはとても多く感じられます。

今はそれだけのコミュニケーションですが、‘分かっていてくれていること’を
実感し、確信して家族と共有しています。
母の好みの音楽は分かっていますので選曲しながら耳元で流し、
大好きな孫たちの動画を見て貰いました

ただ、コロナ禍の厳しい現状では面会は思うように出来ず、
少しでも会える時間、日数が増えることを願って可愛い動画を溜めながら、
遠い地から想いを巡らしています

新年度の音楽♪

2021-04-09 19:56:38 | ひとりごと
新学期を迎えるこの季節は心が弾み、色とりどりの春色の花も喜んでいるように見えます。
華やかな八重桜が満開の公園では例年より早く咲いた藤の花が静かに寄り添っています。
コロナ禍では知らず知らずのうちに少し気持ちを抑えながら生活を送っていますので、
新緑とともに綺麗な花を見ているだけで心が休まります

心躍る新しい学年になると音楽の教科書を見たくなります。
80才以上の高齢者の人を対象にした音楽療法では現物は欠かせません。
昭和7年発行の新訂尋常小学唱歌の教科書と見比べながらのひと時になります。
戦前に習った音楽からどのように変化しながら現代に歌い継がれているのかを
お伝えしながら、実物の教科書をご覧いただくと異口同音に驚きの声が上がります。
とてもカラフルなこと、多様な音楽が溢れていること、知っている歌があること

小学校一年生の音楽教科書には文部省唱歌、わらべ歌、童謡、季節の歌、
遊び歌(縄跳び歌、手遊び歌、楽器遊び、リズム遊び、フルーツランド他)、
クラシック音楽などの幅広い音楽が掲載されています

新訂尋常小学唱歌第一学年用に掲載されている♪ひのまるの歌詞は現代版と異なります。
季節の歌や童謡はよくご存知で令和世代の現代っ子と共有できます。
手遊び歌は世代間交流する時に欠かせません。交流で笑顔が溢れるひと時は
新型コロナ感染症がある程度落ち着いてこないと難しいですが・・・。

音楽はライブの楽しみを共有できます。リズムを身体で感じ、響く音色に耳が目覚めます。
子供たちには他の教科では味わえない音楽のひと時を身体全体で感じて欲しいと願います。

私自身も先日一年半振りにピアノトリオの生演奏の機会を持ちました
演奏が始まると一瞬で響き合う音が身体全体に降り注ぎ、別世界へ誘われましたが、
脳梗塞で入院している母が一緒に行きたいと言っていた演奏会でしたので、
一曲目の♪愛の挨拶で胸がいっぱいになりました。

子供たちには身体いっぱいに感じて、心を開放して楽しめる音楽の授業になりますように・・
ライブ演奏が多くの学校で開催されることを心から願っています


脳梗塞で入院した母のその後

2021-04-03 07:13:49 | ひとりごと
3月19日の当ブログのひとりごとで脳梗塞で入院した母のことをお伝えしました。
色々とご心配をおかけして、励ましのお声かけもいただいております

その後は状態(軽い肺炎、微熱、下痢、痰吸引)に大きな変化はなく、3月22日に医師との面談を経て、
中心静脈カテーテルの処置をすることになりました。
先週は関西のコロナ感染者が増えてきましたので、面会を遠慮して、
兄夫婦からの報告を待つことにしました。

その後、状態が良くなったということで本日中心静脈カテーテルを外すことになりました。
90才を超えた超高齢者の母が頑張っていることに家族皆が元気をいただきました。
さらに、前回の面談では医療型療養施設を紹介されていましたが、カテーテルが外れることで
在宅型有料老人ホームの紹介に変わりました。

カテーテルが外れることを想像していませんでしたので、兄夫婦からの連絡に
とても驚きました。嬉しい報告は直ぐに家族で共有して母の頑張りに感動していますが、
コロナ感染者が増えている中で無理に越県して行くことは出来ないので、
ビデオ映像やスマホの動画電話で対処してもらうしかありません・・・

奈良の桜は散り始めてきました
暖かくなった新緑の頃には遊びに来てもらう予定でしたので、
今度面会できる時には奈良のビデオ映像をいっぱい届けたいと思っています


一年間の認知症研究を終えて

2021-04-01 23:09:58 | 研究関連
昨年の4月6日にこのブログにおいて研究生活の再開を
お伝えして早いものでちょうど一年になります
「認知症ケアにおける音楽と青年期記憶に関する研究」という
研究題目に関わり、京都大学医学部人間健康科学科の教授に
ご指導いただきました。
認知症専門医でもあり、最前線の研究者でもある中で音楽療法も
認知症ケアのひとつであるというご認識をいただき所属を許可して
いただきました。(医学部教授会の議を経ています)

この一年間の研究に纏わる講義内容及び認知症の学びに繋がった論文及び
書籍などは認知症ケアの関係者及びご家族に共有していただきたく
その都度ブログでお伝えしてきました
修士論文に関わってから14年の年月を経て新しい研究内容に触れることは
とても興味深く、楽しい日々でした。
その間に老親二人が認知症を患い、まさに家族の関わり方に悩みながらも
実体験したことが研究の後押しになりました。

アルツハイマー型認知症に関する治療方法は未だ解明されておらず、
服薬も含めて様々な角度から治療及び支援がなされています。
地域においても医療だけではない、包括支援センター始め地域活動として
多くの人が関わることで認識を共有して認知症を患っておられる人に
寄り添っていく社会も築かれてきました。

一年間の学びを終えた結果として、一応論文形式のレポートを提出しました。
教授からは今後も患者さんの思い出に寄り添う音楽療法の継続を希望していただきました
日本音楽療法学会、日本老年精神医学会などで多くの医師との関わりがありましたが、
少しでも音楽で癒されたり、活力のひと時に繋がったりすることを希望されており、
そのお気持ちが国家資格ではない私たち音楽療法士の背中を押していただいている現状です。

今後も認知症を患っておられる人に「パーソンセンタードケア」の精神で
関わりながら、ご本人からも多くを学ばせていただくひと時を大切にしたいと思います