Mars&Jupiter

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イストヴァン・アンハルトの幻想曲、パーヴォ・ヤルヴィのブラームス、そしてcopo do dia

2008-06-08 06:03:40 | 古典~現代音楽北アメリカ編
昨日は天王町駅からみらとみらいまで歩きました。
途中西横浜から藤棚の商店街を抜け、もみじ坂を下り、
ランドマークタワー近くのみなとみらいホールまで歩いた。
途中聴いたのは、1919年生まれのアインハルトの曲。
アインハルトはハンガリー生まれの作曲家で、
ハンガリー王立音楽院で音楽を学び、
1946年から46年にかけてはパリの音楽院で学んだ。
1949年にはカナダに移住した人物である。
この幻想曲は1954年に作曲されたピアノのための作品である。
ゆったりとした感じで始まる幻想曲は、即興風である。
自由にのびのびとグールドは演奏しているが、
演奏上は難しいところはもちろんあるし、
ぶつかりあう不協和音の響きは現代的である。
セリー音楽に傾倒していた時期である。
東洋思想に触発されて生まれたこの偶然性の音楽は、
幻想曲の中にも確かに認めることができようだ。
アインハルトはその後電子音楽へと傾倒していき、
教育活動にも力を入れていくので、この作品は、
比較的初期の作品といえるのだろう。

みなとみらいホールではブラームスの交響曲を聴いた。
指揮者はパーヴォ・ヤルヴィーで、
フランクフルト放送交響楽団による演奏である。
とにかく、フランクフルト放送交響楽団の管楽器が素晴らしい。
ブラームスの交響曲においていかに管楽器が重要なのかを
伝えてくれる演奏であり、ブラームスはそれぞれの要所で、
ホルンなど各楽器の持ち味を曲の中で活かしているのだ。
交響曲第4番は四楽章で聴いたフルートのソロがよく、
印象的であるとともに感動的であった。
第4番は抑制が効きすぎたともいえる曲だ。
パーヴォ・ヤルヴィーの今回の演奏会で目指す試みからすると
一番難しい曲かもしれないとは思った。
老いたブラームスの中に秘めた情熱をみたといっていいだろうか。

交響曲第2番はなかなかの名演であり、
私からみると第2番の演奏の方が好みである。
パーヴォ・ヤルヴィーの今回のねらいに合致した曲で、
ともすると重厚になりがちなブラームスの演奏ではなく、
そのよくある演奏の贅肉を取りつつ、躍動的な、
そして各楽器の良さをそれぞれ引き出しながらも、
溌剌とした若いブラームスの情熱を描き出した。
フランクフルト放送交響楽団も彼の期待に応え、
きびきびとした機能的な演奏を展開したと思う。
最初のチェロやコントラバスを中心に始まる旋律の美しさ、
そしてオーボエやクラリネットののどかで美しい音色、
なんといってもホルン奏者の演奏は素晴らしい。
アンコールではホルン奏者だけによるホルン四重奏があったが、
その楽団員の演奏能力の高さや優れた実力を実感した。
ブラームスの交響曲における特にホルンの扱いは重要で、
それをパーヴォ・ヤルヴィーはうまく活かし、
今までになかったブラームス像を描くのに成功したと思う。

演奏会を聴いたあとは西荻窪のcopo do diaに向かい、
ボサノヴァ・ライブを聴きに行く。
心地よい演奏を聴きながら、カイピリーニャを飲みながら、
音楽三昧の一日であったなあとつくづく思ったのである。
コメント
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