Mars&Jupiter

おおくぼっちの屋根裏部屋へようこそ!

ヴィクトル・カラビスのトランペット協奏曲「ヴィルヴィエイユの太鼓」作品36を聴く

2023-01-29 14:41:59 | 古典~現代音楽チェコ編
妻の母が1月上旬に亡くなり、葬式も終わり、
あわただしいところがようやく終わりました。
今日からブログを再開し、東欧編を続けようと思います。
ホームページの音楽研究室のページも少し変えて、
東欧の地域はもう少し細かく国別にするなどの整理をしました。
さて今日は1923年生まれのチェコの作曲家カラビスが、
1973年に作曲したトランペット協奏曲作品36、
「ヴィルヴィエイユの太鼓」について触れる。
今回聴いたCDはミロスラフ・ケイマルのトランペット、
ミロシュ・コンヴァリンカ指揮、プラハ放送交響楽団の演奏である。
この作品はモーリス・アンドレのために作曲しようとしたが、
アンドレが初演で演奏することはかなうことができなかった。
このCDは1986年3月28日の初演を録音におさめたものである。
ヴィルヴィエイユはフランスのプロヴァンスにある一地名である。
CDの解説では彼が妻と一緒にフランスに旅行に行ったとき、
プロヴァンスの絵のように美しい小さな村の祭りで、
古い太鼓を叩く小さな石膏像を目にした体験が、
この作品の成立に関係しているようだが詳しいことは分からない。

第一楽章アレグレット・モデラートは、木管楽器の音に続き、
トランペットが軽快に旋律を奏でて始まる。
打楽器や金管楽器が戦争を思わせる感じで、
ショスタコーヴィッチの音楽を想起させる。
一方リズミックな部分はストラヴィンスキーからの影響を感じる。
トランペットはそんなことは無関係に、自由な旋律を奏でていき、
最後は長い音を続ける中、穏やかに終わる。
第二楽章アンダンテ-ヴィーヴォ-アンダンテ-
アレグロ・ヴィーヴォは、弦楽器が重々しく旋律を奏で、
太鼓がそれに呼応し、やがてトランペットのソロが続く。
そして太鼓など激しいリズムを叩いた後、弦楽器のみの部分となる。
やがて金管楽器が加わり、重々しくなり、木管楽器のみの部分が続き、
激しい太鼓のリズムが続き、再びトランペットの音が入る。
音楽は荒々しい部分を見せながらシリアスに進行し、
トランペットがところどころで入り、徐々に盛り上がっていく。
最後は打楽器とトランペットで盛り上がったところで終わる。
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パンチョ・ヴラディゲロフの3つの演奏会用小品作品57を聴く

2023-01-04 22:21:44 | 古典~現代音楽バルカン地域編
今回は1899年生まれのブルガリアの作曲家の
パンチョ・ヴラディゲロフが、
1959年から1960年にかけて作曲した、
3つの演奏会用小品作品57について触れる。
今回聴いたCDはアレクサンドル・ヴラディゲロフ指揮、
ブルガリア国立放送交響楽団の演奏である。
なお、アレクサンドル・ヴラディゲロフは彼の息子である。
パンチョ・ヴラディゲロフはスイスで生まれたが、
その後ブルガリアで育ち、少年期からピアノと作曲を学び、
その後はベルリンに行き、ピアノと作曲を学んだ。
プロイセン芸術アカデミーでは、
ゲルンスハイムなどに作曲を師事したようであり、
帰国後はブルガリア国立音楽院の講師として招かれ、
その後はピアノ科教授として就任し、
教育活動の一方創作活動も積極的に行ったようである。

第一曲アリオーソは、のどかで牧歌的な曲である。
民謡的な旋律が木管楽器により歌うように奏でられる。
その旋律を弦楽器も引き継いだりもして、
ハープも加わり幻想的な感じにもなる。
第二曲カプリースは、軽快な旋律が奏でられていく。
明るい旋律が自由に展開されていき、
盛り上がったところで終わる。
第三楽章アジアの踊りは、荒々しい舞踏の音楽で始まる。
明るい曲調で、金管楽器も加わり盛り上がっていき、
最後は高揚したところで終わる。
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エミル(エミール)・タバコフのヴィオラ協奏曲を聴く

2023-01-02 21:19:59 | 古典~現代音楽バルカン地域編
今回からは東欧世界の音楽をとりあげていきます。
今日は1947年ブルガリア生まれのエミル(エミール)・タバコフが、
2007年に作曲したヴィオラ協奏曲について触れる。
今回聴いたCDはアレクサンドル・ゼムツォフのヴィオラ、
エミル(エミール)・タバコフ指揮、
ブルガリア国立放送交響楽団の演奏である。
タバコフはブルガリア北部のルーセで生まれ、
ブルガリア国立音楽アカデミーでコントラバスを学び、
マリン・ゴレミノフからは指揮法を学んだ。
またその後は作曲についても学んだようである。
デンマークのコペンハーゲンで1977年に行われた
ニコライ・マルコ若手指揮者コンクールで優勝し、
その後は指揮者としてルーセ・フィルハーモニー管弦楽団、
ソフィア・フィルハーモニー管弦楽団、
ベオグラード・フィルハーモニー管弦楽団など歴任し、
2014年にはブルガリア国立放送交響楽団の指揮者の地位に就いた。

第一楽章ラルゴ-ピウ・モッソ-ラルゴは、
ゆったりとしたヴイオラ独奏で始まり、重々しい感じで始まる。
協奏曲というよりはヴィオラ独奏によるつぶやきの部分と、
他の楽器がそれにのみこまれながら背景のように音を出し、
殺伐とした荒涼感を表現しているかのようである。
ヴィオラは語りかけてくる感じであり、
他の楽器とともにせわしい感じになり、切迫した感じになる。
そのあとは再びゆったりした感じでヴィオラ中心に音楽が展開され、
再びせわしない感じになり盛り上がっていき切迫した感じになり、
それが終わるとヴィオラ独奏の部分となり、
最後他の楽器も加わり神秘的な雰囲気の中静かに終わる。
第二楽章ラルゴは、ヴィオラ独奏で始まり、深遠な感じである。
他の楽器とも絡みながら、神秘的な音の世界がつくられていく。
ヴイオラ中心に独白時には対話のような音楽となり、最後静かに終わる。
第三楽章プレストは、4つの音からなる音型が変化しながら繰り返される。
追いつめられるような感じのこの4つの音型はとても印象的である。
いったいこのあとどうなるのかの不安感を持たせる。
その音型にヴィオラ独奏が絡んでいき、面白い。
途中静かになりヴィオラ独奏が歌うように奏でる部分があるが、
再び4つの音型が繰り返されていき、盛り上がったあと、
静まるがその中でも4つの音型はヴィオラに引き継がれ、
最後はピッコロの音とともに静かに終わる。
なかなかタバコフの音楽も面白い。
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