写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

木曽・御嶽山噴火

2014年09月29日 | 季節・自然・植物

9月28日、長野、岐阜県境にある標高3067mの御嶽山が突然噴火し、火砕流などで登山者らに多くの被害者が出た。

 御嶽山といえば、登ったことのない私でも「木曽節」の歌詞で名前だけはよく知っている。
 ♪ 木曽のナー 中乗りさん 木曽の御岳(おんたけ)さんは ナンジャラホーイ 夏でも寒い ヨイヨイヨイ ハー ヨイヨイヨイノ ヨイヨイヨイ~ ♪

 「御嶽山は噴火の記録も活動もない死火山だと思われていたが、1968年ごろから火山活動の兆候が表れた。1979年にはとうとう噴火し新聞記事に『有史以来初めて』と報じられた。この突然の噴火をきっかけに、休火山や死火山の分類がなくなった。

 地質調査の進歩で、数万年に1度噴火する火山もあることが分かり、歴史記録での分類はあまり意味がないとされた。人の歴史など火山にはほんのつかの間のことに過ぎない。御嶽山も近年の知見では、過去1万年に4度の大噴火を起こしていたことが分かっている」と新聞記事に書いてある。

 ここ100年ばかりで、人類は急速に近代化を果たしてきた。古来、遠くから美しく眺めるだけであった月にまで行って帰ってきた。何でも科学的に分かるようになり、一般市民は、お上からの指示に従いさえすれば、身の安全は保てると思って生きてきたように思う。

 東日本大地震に伴う大津波や、広島市の大雨による土砂災害の被害は、過去にもあったことが後世に的確に伝承されていなかったことから、大被害をもたらした。今を生きる我々は、遠い過去のことは学ぶこともなく、知らずに過ごしている。

 このたびの御嶽山の突然の噴火は、現在の科学の限界を超えて起きた現象であろうが、大噴火という現象は遠い過去にも起きている。「何万年に一度」と聞くと、今日や明日のことではないと思いがちであるが、今日であるかもしれない。自然に対して恐れおののくことを軽んじてはいないだろうか。それとも起きることすべて、運命論でかたずけるしかないのだろうか。


ああ 秋ですね

2014年09月27日 | 季節・自然・植物

 ♪ 深い空から枯れ葉が舞って ああ秋ですね あなたが返した合鍵が似合う 無口な私になりました 季節の変わり目を あなたの心で知るなんて もう恋も もう恋も終わるのね ♪

 1980年中山丈二が愛用のギターと1本のテープを残して36歳の若さで逝去した。そのテープに入っていた曲がこの「秋冬」だという。1984年には高田みづえが「NHKの紅白歌合戦」にこの楽曲で出場した。優しく静かだが少し物哀しい秋の訪れを感じさせる私の好きな歌である。、

 間もなく9月が終わろうとしている今朝、庭に出て見ると、隣りとの境に植えてある3本のゴールドクレストが人の背丈の2倍にも高くなっている。余りに高くなっては手に負えなくなるので、梯子と電動ノコを持ち出し、背丈くらいの高さに切って芯を止めた。

 高い脚立の上で用心しながら切っている時、裏山の遠い所からツクツクボウシの力のない鳴き声が時を置いては聞こえてくる。この辺りはもうすっかり秋の気配。草むらでは虫が鳴き、ハナミズキも紅葉が始まっている。こんな時季、いくら鳴いたってお相手はもうとっくにいなくなっているだろうに、と思いながら聞いていた。

 このツクツクボウシは、季節の変わり目ではなく、季節外れに出てきたのでは、心を知ってもらう相手なんぞどこにもいない。恋の終わりならぬ、恋も出来ないツクツクボウシがかわいそうに思えた。

 今年の夏は大変な雨で、地上ではたった1週間で命を燃やし尽くすというセミの中には、地上に出るタイミングを失ったものもいるかもしれない。このツクツクボウシも、そんな1匹だったのかもしれないと思うと、ツクズク憐れで不憫ではある。

 


定年夫の自立

2014年09月25日 | 生活・ニュース

 24日の日経新聞の生活欄に、「定年夫 昼別居のススメ」と題して、定年後の男にとって大変参考になる記事が載っていた。

 「老後に男を上げるために必要な心得としては、毎日午前10時から午後2時ぐらいまでは外出する。妻が昼食の支度をしなくて済むから」 「妻との円満な関係の秘訣は、昼食は別々に取ること」 「家でゴロゴロされたのでは妻は心に負担を感じる。昼食の世話はその典型」 「自ら料理を作ることが効果的」 「料理を作る以外に妻と円満に過ごす工夫はのひとつは『プチ別居』。家の中で妻の趣味や交友を邪魔しないように自分の部屋を確保すること」 「要は、どれだけ妻の時間を大切にして過ごせるかである」と書いてある。

 「定年後はのんびり暮らすというだけではうまくいかないことを、男性陣はよく良く知っておいたほうがよさそうだ」と最後に提言してくれている。

 この記事を読んだ後、10年余りの私の定年後を振り返ってみた。毎日の昼食は殆んどは妻が用意してくれている。かと言って、昼間妻が出かけていくことを制約したことはなく、そんな日の昼食は準備してくれなくても何とか自分ですませることはできる。数日間放っておかれても、飢え死にするようなことはない。

 妻への負担を軽減するために、毎日出かけるということはしていない。どちらかというと家にいて、一人で趣味のことをやっているので、書いてあるように、妻へ負担をかけているかもしれない。定年夫の理想像は「亭主元気で留守がいい」と言われるが、留守をしない夫は、時には料理を作って、奥さんにサービスするくらいのことをしないと、本当に嫌われそうである。

 さてそこのご同輩、あなたの定年後はいかがですか? 「なに? もう嫌われているって?」。いやいやまだ間に合うかもしれません。今から何か一つ手料理を学んでみませんか。そういう私が作れるものといえば、焼きそばにパスタくらい。あとはレトルトの餃子やカップ麺。ちっとも自慢にはなりません。


職業意識

2014年09月24日 | 岩国検定

 このところ、ブログネタが毎回岩国検定のCD販売にかかることばかりで、申し訳ありませんが、もう少し聞いてください。

 50代後半のある男性が電話でCDを買いたいといい、我が家まで受け取りに来てくれることになった。待っていると直ぐにやってきた。玄関アプローチの椅子に座って少し話をしてみようと思った時、名刺を出して自己紹介をしてくれた。

 市内の大きなホテルの営業マネージャーの肩書があった。「この9月に入社したばかりで、まだ何も分かっていません」といって頭をかく。「それまではどこに?」「○○銀行にいました」という。定年前に出向したのかもしれないが、それ以上のことは聞かなかった。

 買ってくれる人に「購入の動機」を聞いている。この男性にも聞いてみた。「新しい職場では、多くの市内外のお客さんと接する機会が多くなる。その人たちから、岩国の歴史や史跡などについて何か聞かれた時、きちんとお話しできるように勉強したいと思います」と、殊勝な心掛けである。

 「このCDをしっかり活用して、お客さんに岩国のいい所をよくPRしてください」といってエールを送っておいた。こんな話を聞くと、この男性を思わず応援したくなった。職業柄とはいえ、なかなか前向きで職業意識の旺盛なひとである。2年前、「いわくに通になろう」の本を出版した時、観光バスやタクシー会社など観光にかかわる職場の人から注文があるかと期待したが、残念ながら何ら反応はなかった。

 こんな職業の人こそ、この本やCDを手に取ってもらいたいと思うが、私の一方的な思い込みに終わっている。しかしこの男性のように、職業柄とはいえ自らの意思で勉強しようとしている人もいる。人それぞれとはいいながら、職業意識を持って前向きに生きている人は若く溌剌と見えた。
 


振り込まれ詐欺

2014年09月23日 | 岩国検定

 「オレオレ詐欺」「還付金詐欺」「母さん助けて詐欺」と、高齢者をターゲットにした振り込め詐欺の被害拡大は、一向に歯止めがかからないという。

 今年の上半期で被害総額は何と268億円にも上った。振り込め詐欺はもちろん、架空の投資や債権の代金を請求するものが激増している。ある駅前の無人ATM店舗の入り口に警官が立っていてビラを渡し、それには「ここでオレオレ詐欺事件が起きました。注意してください」と書かれているという。警察も詐欺の防止に躍起になっている。

 そんな中、我が家に「振り込め詐欺」と言葉は似ているが、様子がまったく異なる「振り込まれ詐欺?」もどきの「事件」が起きた。2週間も前、東京に住んでいる86歳の男性から、いわくに通のCDを9枚もの注文が入っていることを、ゆうちょの「ダイレクトメール」を使って代金が振替られていることで知った。

 早速、CDを丁寧に梱包して礼状を添えて郵送した。その1週間後のことである。私が留守中、その人から電話が掛って来た。奥さんが出ると「代金を振り替えたいので、振替番号を教えてほしい」といった。事情を知らない奥さんは、電話機のそばに置いてある「振替番号」を教えた。すると翌日、またもや代金が振り込まれていた。

 電話をして確認してみると、どうやら、一度振り込んだことをお忘れになっていたようである。そのまま知らん顔をしておくわけにはいかない。2度目に振り込まれた9000円を返さなければならないが、手数料が450円いる。結局、手数料を差し引いた額を返却することで了承してもらい一件落着。

 「振り込ませ詐欺」が横行しているご時世に、「振り込まれ詐欺」に遭ったお話。ひょっとすると、この9000円、お金持ちの方からのカンパだったのかなと、送り返した後になって思っている。
♪ あのお金は 行って行ってしまった あのお金は 行って行ってしまった~ もうかえらない~ ♪ 
先日逝ってしまった作詞家・山本洋子の作った「よこはま たそがれ」を小声で歌ってみた。