写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

ポインセチア

2004年11月30日 | 生活・ニュース
 明日から師走。街は徐々にクリスマス色に染まり始めている。この時期には、普段飾り気のない店先にも、クリスマスフラワーとも言われるポインセチアが飾ってある。

 我が家も今日、ひと鉢買い求めてきた。 この歳になるまで、緑の葉っぱの上に鮮やかな「赤い花」をつけた植物が、ポインセチアとばかり思っていた。

 ところがドッコイ、「赤い花」と思っていたものは葉っぱであり、本当の花は「赤い花」の中心にこじんまりと鎮座しているざくろのような形のものだという。よく観ると膨らんでいて愛らしい。

 最近暇に任せて、身の回りの物を丁寧に観るようになった。しかし、自分のことはまだよく観ていない・・・
   (写真は、ポインセチアの「花」)

行秋の海

2004年11月29日 | 季節・自然・植物
 このところ、毎日が小春日和だ。毎年この時期にクリスマスイルミネーションを飾るが、今年は時期外れのような感じがする。

 とは言え、カレンダーは確実に12月になろうとしている。新しい光を買い求めようと、車で広島へ向かった。

 道すがら、大野浦の海岸に出た。海に突き出したイタリアレストランの海側の席に座り、軽いランチをとった。

 穏やかな陽射しを受けて、行秋の海には御神渡りのように光の筋がきらきらとはるか屋代島まで伸びて見えた。

 秋の海も、「ひねもす のたりのたり」の午後であった。
   (写真は、大野浦より屋代島あたりを望む)

アカシヤの花

2004年11月28日 | 旅・スポット・行事
 五月の末、妻と姉夫婦と念願だった満州・大連旅行に出かけた。凍てつく寒い朝、この地で私は生まれたと、母からよく聞かされていた。

 終戦直後、着の身着のままで引き上げて来たという。まだ幼かった私には、明確な思い出は殆どない。

 唯一、家の前のアカシヤ並木を微かに覚えているだけである。その大連に六十年ぶりの、言ってみれば里帰りをした。

 住んでいた場所をやっと探し当てた。そこには、あのアカシヤ並木は見当たらなかったが、街路の数本の木の枝には、母も見た遠い思い出の白い房が、たわわにぶら下がっていた。

(04.06.30毎日新聞「はがき随筆」掲載、写真は、アカシヤの花)

ケヤキ

2004年11月27日 | 木工・細工・DIY
 15年前、家を建てた。狭い中庭に背丈ほどの細いケヤキを記念樹として植えた。

 今は何と屋根の高さにまで成長し、毎夏、はしごを持ち出し、繁った枝を払うのが大変なほどになった。

 このケヤキにもいい所がある。夏の朝、心地よい木陰を作ってくれる。これを当てにウッドデッキの上に、この木を囲むように四角いテーブルを作ってみた。

 遅く起きた朝はここで新聞を広げ、ブランチと洒落込みたい。板子、いやフェンス一枚、外は騒がしい俗世間である。
   (写真は、ケヤキ付きのガーデンテーブル)

宮島遠景

2004年11月27日 | 生活・ニュース
 今日は定例のテニスの日。県境の小高い丘にあるコートに出向いた。

 早すぎたのか、仲間はまだ誰も来ていない。車から降りて、遠くに視線を向けると、見慣れた三連の稜線が眼に留まった。

 安芸の宮島の頂が、冷たい朝の空気の中でうっすらと蒼く霞んで見えた。山裾は今、秋真っ盛りの紅葉だったと妻が言っていた。

  (写真は、安芸の宮島遠景)