写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

働き方改革

2019年05月30日 | 生活・ニュース

 24時間営業のコンビニを、夫婦2人だけで経営していて健康を害したことが発端となって、コンビニ業界にも働き方改革が叫ばれ始めている。そんな中、夫婦2人だけで8人の子供を養うため、日中だけとはいいながら、ひとときも休むことなく、まさに、しばしも休まず働く「村の鍛冶屋」よろしく、せっせせっせと働き詰めの夫婦を毎日身近で見ている。

 言わずと知れた、我が家の店子であるシジュウガラのつがいの話である。今朝、2日ぶりに親の目をかいくぐって巣箱を覗いてみた。たった2日経っただけなのに、ヒナの外観は、あんなに赤い肌だったものが、毛が生えていて全体的に黒ずんできている。

 蓋をそっと開けたのだが、その物音に敏感に反応して2匹が大きく黄色い口を開けてエサをねだるような仕草をする。写真を撮ってすぐに離れたが、その直後、つがいがそろってエサを口にくわえて巣箱に戻ってきた。

 その後しばらく観察してみたが、オスとメスは数分ごと交互に餌を加えて戻ってくる。1分くらい巣箱の中にいて、またすぐに飛び出していくの繰り返しである。写真を撮るのも素早い行動がいる。ぼやぼやしていると、つがいと鉢合わせになってしまう。

 このような光景を見ていると、このつがい、働き過ぎではないかと思うほど頻繁にエサを運んでくる。8匹ものヒナがあんぐりと口を開けて待っていることを考えれば、致し方のないことに思える。私は暇なので、手を貸してやりたいが、こればっかりは手出しはできず、シジュウガラの働き方改革に苦慮している。

 それにしてもヒナが開けた大きな口の形が、ハートマークに見えるところが可愛い。

 


ヤマボウシの変身

2019年05月28日 | 季節・自然・植物

 ハナミズキが終わったこの時期、ヤマボウシの真っ白い花が咲き始めている。ヤマボウシの花は遠目にはハナミズキに似ているが、4枚の花弁にも見える総苞の先端が丸いのがハナミズキで、尖っているのがヤマボウシである。

 20年前に玄関のアプローチに植えておいたヤマボウシは、いまや3ⅿを超すほどの高さになっている。毎年花を咲かせるが、下の方にはほとんどつけず、上の方にだけ咲かせるので、咲き始めても、しばらくたってから気がつくというありさまである。

 つい先日のことである。2階に上がったとき、窓の下に見えるヤマボウシを見て驚いた。例年、清楚な真っ白い花を見せてくれるのに、ピンクのものが混じっているではないか。総苞の全体がピンクということではなく、絵具筆を適当に当てたように部分的に色がついている。

 昨年までは白1色だったものが、今年突然、部分的ではあるがピンクの花を咲かせるとは驚くばかりである。ネットで調べてみると、ヤマボウシとハナミズキの交配種でピンクの花を咲かせるものがあるようだが、それにしても突然色が付き始めるとは。

 ヤマボウシの花を見るたびに、いつも感じていることがある。いずれの花も、真ん中の緑の球を、花柄(かへい)という長い茎を上向きに真っ直ぐに立てて咲いている。1花たりとも、横を向いたり、ましてや下を向いて咲いているようなものはない。全員が「上向き」なところがいい。

 人間社会で言えば、全員が「前向き」な集団を思わせるところに好感が持たれる。梅雨に入る前の、初夏を代表する花の一つであるが、4枚の尖った総苞も凛としてすがすがしい。突然変異のようなピンクの花は、20年が経ち、少し色気が出始めたからだということだろうか。

 

 

 


全員無事誕生

2019年05月27日 | 季節・自然・植物

 2日前、シジュウガラが1羽だけ孵化しているのを、親のいぬ間に盗み見して写真に収めておいた。今朝8時過ぎに庭に出て巣箱を見るが、しんと静まり返っていて物音ひとつしない。親が中にいるかもしれないので、簡単に巣箱を開けてみるわけにはいかない。

 10分が経ったとき、親が巣箱から飛び立っていった。自らの朝食をとるためだろうか、それとも子供のエサを取るためだろうか。デジカメのスイッチを入れ、直ぐに脚立を立てて巣箱の蓋を開けてみた。8個全員が無事に孵化し、ひとつの赤い塊となって巣の真ん中で重なりあっている。蓋を開けた音に反応したのだろうか、ど真ん中にいる1羽が、黄色い口を大きく開けてエサをもらう体制を取った。

 ほかのヒナは静かに眠っているように見える。いずれも目はまだ開いていない。ともあれ、全員が無事誕生しているのを確認してすぐに蓋を閉じた。さあ、これから親のつがいは、入れ代わり立ち代わりでエサを運び込まなければいけない。

 1週間もすれば羽も生え、鳴き声も聞こえてくるに違いない。その頃もう1回くらい、写真を撮るチャンスを狙ってみたい。親のつがいだけでなく、シジュウガラだけに私もシジュウ見張っておかなければならない日が続く。忙しい人には到底できない「野生動物写真家」もどきを、連日好きで演じている。

 


啐啄同機(そったくどうき)

2019年05月25日 | 季節・自然・植物

 1週間前、シジュウガラが巣箱の中に8個の卵を産んでいることを確認していた。このところ、メスは巣箱の中で生活する時間が長くなっている。そうか、卵を抱いているに違いない。それにしてもオスは全くと言っていいほど近寄ることはなくなっている。

 抱卵後、2週間もすればヒナが孵ることは10年前の経験で知っている。昼前、30分ばかり辛抱強く待っていると、メスが巣箱から飛び立っていった。その時がやってきた。「今だっ!」。デジカメを手に、脚立を立ててそっと巣箱の蓋を開けてみた。

 卵の上に、孵ったばかりであろう、1羽の真っ赤なヒナがうつぶせになってじっとしている。無事に第1子が孵化しているのをデジカメに収め、そそくさにその場を離れた。その調子でいけば、ここ一両日で全数孵化するのであろう。

 そう思いながら巣箱に目をやったとき、蓋の上にオスがやってきた。そうか、オスはいつも遠くから孵化するのを待っていたのだろう。巣箱の出入り口から顔を出しているメスと2、3言何か会話をしたように見えたが、さあ、これからはエサの調達にこの夫婦は忙しくなる。

 ある講演会で「啐啄同機」という言葉を聞いたことを思い出した。「啐」は、卵がかえる時、卵の中で雛がつつく音。「啄」は母鶏が殻を噛み破ること。意味は、卵が孵化するときは、卵の中のヒナが殻を自分のくちばしで破ろうとし、また母鶏も外からその殻を破ろうとする。そのタイミングがピタッと一致するからこそ、ヒナ鳥はこの世に生を受けて外の世界に出ることができる、という禅語である。絶妙な自然の摂理の時を「啐啄同機」という。

 こんな小さなシジュウガラにも、自然の摂理が備わっていることを目の前で確認できた。巣箱から「チイチイチイ」という鳴き声がにぎやかに聞こえる日も遠くない。これから2週間後には早くも巣立ちするというが、全員無事に巣立ってほしいと思いながら日がな一日じっと巣箱を眺めている。

 

 


カープ勝率推移

2019年05月24日 | 生活・ニュース

 2019年の広島カープは「水金地火木ドッテンカープ」とのキャッチフレーズで、開幕戦は幸先よく巨人に快勝し、今年こそ4連覇を達成し、悲願の日本一を目指す年だと思っていた。

 ところが、丸が抜けた穴は思いもかけないほど大きく、打線のみならず守備にまで異変をきたし、4月の19日までで6勝12敗と、何と最下位を低迷するばかり。連敗に次ぐ連敗で「データからいえば、こんなに連敗したチームが優勝する確率は0%」と新聞テレビで揶揄されっ放しの出だしであった。

 ここで再び、ところがである。4月の半ばより8連勝をしたと思ったら、5連敗。その後も小さな連勝連敗はあったものの、 5月11日よりなんと9連勝し、ついに巨人を差し置いて首位に躍り出たではないか。

 こうなると、出だしの絶不調の頃は、ほぼあきらめムードで冷ややかにテレビ中継を眺めていたが、今は違う。勝率の推移をグラフにして、カープの破竹の勢いを目で見えるようにしてみた。現在の勝率は、昨年の優勝勝率である0.582を上回る0.591。よしよし、この調子で行け。

 そんな今日(24日)からは、宿敵巨人との3連戦だ。悪くても2勝1敗で行けば、2ゲーム差となるが、3連勝でもすれば4ゲーム差となって、優勝へまっしぐらとなるかもしれない。今夕は、早くからテレビ桟敷に座って、ノンアルコールビールの美酒となるかどうか。楽しみが増えた。