写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

距離を置く

2020年05月05日 | 木工・細工・DIY

 初夏を通り過ぎて真夏日もあった今年の連休であるが、どんなに天気がよかろうとも家から1歩も出ることなく、素直に健気に毎日外出の自粛にこれ努めている。

 新聞に掲載されている読者投稿の川柳に、同感できる面白いものが載っていた。コロナ禍の今、日々の暮らしの感染対策として、人との距離はできるだけ2m空けると示されている中、「オレなんざ もともと距離を 置かれてる」と詠んでいる。

 職場で何かと煙たがれ、周りのものからいつも距離を置かれている男が詠んだ句であろうが、そんな扱われ方が、いま活きているというところが面白い。今の私は、周囲の人から距離を置かれているわけではなかろうが、この時期、人との交流は全くない状況が続いている。

 そんな中、一人遊びをするとなるとDIYである。先日サンデッキを作った後、奥さんが「デッキの上に散らかっている上履の入れ物を作って欲しいわ」という。見ると、大小さまざまな上履きが乱雑にデッキの上に散らかっている。

 他人との距離はあけられているが、奥さんとの距離まで空けられてはいけない。二つ返事で要請に応じることにした。材料は、解体したデッキのものがたくさんある。それを取り出して3段のラックを簡単に作った。

 作った後に気がついたが、2*6材なので、奥行きが15cmしかない。これでは上履きの半分がはみ出てしまう。全く同じ寸法のものをもう1基作って一体化しなければいけない。

 全く同じ寸法のものを別なタイミングで1から作るという作業は、結構時間がかかる。1基目の2倍近い時間をかけてようやく作り終えた。

 完成品は結構重い。奥さんと2人がかりで持ち上げてデッキの上に据え付けた。「きちんと整理できるようになったわ」と、ご機嫌だ。これで奥さんとの距離が少し縮まったような気がするが、相変わらず3mくらいはありそうである。


完成 !!

2020年05月02日 | 木工・細工・DIY

 4月23日に着工したサンデッキが、9日目にして無事完成した。注文していた床板が入荷せず、3日間の手待ちがあったものの、雨の日もなく実働6日間ですべてを終えた。

 この度は、あらかじめ防腐・防虫の処理がしてある木材を購入したが、念には念を入れてキシラデコールという高性能な防腐・防カビ・防虫効果のある木材保護塗料を丁寧に塗りこみ万全を期しておいた。

 最後の1本のコースレッドを打ち込んだ後、まだ塗料の臭いがぷんと残るサンデッキに座ってコーヒーを飲んでみた。裏庭に出て飲むコーヒーとは何か一味違う。

 6日間の出来事ではあったが、1.5トンのトラックで資材を運搬し、奥さんと2人で重たい木材を運び込んだり、電動ノコで切断したり、手ノコで切り欠きを入れたり、塗装をしたり、100本余りのコースレッドを打ち込んだりした。

 そんな力仕事があったからだろう。ちょっと切りすぎた切り欠き個所などを眺めていると、作った人間にしか分からない作る段階でのいろいろな苦労を思い出す。そのせいかコーヒーの味が少し苦く喉を通る。

 オリジナルな物を作る時、どんなものでもそれなりに小さな工夫やアイディアのようなものが生まれる。出来上がったものをただ見れば何でもないように見えるが、そこには作った人にしか分からない小さな知恵が満載である。

 外出自粛をステイホームと言い換えてくれても、不要不急な外出を極力控えることに変わりはない。この9日間、DIYのお陰で出歩く必要はなかったが、サンデッキを作った後、次なるステイホームの課題を探すのが難しくなっている。


未完成

2020年04月28日 | 木工・細工・DIY

 「未完成」といえば、クラシック音楽に詳しくない人でも良く知っているシューベルトが作曲した「未完成交響曲」がある。未完成という言葉の通り、作曲者の死去や作曲の途中放棄、意図的に完成させなかった交響曲を総じて呼び、未完成ではあるが一応完成した交響曲として後世に伝えられている。

 一方、こちらは先日着工したサンデッキの話である。木材の調達をしにホームセンターに行ったとき、大引きは必要数の4本確保できたが、板材は半数の11枚しかなかったため、残り11枚を追加注文しておいた。

 買ってきた材料を使って、連日、汗をかきながら仕事を進めた結果、順調に工事は進んでいった。11枚の床板を張り終えて眺めてみると、疲れが吹き飛ぶくらいの満足の出来映えである。それにしても残りの板材が入荷したとの連絡がなかなか来ない。

 ホームセンターに催促の電話をしてみると、連休明けくらいになりそうだという。これもコロナ禍の影響だろうか。連休もあって物流が滞っているのかもしれない。

 現状は仕事量としては全体の8割方を終えたというところであろう。言ってみれば残る2割が未完成というところ。毎朝、コーヒーを片手に恨めしげに「未完成のサンデッキ」を眺めている。早くこいこい床板材!!
 

 


デッキ着工

2020年04月24日 | 木工・細工・DIY

 昨年の9月のことである。20年前に新設したサンデッキの床板の腐食が激しいところをめくってみると、床板以上に大引きが腐食していることが分かった。

 4m四方の床板を全部取り除くとともに、大引きも全て解体撤去した。DIYで直ぐに作り直してもよかったが、大引きの長さは4mもある。私の車で簡単に運ぶわけにはいかない。

 そんなこともあってこの半年間,そのままにしていた。ところが現在、コロナ禍のため外出自粛の強い要請が出ている。4月に入ってからは
、じっと家の中で過ごすばかりである。

 外に出るといっても菜園と庭に出て日向ぼっこをすることくらいの毎日を送っていたが、今一つ気分がしゃんとしない。そうだ、こんな時こそDIYでサンデッキを作ろう。そう決心して、ホームセンターに向かった。

  店員に聞いてみると、運搬用に1.5トン車を貸し出してくれるという。長さ4m・9cm角の大引きを4本と、長さ3.5mの2*6材の床板23枚を買い込んだ。恐る恐るトラックのハンドルを回してゆっくりと走らせる。「案ずるよりは産むが易し」の通り、難なく家まで帰ることができた。

 午後から、まずは大引きの設置工事を始める。先手(さきて)として奥さんが手伝ってくれるが、「女の人でこんなことができる人はいないわよ」など言われながら、穴を開けたり、ノコで加工したりして、まずは3
本を取り付けることができた。

 時計を見るともう5時になっている。こんなことをしていると、あっという間に時が過ぎる。外出自粛をしているときには、あんなに時間つぶしが難しかったものが、夢中になることがあると、こんなにも早く時間が過ぎる。

 この調子でいけば、1週間もあれば完成するだろう。今日もまた奥さんからいろいろ言われながらの工事が始まる。小言自粛を要請したいが、先手がいてこその工事である。ここは我慢我慢だ。


春の嵐の後始末

2020年01月13日 | 木工・細工・DIY

 穏やかな正月が終わろうとしていた7日の午後から8日にかけて、発達した爆弾低気圧が日本海を東に進んで、7日夜から荒れた天候となった。

 翌朝、強い風が吹いている中、取り立てて暴風対策をとっていなかった裏庭の様子を見に外に出てみて驚いた。3m四角の日除けテントの布が風にあおられて大きく破れているばかりか、アルミの骨も各所で折れたり曲がったりして使い物にならなくなっている。

 また、ガレージと裏庭の境界に設置しているフェンスのラティスの1枚が、風で破損して倒壊していた。いずれも私がホームセンターで買って帰り、DIYの腕で設置したものなので、クレームを付けに行くところはどこにもない。

 ここ数日は寒い日が続いたので、片づけることもなく壊れたままにしておいたが、道を歩く人から丸見え状態なのが気になっていた。今日(12日)も、依然としてどんよりとして暗くて寒い日であったが、気を取り直して復旧することにした。

 大竹のホームセンターに出かけて、既存のラティスと同じ寸法のものを買って帰り、奥さんを先手にして約1時間かけて直すことが出来た。考えてみると、このフェンスを作ったのはかれこれ7、8年前である。その間、何度も台風や突風に見舞われたが壊れることはなかった。
今回の風が、いかに強風であったかという証拠であろう。

 道に出て、作ったばかりのフェンスを見てみると「うん、なかなかいい」。満足しながら一人ほくそ笑んでいるとき、通りがかりの顔見知りのご婦人に見られた。ちょっと事態の説明すると「お正月からお忙しいことですね」と慰労のお言葉をいただいた。今年も家のDIYで忙しくなりそうである。