永い眠りから
薄い意識が現れる
まるで岩のようだった
私の存在の表面に
なんとなく気付く
かすかな線
革命の象徴
気付いたときにはすでに
爆発のごとく動き始めるのだ
線は強くなり
くっきりと表れたと思う間もなく
亀裂となり
段差が生まれ
破断面となり
激しい勢いで
壊れていく
剥がれ落ち
飛び散るもの
つい今しがたまで
私だったものが
冷たい物質に還っていく . . . 本文を読む
半年の間、「ジイジと北斗」を連載してまいりましたが、いかがでしたでしょうか
スケール号が活躍する舞台は五次元思考によって認識される宇宙空間です。
その世界観は、物語の中でもありますように、スケールの世界を想像しながら観る宇宙の姿なのです。
しかしもちろん、その実在の真偽を語っているのではありません。
真偽を言いだせば、分からないというほかはありません。
突き詰めて言えば、科学に基づく認識 . . . 本文を読む
(31)
バリオンの王宮では、スケール号とお別れの大宴会が催されていました。
いまさらですがバリオンの王様はどうやら派手好みのようです。
それは歓迎パーティの比ではありませんでした。
国中がお祝いムードのお祭りです。
巨大な天空のドームの下に設けられた、円形の舞台では様々な種類の楽団が明るい音楽を披露し、華やかな衣装を身に着けた舞踊集団が競うように踊りだしました。
鳴り . . . 本文を読む
(30)
「王様、よくご無事で。」
「おおフェルミン、お前こそ。」
「フェルミン、無事で本当によかった。」
フェルミンは喜びとともに王のもとに帰りました。
父母に抱かれると、フェルミンがまだ少女だったことが分かります。
バリオンの王様とタウ将軍、そしてスケール号の面々、エルも並び立って喜びの意を伝えあいました。
フェルミンにはスケール号の面々は初めてでした。
黄金の . . . 本文を読む
(29)
「緑の穴」の周辺が大火に見舞われたのは、黒旗を掲げる反乱軍が突然現れたその夜のことでした。
ダニールの指揮によって烏合の衆と思われていた反乱軍が強固な軍に変りました。
「緑の穴」は天然の要害で、洞窟はどこまで広いのか分からない鍾乳洞でした。
奥に逃げられたら長期戦を覚悟しなければなりません。
ダニールは中で戦うことを諦め、あぶり出し作戦をとったのです。
全員に . . . 本文を読む
(28)
白い剣士が黒龍の頭上に現われ、剣を頭に突き刺しました。
龍は身体を痙攣させて湖に沈んだのです。
「ちくしょう!」
一部始終を見ていたチュウスケは思わず叫んで黒い槍を全弾スケール号に向けて発射しました。
槍は空中に網の目のように拡がりスケール号を包み込むように襲いかかりました。
逃げ場がないのです。
「博士!チュウスケの攻撃です。空いっぱいに槍が飛んでくるでヤ . . . 本文を読む
(47)-2
黒龍が悲鳴とも雄たけびともつかない声を響かせてそのまま大空に舞い上がったのです。
女の子の剣は黒龍の首筋にあるウロコの隙間に食い込み、剣もろとも空に舞い上がりました。
黒龍の首は女の子が三人がかりで一周できるほどの大きさで、上空に舞い上がった姿は、手足の生えた大蛇そのものだったのです。
風に逆らいながら女の子は大蛇のたてがみをわしづかみにして身を立て直し、剣を . . . 本文を読む
(27)-1
「親分、あれは本当にスケール号ですかねポンポン」
「スケール号は銀色だったはずカウカウ?」
「色が違っても、あんな芸当が出来るのはスケール号しかいないだチュ。」
「親分の槍で確かに仕留めたポン。どうして生きているのだポンポン?」
「ええい、うるさいだチュ。あ奴は生きているだチュ。前にいる黒猫はスケール号だチュうのだ。忌々しい奴だ。」
「親分 . . . 本文を読む
(26)
タウ将軍がストレンジの王に謁見を求めたのはチュウスケの山焼きが始められてからでした。
森を這う火の龍を発見した時、タウ将軍がついに動き出したのです。
バリオン軍の総司令官として、タウ将軍はすぐにでも軍を動かし、反乱軍を打つべしと考えていました。
しかしバリオンの王様はストレンジの姫の救出を優先させ、あろうことか、本人自らその救出作戦に参加しているの . . . 本文を読む