ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

はじめてのおつかい

2017-02-06 22:15:59 | 本のレビュー

こないだ、丸善へ行った時、児童書売り場で手にとったこの絵本。
小さい頃、大好きで何度もページをめくって、眠る時にも離さなかったほどなのに、いつの間にかなくなっていました。
多分、気がつかないで、親戚の子供にでもあげてしまったのかも。


それで、また買ったのですが、ページを繰っても、懐かしい記憶のまま。5歳になった女の子、みいちゃんがお母さんから頼まれて、牛乳を買いに近所のお店に行くという、それだけのお話なのですが、文章の流れや挿絵がとってもいいのです。

はじめて読んだ時は、わたしもみいちゃんと同じくらいの年だったはずなのに、今ではすっかりミドルエイジに……でも、この絵本を開くと、小さな女の子に戻れるような気持ちになってしまうのです。 「ああ、わたしが子供だった昭和の頃には、こんな雑貨屋みたいなお店があって、お菓子や牛乳も売っていたなあ」とか、店さきに置いてある公衆電話のピンク色とかが、うわっと胸に迫ってきそうで――。

今は、スーパーばかりだし、さもなければコンビニ。無機質なコンビニの店に、小さな子供が一人ぽっちでおつかいに来るなんて、光景を見たことはないし、第一、昔の商店には、何というかこう「人肌が感じられる」温かさがあったもの。 
絵本の絵も、とても感じがよくて、大勢の人たちに愛されてきた名作だというのも、納得です。みいちゃんの着ている黄と赤のボーダーのセーターや赤いプリーツスカートなど、わたしも着ていたような記憶があり、それも懐かしさを感じさせますね。

昭和の記憶を持つ大人が郷愁を感じるのは、もちろん、今の子供たちの心をも惹きつけることができる――いい絵本だなあ。
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