ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

ある日の日記

2018-12-29 09:50:55 | ある日の日記
パタパタしているうち、今年も、はや終わりかけています。 一昨日は、お墓掃除に行ったのだけど、秋の間にいっぱい落ち葉が積もっていました。
それを綺麗に掃きだして、墓石を拭いて、水あげて、サカキの枝や花を飾って終わり……いつもやって来る、公会堂そばの坂道がしんどいので、別の横道から行ったのですが、今まで見たことのない風景が見られて、新鮮でした。
そうか~、山の木々に隠れていて知らなかったけど、結構いろんなお墓が、別々のところに散らばっているんのだな……冬の晴れた日に、それらの墓石は森閑と佇んでいました。



     
来年から、木曜日の教室に変わることとなった写本装飾。今度は、これを模写してみようかな、と。
中世の教会音楽を写した(多分)、ネウマ譜というもので、右半分だけやってみるつもりです。ピアノが発明される前は、五線譜というものもなくて、こういう■四角いマークのついた楽譜を使っていたのでしょうね。
先月、初めてチェンバロのコンサートへ行ってみたのですが、これが演奏された時代は、ネウマ譜が使われていたのでしょうか?

何とか、年賀状も作ることができたし、お正月は見たかった映画を観ようと思っています。
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琥珀のまたたき

2018-12-24 19:33:10 | 本のレビュー
  
深く尊敬する作家、小川洋子の「琥珀のまたたき」の文庫本を購入。

三日かかって、読了したのだけど、やっぱり素晴らしい! 品の良い、優しく撫でられるような、それでいて、鋭い残酷さを帯びた筆致は、いつも通りで、これも小川節というべきもの?

内容自体は、かなりシリアスで、末っ子を失った母親によって、高い壁のある家に監禁された三姉弟の物語。母親の狂気は、子供達に、今までの名前を捨てさせ、それぞれ、トパーズ、琥珀、瑪瑙という「名前」を与えることから始まる。
「壁の外に出れば、妹を殺した魔犬にやられてしまう」と、子供達を家に閉じこめ、自分はツルハシ(これを持つのも、魔犬を追い払うためなのだ)を持って、温泉療養施設に働きにいくわけだった。
家に残された子供達は、一番上の姉のトパーズを中心に、様々な「ごっこ遊び」をして過ごすのだが、これらの一つ一つに、作家の想像力が迸っていて、吸いこまれてしまいそうなほど。


この子供達の物語が核なのだが、のちに救出された琥珀(姉弟の真ん中の男の子)が老人となって、福祉施設に収容されたパートが、別個に存在する。そこでは、彼に傍らから思いを寄せる、元伴奏ピアニストの女性が語り手となっている。

小川洋子の文章は一つ、一つが彫琢された工芸品を思わせる美しさで、この語り手の女性の登場するシーンはわずかにもかかわらず、その佇まいや息づかいまで感じられそうなほど。

読み終わった時、本当に濃密で良い物語を読んだという、深い満足感にひたされてしまった。2018年最後に読んだ――そして、この一年間で、最も素晴らしかった本!
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メリークリスマス!

2018-12-24 17:23:07 | ある日の日記
今日は、クリスマスイブ。でも、何にもないなぁ。これでは寂しいからケーキでも買ってこようかな、と考えていたところ、Yさんからお電話があり、何と「クリスマスケーキを作ったから、持って行きます」のお言葉。

手作りのクリスマスケーキなんて、今までもらったことないような気がする……これこそ、とびきりのクリスマスプレゼントですね。

上のハーブガーデンで待っていると、Yさんご夫妻がやって来られて、手渡して下さったのは

      

 こんな風に、クリスマスムードたっぷりのラッピングされた箱


ああ、とってもうれしいな。
 そして、早速クリスマスイブの日のティータイムに登場したのは
    
「ブッシュ・ド・ノエル」のケーキでありました。紅茶と共に味わわせていただいた、このケーキ――優しいチョコレート味で、中のクリームには、バナナが入っていたり、小さなチョコレート菓子のかけらが入っていたり、ととっても美味しい!

 薪の形をしたケーキを二きれも切って、ペロリと食べてしまった私……チョコレートケーキって、ザッハートルテ系の濃厚なものが多いなあと思っていたのですが、このチョコレートのクリームは、甘すぎず、優しい美味しさです。どこか、懐かしい味かも。


クリスマスの日に、とっても素敵なプレゼントをありがとうございました残りの薪は、まだ大事に取っておこう
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太陽の塔を見に行ったよ

2018-12-04 11:47:40 | 旅のこと

大阪は、千里の万博公園に「太陽の塔」を見に行ってきました。写真だけで憧れ続けてきて、ン十年。行こうと思えば行けるのに、なかなか腰が上がらず、先週、日帰りバスツアーで、やっと「太陽の塔」に初お目見え。

 初めて対面しての感想は――う~ん、やっぱり面白い! 
   
 後ろ側に回っても、こんな風に太陽の顔が描かれているんです。 このバツツアーは、48年ぶりに内部公開されるのを案内してくれるというのが売り物で、私も塔の中に入りましたよ。

うわ~、展示物の「生命の木」が正面にドド~ン! 塔の中は、赤っぽいようなオレンジ色のような照明がついたり消えたりして、怪し気……いえ、スリリングなムードをかもしだしておりまする。
「生命の木」の下から上部に向かって、生物の進化がつづられていて、クラゲに似た原生動物から、恐竜の大きな置物が樹上に置かれています。木のてっぺんにあるのは、もちろん我らがホモサピエンス。
でも、やっぱり恐竜の大きな置物が一番いいな。この展示物自体は、今のハリウッドの特撮技術やフィギュアの進化に比べたら、ずっと素朴で稚拙とさえいえるようなものなのですが、やはり50年近く前の時代の明るさや夢が感じられ、魅力満点です。

「太陽の塔」の腕部分は、中から見ると、銀色の鉄骨が組み合わされ、何か宇宙船の内部みたい。万博当時は、ここにエスカレーターが取り付けられ、先端まで行けるようになっていたのだそう。その頃は、この塔の前にも長蛇の列が並び、多くの日本人が胸をときめかせながら未来への夢を追っていたんでしょうね。

 公園内の建物
に当時の様子を写した写真が特大サイズのパネルとなって、展示されています。
    
 こんな感じだったのですねえ~。

 冬の初めの一日、私も’70年へのタイムトリップを楽しみました。
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ゲド戦記

2018-12-04 11:22:50 | 映画のレビュー
 
「レッドタートル」に引き続き、ジブリアニメ「ゲド戦記」を観ました。
これが初公開された時のこともよく覚えているのだけど(でも、観に行っていない)、もうだいぶ昔になるのですね。映画を観に行った友人が、「宮崎吾郎さんが舞台で挨拶されたよ」なんて言っていたことも、記憶に残っているのですが。

始めて、字幕つきで、ちゃんと観ることができた「ゲド戦記」……でも、見終わっての感想は「あんまり、面白くなかった」。
原作者のアーシュラ・ル・グウィンさんが、どこかで「自分の作品のイメージをねじまげられた」と怒っていたことも記憶にあります。確かに、あの素晴らしい原作をこんな風にされちゃ、怒るわな

原作が名作でも、絵がジブリそのままであろうと、監督が違うだけで、かくもしまりがなく、単調になってしまうのかな、と正直思いました。声優がよくないのか、セリフも一本調子でリアリティーが感じられません。構成も、わかりにくいし。
お父さんの宮崎駿さんだったら、どんなにダイナミックに、想像力豊かに映像世界を繰り広げてくれただろう?

    
 原作の「ゲド戦記」は6巻もある大作です。私も最初は夢中で読んでいたのですが、4巻目の「帰還」を読む頃にはギブアップ。
4~6巻は、最初の3巻が出てから20年近くたってから刊行されたというのですが、ここでのゲドはもはや主人公などでなく、大魔法使いの力も奪われ、昔救った少女テナー(もう、中年のおばさんになっていますが)の庇護のもとで暮らしています。
はっきり言って、ファンタジーというより、中年男女の物語になってしまっていて、読後感も重い……

老年にさしかかっていた、作者グウィンの人生観も滲み出ているのでしょうが――でも、ここまで読んだのだから、あと2巻頑張って読むべきかな?
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